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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

ーーーーーーーー
【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
ーーーーーーーー

DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2017年08月31日

米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析(2017年9月1日21:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

T.指標予想要点

2017年9月1日21:30に米国雇用指標「雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708米国雇用指標110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まります。一見すると素直とは言えない場合も散見されます。
    1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が87%です。事後差異とは(発表結果ー市場予想)のことです。

  • 発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確の機会を探った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに複数回の追撃を繰り替えすやり方には向いていない指標です。

  • 先に発表されたADP民間雇用者数の結果は、雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料として、大してアテになりません。
    ADPとNFP増減の実態差異(発表結果ー前回結果)の一致率は58%です。そして、総合的な雇用統計の結果と対比するため、両指標の直後1分足の方向一致率を調べると50%前後しかありません。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、指標一致性分析で事前差異(指標予想ー前回結果)との方向一致率が76%あるため、です。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が84%と高いことです。

  • もし、直前1分足跳幅が20pipsを超えた(超えそう)なら、指標発表直前にその跳ねと逆方向にポジションを取ります。指標発表直後の跳ねで利確(損切)です。
    過去事例では、直前1分足が20pips以上跳ねたことが23%あります。この23%の事例では、直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは29%しかありません。

  • 指標発表後の追撃は早期開始し、発表から1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
    論拠は、反応性分析の結果に依ります。

  • 指標発表から10分経過した頃、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。

過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。

最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708米国雇用指標120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で50pipsにも達しています。反応が非常に大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708米国雇用指標210.png

1708米国雇用指標220.png

1708米国雇用指標230.png

次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1708米国雇用指標250.png

上表の上3行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が76%です。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が87%です。
実態差異判別式も高い一致率を示していますが、事後差異よりも一致率が低いので用いることはないでしょう。

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ADP雇用統計の結果は、本指標のうちNFPを先行示唆する、と言われています。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
2015年1月以降前回発表までの31回について調べたところ、結果は実態差異一致率は58でした。
期待的中率58%なら、他の分析をアテにした方が良いでしょう。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度26%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均50pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1708米国雇用指標310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は16pipsです。16pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度23%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均50pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。

1708米国雇用指標320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は13pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率26%)です。直後11分足のそれは19pips(戻り比率31%)です。反応が大きい指標だけに戻りのpipsも大きいので、高値(安値)掴みには気を付けましょう。

1708米国雇用指標330.png

1708米国雇用指標340.png

直後1分足の過去平均跳幅は50pipsです。
過去平均の50pipsを超えたことは13回(頻度42%)です。この13回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが8回(62%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(46%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。

この結果は過去の経験に反しています。
雇用統計の初期反応が大きい場合、反応が長時間に亘って一方向に継続することが多いのです。よって、そうした大きく反応するときには、発表から11分経過した頃に戻りが起きやすいと理解した方がしっくりきます。
ならば、直後1分足が50pips以上跳ねたときには、この頃(直後11分足終値がつく頃)に再追撃を行うか否か、再びチャートと相談すれば良いのです。
この項は、定量データによる裏付けがなく、過去の感触に基づくことにご注意ください。


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708米国雇用指標430.png

事前差異と直前10-1分足の方向一致率は76%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陰線となる期待的中率が76%ということです。

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708米国雇用指標420.png

直前1分足は陰線率が84%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純で極端な偏りは見受けられません。

そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は87%です。反転リスクはあまり考えなくても良いものの、とはいえ、直後11分足が直後1分足の値幅を削ることもあります。直後1分足の反応が大きい指標だけに、その点は注意が必要です。

その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708米国雇用指標410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは81%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは48%です。48%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。

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過去の経験から言えば、この分析に現れていない「騙し」が過去に散見されます。ここで言う「騙し」とは、発表と同時もしくは発表から3秒ぐらい、その後と逆方向に反応が生じることが多いのです。もちろん、3秒を過ぎて反転したこともあったでしょうから、これは特に記憶に残っている感触です。
追撃方向をあまり拙速に決めると、痛い目に遭うことも多いので、この点はご注意ください。

そして、発表から1分経過時点での関心は、いつ利確(損切)するかと、更に追撃を行うか、です。
直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは、意外に小さく50%未満しかありません。よって、発表から1分以内に取得した追撃ポジションは、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを見つけた方が良いでしょう。

複数回の追撃を行うなら、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
通常の反応程度の指標では、15分足と1時間足のチャートでレジスタンスやサポートを事前に手元にメモしておくだけで、追撃の成功率がだいぶ改善できます。がしかし、雇用統計は非常に大きく反応する指標です。4時間足と日足のチャートで、事前にレジスタンスやサポートをメモして手元に置いて取引した方が良いでしょう。

たったこれだけの習慣で、追撃の収益率は2倍(成功率はもっと)になるものです。2倍というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
そして、経済指標発表時の取引で追撃の収益率が倍になるということは、指標発表時以外の取引の1日分の収益を時間圧縮して確保できるということです。1日分というのは感触で、これも定量的な裏付けはありません。
何かいちいち但し書きが面倒ですが、だいたいそういうことです。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、指標一致性分析で事前差異(指標予想ー前回結果)との方向一致率が76%あるため、です。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が84%と高いことです。

  • もし、直前1分足跳幅が20pipsを超えた(超えそう)なら、指標発表直前にその跳ねと逆方向にポジションを取ります。指標発表直後の跳ねで利確(損切)です。
    過去事例では、直前1分足が20pips以上跳ねたことが23%あります。この23%の事例では、直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは29%しかありません。

  • 指標発表後の追撃は早期開始し、発表から1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
    論拠は、反応性分析の結果に依ります。

  • 指標発表から10分経過した頃、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。

以上



2017年9月1日21:30発表

以下は2017年9月1日22:26頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708米国雇用指標510.png

結果は全項目が前回・予想を下回り、反応は陰線でした。

それでも、発表から10分後には反転が始まり、22:00前には発表前の値まで戻しました。この反応は何でしょう。再来週のFOMCでの引締め政策延期を睨んでいるのでしょうか。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708米国雇用指標520.png

問題ありません。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオには問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708米国雇用指標530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

英国景気指標「製造業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月1日17:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

T.指標予想要点

2017年9月1日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

本指標発表後は、どの時点かで21:30に発表される米雇用統計を睨んだ動きに移行します。ただでさえ、17:30頃はEURGBPの取引量が多い上に、雇用統計を睨んでUSDJPYとGBPUSDは動きが上下逆になる動きも加わり、それらがGBPJPYの動きを複雑化します。ポジションを持つ間に、USDを買う(売る)動きとEURを買う(売る)動きがタイミング的に重なると、GBPJPYは一瞬で数pipsが「どすん」と落ちる(騰がる)ことがあります。
今回は、ロンドンの朝のニュースで前日のEU離脱交渉不調(?)が大きく取り上げられている時間帯に、本指標が発表されることを頭に入れておいた方が良いでしょう。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708英国製造業PMI110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度は大きく、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します。指標発表後はそのまま反応を伸ばしがちですが、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。

  • もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠にし得る事実が乏しくなる、という性格があります。
    指標グラフは上昇停滞中と言える位置にあり、上下どちらに向かうかがわかりません。また現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
    本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率も高くありません。
    8月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬以降は中立的な付近で上下動を繰り返しています。中立的とは、トレンド上のレジスタンス手前付近を指しています。

  • 本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
    直前10-1分足は、ときどき(頻度23%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手です。
    直前1分足は、しばしば(頻度26%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。

    ちなみに、直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねたとき、事後差異(発表結果ー市場予想)が大きくなった(発表結果が市場予想と大きく乖離した)、という事実はありません。
    よって、これらの跳ねは、指標結果を正しく捉えている大口参加者が居る可能性よりも、大きく反応する指標発表前に大口ポジションを閉じる売買が多くなるため、と捉えています。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。

  • 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
    論拠は、反応性分析の結果です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。本指標の意義は、鉱工業生産指数・製造業生産指数の発表に先立ち、それら集計月の企業景況感を知ることができること、です。

一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と言われています。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、今では消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708英国製造業PMI120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。分布は、15pipsから33pipsの跳ねが65%を占めています。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708英国製造業PMI210.png

グラフ形状は、2017年7月をボトムに上昇基調が1年間続いています。もし今回、市場予想を下回ると、2017年4月をピークとした下降基調転換の形状となってしまいます。

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グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。

調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは30回中15回(50%)です。一見すると市場予想後追い型のように見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高くなっています。
よって、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。

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製造業PMIは為替の影響を受けるかも知れません。
EURGBP・GBPUSDの上下動と、実態差異符号を見比べておきましょう。

   EURGBP GBPUSD 実態差異
8月  +    △    ?
7月  +    +    +
6月  +    +    △
5月  +    △    △
4月  △    +    + 
3月  △    +    △
2月  △    △    △
1月  +    +    △

関係ありませんね。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去7回(23%)あります。
この7回の直後1分足跳幅は17pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsよりやや小さくなっています。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(14%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足跳幅が20pipsps以上あったときは、直後1分足の反応がその逆になる可能性が高い、と言えます。

1708英国製造業PMI310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去8回(26%)です。
この8回の直後1分足跳幅の平均は28pipsで、これは過去全平均23pipsよりやや大きくなっています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。
そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は5回(63%)が一致しています。反応方向を示唆している、とは言えません。

1708英国製造業PMI320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率22%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。戻り比率としては30%を下回っており、この程度の反応をする指標としては普通です。

1708英国製造業PMI330.png

1708英国製造業PMI340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国製造業PMI430.png

事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各97%・83%に達しています。本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに極めて素直に反応しています。

実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率も高いものの、その数字は事後差異との一致率ほどではありません。ならば事後差異だけ見ておけば十分です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708英国製造業PMI420.png

直前10-1分足はやや陽線への偏りが見受けられ、直前1分足はやや陰線に偏りが見られます。がしかし、いずれも取引基準の70%には達していません。

直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いこと(86%)を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候は見受けられません。

1708英国製造業PMI410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、その86%の方向一致時に、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは80%となっています。これなら反応方向を確認したら早期参加です。

そして、発表から1分経過時点では、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えたことが59%となっています。他のパターン(直後11分足が、直後1分足の値幅を削ったことの2倍、直後1分足と反転したりすることの4倍、反応を伸ばしています。ただ、58%という数字を考えると、反転におびえながら短期利確を繰り返した方が良いかも知れません。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)します。

  • 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行います。
    論拠は、反応性分析の結果です。

以上



2017年9月1日17:30発表

以下は2017年9月1日20:20頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708英国製造業PMI511.png

結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。

グラフ推移を見ると、直近ピークである4月分の57.3に迫る上昇でした。
報道等では、EU離脱交渉が進展していないことや、英国内で交渉目標をはっきりさせよという論調を見る限り、この結果は多くの予想を裏切ったと思われます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708英国製造業PMI520.png

発表時刻を跨いだポジションは、シナリオ条件未成立により、取引を見送りました。

シナリオ外取引は、1時間足チャートにおけるレジスタンス(転換線142.34)の上抜けは難しいと考え、逆張りを行ったものです。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を以下に検証します。

  • 発表後の値動きは、次のように捉えていました。
    反応程度は大きく、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します。指標発表後はそのまま反応を伸ばしがちですが、安心して追撃ポジションを長持ちできるほどではありません。追撃するなら、早期開始・短期利確繰り返し、が良いでしょう。

    結果は、18pipsの反応で、過去平均の23pipsを下回りました。18pips付近には1時間足チャートにおけるレジスタンスがあったため、と推察されます。
    反応方向は素直でした。
    追撃は、上記レジスタンスに頭を押さえられたため、pipsが稼げなかったでしょう。

  • 指標結果予想については、次のように捉えていました。
    もともと景気指標は、各種実態指標よりも先に発表されるため、予想の論拠にし得る事実が乏しくなる、という性格があります。
    指標グラフは上昇停滞中と言える位置にあり、上下どちらに向かうかがわかりません。また現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
    本指標実態差異(発表結果ー前月結果)と、EURGBPやGBPUSDの月足との一致率も高くありません。
    8月FTSE100(株価)は月初こそ上げたものの、中旬以降は中立的な付近で上下動を繰り返しています。中立的とは、トレンド上のレジスタンス手前付近を指しています。

    この内容はこれで問題ありません。
    わからないものを根拠薄弱なまま予想するのでは勝率が下がります。何より、間違っていても明確な根拠のない取引方法では、悪いところを直しようがありません。定量的な論拠があってこそ、改善を繰り返すことができます。

  • 注意点として、以下を挙げていました。
    本指標は、指標発表前の取引は危ないので、できれば避けた方が良いでしょう。
    直前10-1分足は、ときどき(頻度23%)20pips以上跳ねています。恐ろしいのは、そうした動きがあったときに直後1分足はその跳ねと逆方向に反応することが86%にもなっていることです。知っていれば予兆と言える確率ですが、知らなくて慌てて釣られてしまうと、反応が大きい指標だけにかなり痛手です。
    直前1分足は、しばしば(頻度26%)10pips以上跳ねています。このとき、直後1分足は平均よりもやや大きく跳ねることが多く、そして反応方向は予想がつきません。

    この内容は来月もこのままで問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオと結果は次の通りです。

  • 直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、指標発表直前にその逆方向にポジションを取り、指標発表直後の跳ねで利確(損切)するつもりでした。

    結果は、前提条件を満たさず、取引を諦めました。

  • 指標発表後の追撃は、早期開始して短期利確を繰り返しながら複数回行うつもりでした。論拠は、反応性分析の結果でした。

    結果は追撃2回で、3回目はシナリオ外取引の逆張りで行いました。
    シナリオ外取引は、先述の通り、レジスタンス上抜けがない、と見なしたためです。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708英国製造業PMI530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月30日

米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月31日21:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

T.指標予想要点

2017年8月31日21:30に米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707米国PCE110.png

※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 物価指標(PCEデフレータ)と実態指標(PCE・個人所得)とでは、同じだけ市場予想と発表結果がズレたときは物価指標の方が反応方向への寄与が大きくなります。がしかし、実態指標の方が市場予想とのズレが大きくなりがちです。
    直後1分足の反応方向は、2✕デフレータ事後差異+2✕コアデフレータ事後差異+1✕‘PCE事後差異+1✕個人所得事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)との一致率が75%となっています。事後差異というのは(発表結果ー市場予想)のことです。

  • 同月集計分のCPIの実態差異(発表結果ー前回結果)と本指標実態差異の方向一致率は、僅か27%しかありません。同月集計でなく月ズレが起きていないかは未検証です。
    CB消費者信頼感指数や小売売上高は、PCEの先行指標という話があります。がしかし、同月集計の両指標の実態差異はともに50%前後で、相関があるとは言えません。同月集計でなく月ズレが起きていないかは未検証です。

  • 初期反応は小さく、指標結果に素直に反応しがちです。発表から1分を過ぎても暫く反応を伸ばしがちですが、時間が経つと反応を伸ばし続けるか否か怪しくなります。
    追撃は早期参加し、短期利確を繰り返しながら複数回に分けて行った方が良いでしょう。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    事前差異判別式がマイナスとなっており、この判別式の期待的中率が85%と高いため、です。
    但し、過去平均跳幅が6pipsしかありません。それにも関わらず、ヒゲが目立ちます。陽線側に伸びたときに逆張り3pipsを狙う機会があれば取引します。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が75%となっています。
    但し、過去平均跳幅が3pipsしかありません。それにも関わらず、2-4pipsのヒゲが目立ちます。陽線側に伸びたときに逆張り2pipsを狙う機会があれば取引します。

  • 追撃は、反応方向を確認したら早期開始します。そして短期利確を繰り返しながら複数回行います。
    反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、跳幅同士は発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちなことを示しています。但し、終値同士を比較した場合は、反応を伸ばしたことが55%と、安心して追撃できる数字ではありません。だから、反応方向を確認したら早期参加、短期利確の繰り返しで、様子を見ながら追撃です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

PCEコアデフレータは個人消費の物価動向を示した物価指標です(食糧・エネルギーを除く)。個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標です。

同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータだと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEコアデフレータが重要視されることはわかります。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707米国PCE120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で8pipsと、反応が小さな指標です。分析に凝っても仕方ありません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707米国PCE210.png

1707米国PCE220.png

1707米国PCE230.png

発表項目が多いため、見るべきポイントを絞り込むため、各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1707米国PCE250.png

上表の上4行は、各項目と反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、1✕コアデフレータ前年比の事前差異ー1✕コアデフレータ前月比の事前差異+1✕PCEの事前差異ー1✕個人所得、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直前10-1分足との方向一致率85%です。
また、2✕コアデフレータ前年比の事前差異+2✕コアデフレータ前月比の事前差異+1✕PCEの事前差異+1✕個人所得、の解の符号が、直後1分足との方向一致率75%です。
そして、実態差異判別式の係数は事後差異判別式と同じです。同じですが、直後11分足との方向一致率が60%と、事後差異判別式と直後1分足との方向一致率より低くなっています。よって、実態差異判別式を活用することはないでしょう。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(75%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と同方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での3回でそれをアテにできるか微妙です。

1707米国PCE310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
直前1分足は明らかに陰線率が高くなっており、しかもヒゲが目立ちます。この平均pipsだと、陽線側にヒゲが形成するのを待って逆張りする方が良いでしょう。ヒゲが形成しなければ取引するのを止めても良い訳です。

1707米国PCE320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は2pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率25%)です。直後11分足のそれは4pips(戻り比率27%)です。反応が小さい指標の割に戻り比率が小さい指標です。

1707米国PCE330.png

1707米国PCE340.png



【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1707米国PCE430.png

事前差異と直前10-1分足の方向一致率は84%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線、ということになります。

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ75%・64%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1707米国PCE420.png

まず、直前1分足の陰線率が75%と、偏りが見受けられます。
また、直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高くなっています。
そして、直前1分足と直後11分足は、方向一致率が29%(不一致率71%)となっています。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1707米国PCE410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは77%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%です。55%という数字は、そんなに安心して追撃できる数字ではありません。追撃するなら、短期利確を繰り返しながら複数回に分けて行う方がいいでしょう。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    事前差異判別式がマイナスとなっており、この判別式の期待的中率が85%と高いため、です。
    但し、過去平均跳幅が6pipsしかありません。それにも関わらず、ヒゲが目立ちます。陽線側に伸びたときに逆張り3pipsを狙う機会があれば取引します。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が75%となっています。
    但し、過去平均跳幅が3pipsしかありません。それにも関わらず、2-4pipsのヒゲが目立ちます。陽線側に伸びたときに逆張り2pipsを狙う機会があれば取引します。

  • 追撃は、反応方向を確認したら早期開始します。そして短期利確を繰り返しながら複数回行います。
    反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、跳幅同士は発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちなことを示しています。但し、終値同士を比較した場合は、反応を伸ばしたことが55%と、安心して追撃できる数字ではありません。だから、反応方向を確認したら早期参加、短期利確の繰り返しで、様子を見ながら追撃です。

以上



2017年8月31日21:30発表

以下は2017年8月31日22:18頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707米国PCE510.png

結果は、物価指標が前回より悪化、実態指標が前回より改善、となりました。予想に対し、物価指標は同値、実態指標は個人所得が上回り・個人支出が下回りました。反応は陰線でした。

事後差異判別式では中立(0)となり、陰線での反応は指標結果だけでない可能性があります。指標発表直前に110.6付近で、この水準がやや高すぎるのかも知れません。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707米国PCE520.png

問題ありません。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析には問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707米国PCE530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月29日

米国経済指標「四半期GDP改定値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月30日21:30発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

T.指標予想要点

2017年8月30日21:30に米国経済指標「四半期GDP改定値」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
GDO改定値自体もさておき、その内訳として同時発表される物価指標「GDPデフレータ」・実態指標「PCE・コアPCE」注目を集めることがあります。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708米国GDP110.png

※ 本記事は8月29日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 事前差異・事後差異・実態差異はプラス率がそれぞれ76%・65%・76%、と偏りがあります。市場予想は低めになりがちで、発表結果は高めになりがち、ということです。結果、直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の陽線率は、それぞれ73%・71%・69%と、かなり偏っています。

  • 直後1分足の戻り比率は13%しかないものの、直後11分足のそれは42%もあります。その結果、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが69%にも達しています。指標発表から1分を過ぎたら、そのまま反応を伸ばすか反転するのか、上下に迷っているうちに指標発表から10分が過ぎてしまいがちです。

  • 反応程度は平均的で、指標結果の良し悪しに素直に反応します。追撃は発表から1分過ぎまでで、その後は前述の通り値を戻す傾向があります。がしかし、直後1分足値幅は過去平均で13pipsしかないため、その値幅を削った確率が69%あっても、逆張りのリスクの割にpipsが稼げません。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が73%あります。反応一致性分析の結果、過去の陽線率も76%あります。

  • 直後1分足は陽線と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確(損切)します。
    市場予想は低めで発表結果が高めになりがちな過去傾向と、反応一致性分析で過去の陽線率が71%あります。

  • 追撃は、方向確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら早期利確を狙います。
    発表から1分経過後は、逆張りの機会を窺うものの、短期取引で数pips取れたら利確です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

GDPは、当該期米国の総合的な経済実態を表していることです。経済実態が悪ければ、金融政策を始め、あらゆる政策に影響を与えます。
デフレータ(価格指数)は物価変動を示しています。
PCE(個人消費支出)は米国GDPの約70%を占めています。自動車・家電等の耐久財と、食品・衣料等の非耐久財と、外食・交通費等のサービス支出と、からなります。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708米国GDP120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で15pipsです。15pipsというと、平均的な反応程度しかなく、重要度や注目度の割に反応が小さくがっかりしがちです。8pips以下しか反応しなかったことさえ、29%もあります。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708米国GDP210.png

1708米国GDP220.png

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見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。

1708米国GDP250.png

上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。

上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段7行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。

結果、1✕GDPの事前差異+1✕デフレータの事前差異+1✕PCEの事前差異、の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)が、直前10-1分足との方向一致率が73%となりました。
また、2✕GDPの事後差異+2✕デフレータの事後差異+1✕PCEの事後差異+1✕コアPCEの事後差異、の解の符号が、直後1分足との方向一致率が94%となりました。
そして、3✕GDPの実態差異+2✕デフレータの実態差異+1✕PCEの実態差異、の解の符号が、直後11分足との方向一致率が63%となりました。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去2回(頻度12%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均15pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それで直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。直前10-1分足が大きく跳ねても、直後1分足がその方向に反応するとは言えません。釣られて痛い目に遭わないように気を付けましょう。

1708米国GDP310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
また、直前1分足はヒゲが目立っています。pipsも小さいし、方向に偏りも見られない以上、取引は避けた方が良いでしょう。

1708米国GDP320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は2pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率13%)です。直後11分足のそれは8pips(戻り比率42%)です。指標発表から1分を過ぎると、戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。

1708米国GDP330.png

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【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708米国GDP430.png

事前差異・事後差異・実態差異はプラス率がそれぞれ76%・65%・76%、と偏りがあります。市場予想は低めになりがちで、発表結果は高めになりがち、ということです。

事前差異と直前10-1分足は方向一致率が73%となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線の可能性が高い、というこです。

また、直前10-1分足は実態差異との方向一致率が73%となっています。そして、実態差異と直後1分足の方向一致率は71%と、低くはありません。がしかし、それよりも直後1分足は事後差異との方向一致率が高くなっています。

その直後1分足は、事後差異との方向一致率が94%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、非常に素直に反応します。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708米国GDP420.png

まず、直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の陽線率は、それぞれ73%・71%・69%と、かなり偏りがあります。
そして、直前1分足は直前10-1分足との方向一致率が27%(不一致率73%)なので、陰線となる可能性が高い、と見込まめます。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708米国GDP410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは64%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

けれども、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは19%しかありません。69%の直後11分足は、直後1分足の値幅を削っています。
つまり、本指標への反応は、発表から1分を過ぎたら伸びないのです。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前10-1分足は陽線と見込みます。
    指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が73%あります。反応一致性分析の結果、過去の陽線率も76%あります。

  • 直後1分足は陽線と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確(損切)します。
    市場予想は低めで発表結果が高めになりがちな過去傾向と、反応一致性分析で過去の陽線率が71%あります。

  • 追撃は、方向確認したら早期開始し、発表から1分を過ぎたら早期利確を狙います。
    発表から1分経過後は、逆張りの機会を窺うものの、短期取引で数pips取れたら利確です。

以上



2017年8月30日21:30発表

以下は2017年8月31日に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708米国GDP510.png

結果は、GDP速報値・PCE改定値が上方改定され市場予想も上回りました。反応は陽線でした。

GDPの+3.0%という数字は、直近だと2016年7-9月期分の+3.2%に次ぐ水準です(改定値比較)。米GDPは夏頃(4-6月期か7-9月期)に毎年ピークを迎えます。
PCE改定値は+3.3%で、こちらも2016年4-6月期分の+4.4%に次ぐ水準です(改定値比較)。PCEは必ずしも夏にピークとは言えません。

指標発表直前118.18に対し、日足チャート基準線が110.23にありました。この110.23のレジスタンスは15分前に発表されたADP雇用統計で抜けずに跳ね返されていました。GDP発表で、これを上抜けました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708米国GDP520.png

逆張り追撃の損切は、シナリオに依るものです。
先述のレジスタンス上抜けがあったものの、このレジスタンスが日足チャートだったので、この日はレジスタンス上側に少し上ヒゲを残してレジスタンスより下に戻す、と考えていたものの、意外に値を伸ばしました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

ほぼ、分析通りの動きと言えます。
外したのは、戻しに意外と時間を要した点です。21:39に高値を付けると、その後は21:52に110.10付近まで値を戻しました(指標発表時始値よりも下)。
時間がかかった理由は、先に発表されたADP雇用統計と本指標がともに大きく前回・予想を上回ったため、です。逆に言えば、これだけ予想を大きく上回っても、戻しが起きやすい指標です。

(6-2. シナリオ検証)

シナリオには問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708米国GDP530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年8月29日06:04からのリスク回避時反応

【1. リスク事例】

リスク内容は次の通りでした。
8月29日05:58、北朝鮮がミサイルを発射しました。06:02にNHKを始めTVは、緊急ミサイル警報画面(Jアラート画面)一色となりました。そして06:29には「ミサイルが北海道上空を飛び越え、太平洋上に着弾した」旨、続報がありました。

チャート上のリスク回避の動きは、USDJPYの下降が06:04に始まり、USDJPYが安値を付けた07:24迄が往路、その後リスク発生から半値を戻した08:32までが復路、と見なせば良いでしょう。USDJPY始値(06:04分足始値)は109.24でした。


【2 主役通貨ペアの動き】

北朝鮮絡みなので、USDJPYの動きに注目します。

下図は、リスク発生(をチャート上で認知できた)06:04からの3時間の動きです。
下図横軸の幅は均等ではありません。最初の1分足を除けば、上下の動きに一段落つく毎の時間幅となっています。横軸には、始値の時刻と、このブログで良く使う「5-10分足」のような表記をしています。「5-10分足」とは、事態発生5分後から10分後までの期間のローソク足、という意味です。

170829リスク1.png

時間が早朝だったこともあり、USDJPYの下降は緩やかでした。結果的に07:24が安値となり、この時刻は06:29のミサイルが太平洋に着弾済との続報が入った06:24の約1時間後です。
事態終了判明から約1時間で反転したのは、2017年4月7日の米軍によるシリア軍基地攻撃時とほぼ同じでした。


【3. 各通貨ペアのリスク回避反応】

USDJPYの動きはほぼ掴めたので、他の通貨ペアも見てみましょう。
下図はUSDJPYが下降した往路74分の動きを、EURJPY・GBPJPY・AUDJPY・EURUSD・GBPUSD・AUDUSD・GBPEURの順に並べたものです。

170829リスク2.png

円クロスは、USDJPYが下げていた74分間にUSDJPY以上に他の通貨ペアが売られています。JPY買というより、円クロスでは外貨売りといった方がわかりやすいでしょう。
特に、AUDJPYは一番大きく下げており、騰落率だと△1.5%にもなりました(基準とすべきUSDJPYは0.83%)。AUDの弱さはAUDUSDを見ても明らかです。


そして、今回の「巻き戻し」は、主役通貨ペアUSDJPY往路のほぼ半値戻しの期間で見ることにします。時刻で言えば07:25〜08:32の期間の始値基準ローソク足で、このブログの表記法では75-144分足です。「巻き戻し」というのも「75-144分足」というのも面倒なので、以降、単に「復路」と記します。

復路の期間をどう定義するかは、定義せずに曖昧に捉えておくことにします。
いつからいつまでを「復路」と呼ぶかは、別のリスクが起きたときにも通用するように厳密に定義すると、「半値戻し」が起きないときや「行って来い」が起きたときとの対比が難しくなります。だから、主観的で厳密さには欠けるものの、チャートで「これが戻りだな」と思える期間が「復路」と呼びましょう。

170829リスク3.png

復路の方がリスクが小さいように見えますが、それはわかりません。
ただ、過去事例を見ると、今回と類似のリスクはだいたい事態終息から1時間ぐらい(今回は74分)で反転しています。
ならば、1時間を目安に逆張りのポイントを狙うよりも、1時間を目安に順張りする方が合理的です(足が長い)。

ただ、こういう場面で往路に順張りしていると、チャートから目が離せないため、スマホだとチャートポイントがどこか(どこまで下がりそうか)を探す時間が取れなくて焦ります。
逆張りを狙うつもりで復路を待つと、その時間がゆっくり取れるので、何もないときに逆張りするよりも勝率が高くなるようです(個人的な経験談です)。
以上


米国雇用指標「ADP雇用統計」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月30日21:15発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

T.指標予想要点

2017年8月30日21:15に米国雇用指標「ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

当月は、本発表の15分後に4-6月期GDP改定値が発表されます。よって、今回は本指標発表後に次のGDP発表に向けた動きに変化する可能性があります。今回のGDP改定値は市場予想が高めになっています。よって、ADP発表後のある時点から陽線側に引っ張り上げようとする動きが始まる可能性がある、ということです。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708ADP110.png

※ 市場予想は8月28日時点の値です。発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • まだ、データ数が少ないものの(2017年分のみ)、ADP民間雇用者数の実態差異(発表結果ー市場予想)の符号は、前週分新規失業保険受給申請の4週平均の今月値と前月値の差の符号と、不一致率が86%あります。最新(先週発表)の前週分新規失業保険受給申請の4週平均と、7月分のその値の差はマイナスとなっています。
    よって、今回のADP発表は前回を上回り、今回の市場予想が前回発表値に近接していることを踏まえると、今回のADP発表は市場予想を上回る、と見込めます。

  • 直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねても、それは直後1分足の方向と関係ありません。但し、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたときだけは、過去2回の事例でともに直後1分足が陽線となっています。

  • 初期反応程度の平均は17pipsで、これは平均的な指標です。直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始して徹底することを薦めます。

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が87%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。

  • 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。この論拠は、前週分新規失業保険受給申請件数の推移に基づきます。

  • 追撃は早期開始・徹底します。
    反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士の反応を伸ばした確率が高くなっています。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標は、米国「雇用統計」を翌日(ないしは翌々日)に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。

本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。

これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。

このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708ADP120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。
17pipsというと、平均的な反応程度の指標です。がしかし、分布を見ると、8pips以下しか跳ねなかったことが32%、9-23pips跳ねたことが45%、24pips以上跳ねたことが23%と、ばらつきが大きいようです。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708ADP210.png

グラフは、平坦な市場予想に対し、発表結果の凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。

確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの30回で行いました。この期間に前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが11回(入れ替わり率37%)ありました。
市場予想後追い型(入れ替わり率30%以下)とまでは言えないものの、それに近い指標です。

前月は発表結果が市場予想を下回りました。
ほぼ市場予想後追い型と見なせば、今回発表結果が市場予想を下回る期待的中率は63%、ということになります。

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前週分新規失業保険受給申請は毎週木曜に前週分が発表されています。

前週8月24日に発表された申請数4週平均値は23.8万人でした。一方、8月3日に発表された申請数4週平均は24.2万人でした。失業保険受給申請件数は、当月に入って減っています。
そして、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます(仮説です。逆相関の一致率は定量分析していません)。
もしこの仮説が正しければ、今回の民間雇用者数は前回を上回る可能性があります。

過去に遡って調べてみましょう。
下表をご覧ください。項目Aと項目Bとは、符号が1回を除き全て不一致です(不一致率86%)。

       項目 A   項目B
 8月分差異 △0.4万人   + 
 7月分差異 △0.1万人 +2.0万人
 6月分差異 +0.5万人 △9.7万人
 5月分差異 △0.5万人 +7.6万人
 4月分差異 △0.7万人 △8.9万人
 3月分差異 +1.6万人 △3.0万人
 2月分差異 △1.4万人 +5.2万人
 1月分差異 △0.9万人 +9.4万人

項目Aは、2017年の前週分失業保険受給申請件数の4週平均値が、前月分に対してどれだけ増減したかを示しています。項目Aを求めるために、まず、7月分は8月3日発表値(24.2万人)、6月分は7月6日発表値(24.3万人)、というように、翌月最初の4週平均発表値を調べます。そして、7月分差異は、6月分24.3万人よりも7月分24.2万人が0.1万人少ない(△0.1万人)、と求めます。

項目Bは、ADP民間雇用者数が6月15.8万人、7月分17.8万人だから、7月分差異がその差の2.0万人増加(+2.0万人)、ということを表しています。

よって仮説通り、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます。何しろ今年に入って期待的中率86%の不一致率です。
8月分差異は、項目Aにまだ9月7日発表値を用いることができません。そのため、8月24日分データを用いました。
仮説通りなら、ADPの8月分差異はプラスになるでしょう。

幸い、今回のADPの市場予想は18.3万人で、前回結果17.8万人と近接しています。よって、今回のADPは市場予想を上回る、と予想します。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅平均は18pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例3回での2回でそれを特徴的偏りとは言えません。

1708ADP310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅平均は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsより小さくなっています。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前1分足と直後1分足の方向は3回(75%)一致しています。どちらかと言えば、直前1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前1分足と同方向に反応する確率が高くなっています。

また、直前1分足が陽線となったことは4回(頻度13%)しかありません。この4回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(75%)です。
更に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたことは2回で、この2回は直前1分足と直後1分足の方向一致率は100%です。

1708ADP320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率29%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率29%)です。戻り比率が直後1分足・直後11分足ともに30%未満で、追撃を行いやすい指標だと言えるでしょう。


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708ADP430.png

事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ73%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708ADP420.png

まず、直前1分足の陰線率が87%、直後1分足の陽線率が73%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が80%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708ADP410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは91%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは64%です。64%という数字は、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったり(14%)、直後11分足が直後1分足と反転したり(21%)する確率を踏まえると、他の起こり得る事象より約3倍高い確率です。
追撃は徹底した方が良いでしょう。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。

  • 直前1分足は陰線と見込みます。
    反応一致性分析の結果、陰線率が87%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。

  • 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。この論拠は、前週分新規失業保険受給申請件数の推移に基づきます。

  • 追撃は早期開始・徹底します。
    反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士の反応を伸ばした確率が高くなっています。

以上



2017年8月30日21:15発表

以下は2017年8月31日に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708ADP510.png

結果は、前回・予想を大きく上回り、反応は陽線でした。

指標発表直前1分足が10数秒前から一気に伸びたこともあり、発表後はほとんど伸びませんでした。
これは、前日の北朝鮮リスク回避の巻き戻しで、前日日足が長い下ヒゲを残したこともあり、日中から陽線側に大きく伸びたいたことに一因があります。そして、直前1分足跳幅が15pipsとなり、これは2015年1月分以降で最大の跳幅です。何より、こうして発表前に値を伸ばした結果、指標発表直前の110.17は、日足チャート基準線の110.23のレジスタンス直前でした。その結果、値を伸ばす余地がなかったため、と考えられます。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708ADP520.png

発表時刻を跨いだポジションは、上記日足チャート基準線のレジスタンスを抜けるか抜けないかを迷って、利確が一瞬遅れた結果、僅かながら損切となりました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を検証は省略します。

反応程度の問題はさておき、ほぼ事前分析通りでした。
但し、追撃徹底を想定したのに、それが大したことがなかった点は、分析を外しています。外した原因は、事前分析作成時点で、まさか指標発表前にここまで陽線側に高い位置まで来るとは想定外でした。
外れは外れなので、言い訳もみっともないですが、直後11分足の陰線は売りポジション取得と言うより、一部参加者がこの時点で利確したからと思われます。積極的な売ポジション取得が行われた気配はなかったように思います。

(6-2. シナリオ検証)

シナリオには問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708ADP530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月28日

米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月29日23:00発表結果検証済)

以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。

T.指標予想要点

2017年8月29日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708米国CB消費者110.png

※ 市場予想は8月28日時点のものです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 本指標における事前差異判別式は、単純に(市場予想ー前回結果)です。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 本指標は、先に発表されるUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。がしかし、両指標は同月集計同士の実態差異一致率が52%しかありません。よって、単月毎の発表結果が前月結果より良くなるか悪くなるかについて、UM消費者信頼感指数速報値の同月発表結果を参考にすることは無意味です。

  • 本指標は2016年6月以降、市場予想後追い型となっています。前回は発表結果を市場予想が上回っており、今回も市場予想を上回る期待的中率は71%です。
    また、過去事例を見る限り、直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねた場合、直後1分足の反応方向はそれと同じ方向になっています。

  • 初期反応こそ、指標結果の前回・予想に対する良し悪しに素直なものの、直後11分足終値が直後1分足終値より反応を伸ばしたことが33%しかありません。反応は小さく、しかも直後1分足や直後11分足の戻り比率が40%を超えています。追撃するなら最初順張りで、発表から1分を過ぎると逆張りに適しています。

そして、次のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。

  • 直前1分足は陽線と見込みます。
    指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足が陽線となる期待的中率は78%です。
    但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅が4pips・2pipsしかありません。陰線側にヒゲを形成するのを待ってポジションを取り、すぐに利確した方が良いでしょう。そういうヒゲが形成されなければ、取引を諦めた方がいいpipsです。

  • 直後1分足は陽線と見込みます。但し、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、直後1分足はそれと同じ方向と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表後の跳ねで利確(損切)です。
    本指標は現在、市場予想後追い型で、前回は発表結果を市場予想が上回っていました。今回も市場予想を上回る期待的中率は71%です。また、反応一致性分析の結果、直後1分足の陽線率は78%と偏っています。
    直前10-1分足が10pips跳ねたことは過去16%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは過去3%、そして、それらの場合に直後1分足は、同値終了を除けば全てその跳ねと同じ方向に反応しています。

  • 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、短期利確を狙います。また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙います。逆張りなので、これも短期利確を狙います。
    論拠は反応性分析の結果に依ります。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


U.過去調査詳細

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。

調査は、(a) 現在の景況感、(b) 現在の雇用状況、(c) 6か月先の景況感、(d) 6か月先の雇用、(e) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(c)や(e)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。

指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。

この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り両者の単月毎の改善・悪化には相関がありません。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1708米国CB消費者120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。そして、過去反応のうち71%は5-12pipsの間となっています。
反応は小さい指標です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1708米国CB消費者210.png

グラフ推移は、2016年5月頃をボトムに、その後は上昇基調が続いていました。がしかし、2017年3月をピークに上昇が停滞しています。

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2015年2月以降前回まで、発表結果と市場予想の大小関係が前月と翌月で入れ替わった回数は16回(入れ替わり率53%)です。ただ、直近ボトムの翌月2016年5月以降だと、それは4回(入れ替わり率29%)となります。
よって現在、本指標は市場予想後追い型です。

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本指標は、先行発表(8月18日)された同じ8月分UM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。両指標間に相関がないか、調べておきました。

1708米国CB消費者270.png

相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。

がしかし、上図の通り、両指標の実態差異一致率は52%しかないことがわかりました。52%なら、一致するか一致しないかを丁半博奕で決めるのと同じです。
よって、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず相関がない、と言えます。

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以上の分析要点は以下の通りです。

(1) 本指標は現在、上昇基調TOP付近で停滞中です。

(2) 本指標は2016年6月以降、市場予想後追い型となっています。前回は発表結果を市場予想が上回っており、今回も市場予想を上回る期待的中率は71%です。

(3) 8月18日に先行発表されたUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。がしかし、本指標と同月集計同士の実態差異一致率を調べたところ、それは52%しかありません。よって、単月毎の発表結果が前月結果より良くなるか悪くなるかについて、UM消費者信頼感指数速報値の同月発表結果を参考にすることは無意味です。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度16%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回一致しており、一致しなかった2回の直後1分足は同値終了です(期待的中率100%、同値は集計しない)。

1708米国CB消費者310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回しかありません。その1回の直後1分足跳幅は13pipsで、直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。

1708米国CB消費者320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率40%)です。直後11分足の戻り比率が40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。

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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。

(1) たまに(頻度16%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります(過去5回、頻度16%)。この5回のうち2回の直後1分足は同値終了で、残る3回は直後1分足が直前10-1分足と方向が一致しています(期待的中率100%、期待的中率算出では同値を集計しない)。

(2) ごくまれに(頻度3%)直前1分足跳幅が10pips以上だったことは過去1回しかありません。その1回の直後1分足跳幅は13pipsで、直前1分足と直後1分足の方向は一致しています(期待的中率100%だが過去事例1回)。

(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ44%・40%です。反応が小さな指標は戻り比率が高くなりがちで、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。


【3. 定型分析】

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1708米国CB消費者430.png

事前差異と直前1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)となっています。現時点での事前差異はマイナスとなっているので、直前1分足が陽線となる期待的中率78%ということです。

事後差異・実態差異と直後1分足の方向一致率がそれぞれ83%・80%となっています。市場予想や前回結果に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1708米国CB消費者420.png

まず、直後1分足の陽線率が77%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が70%と高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。

最後に、反応性分析の結果を下表に示します。

1708米国CB消費者410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は70%です。そして、その70%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

けれども、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは33%しかありません。早期開始した追撃は、発表から1分を過ぎたら跳幅を伸ばすことこそ62%あるものの、10分後には67%の確率で逆方向に位置しています。発表から1分ないしは反応を伸ばしきったら、逆張りの機会を窺う方が良さそうです。

【4. シナリオ作成】

以下のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。

  • 直前1分足は陽線と見込みます。
    指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足が陽線となる期待的中率は78%です。
    但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅が4pips・2pipsしかありません。陰線側にヒゲを形成するのを待ってポジションを取り、すぐに利確した方が良いでしょう。そういうヒゲが形成されなければ、取引を諦めた方がいいpipsです。

  • 直後1分足は陽線と見込みます。但し、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、直後1分足はそれと同じ方向と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表後の跳ねで利確(損切)です。
    本指標は現在、市場予想後追い型で、前回は発表結果を市場予想が上回っていました。今回も市場予想を上回る期待的中率は71%です。また、反応一致性分析の結果、直後1分足の陽線率は78%と偏っています。
    直前10-1分足が10pips跳ねたことは過去16%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは過去3%、そして、それらの場合に直後1分足は、同値終了を除けば全てその跳ねと同じ方向に反応しています。

  • 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、短期利確を狙います。また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙います。逆張りなので、これも短期利確を狙います。
    論拠は反応性分析の結果に依ります。

以上



2017年8月29日23:00発表

以下は2017年8月30日00:00頃に追記しています。
V.発表結果検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708米国CB消費者510.png

結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。

前月結果を上回るのは3か月連続で、グラフ推移が上昇基調に復しました。直近ピークは2017年3月分(125.6)です。今回結果はこれに次ぐ水準(122.9)でした。

反応は、指標発表後2-3秒程度、陰線側に僅かに振れたように見受けられました。がしかし、それから陽線側に転じ、発表から5-6分後に108.80に達すると、下降に転じました。108.80は15分足チャートの雲上端のレジスタンスにあたります。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1708米国CB消費者520.png

直前1分足は、下ヒゲ形成と見てポジションを取ったものの、その動きはヒゲではなく実体を陰線化する動きでした。幸い、直後1分足は陽線と見なしていたため、そのままポジションを持ち続け、指標発表直後の跳ねで利確しました。
ラッキーでした。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を以下に検証します。

  • 先行指標との関係について、次のように捉えていました。
    「本指標は、先に発表されるUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。がしかし、両指標は同月集計同士の実態差異一致率が52%しかありません。よって、単月毎の発表結果が前月結果より良くなるか悪くなるかについて、UM消費者信頼感指数速報値の同月発表結果を参考にすることは無意味です。」

    今月結果は、UM速報値とCBと、ともに実態差異がプラスでした。
    但し、この分析は確率的なものです。来月以降もまだ暫く様子を見て、確率的な正しさが維持できているかの確認を継続します。

  • 本指標の特徴について、次のように捉えていました。
    「本指標は2016年6月以降、市場予想後追い型となっています。前回は発表結果を市場予想が上回っており、今回も市場予想を上回る期待的中率は71%です。
    また、過去事例を見る限り、直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねた場合、直後1分足の反応方向はそれと同じ方向になっています。」

    結果は、市場予想後追い型らしく、前月発表と同じく今月も市場予想を上回りました。

  • 取引シナリオについて、次のように捉えていました。
    「初期反応こそ、指標結果の前回・予想に対する良し悪しに素直なものの、直後11分足終値が直後1分足終値より反応を伸ばしたことが33%しかありません。反応は小さく、しかも直後1分足や直後11分足の戻り比率が40%を超えています。追撃するなら最初順張りで、発表から1分を過ぎると逆張りに適しています。」

    結果は、直後1分足が事後差異方向と一致し、素直な反応をしました。そして、反応は小さく(10pips)、直後11分足終値は直後1分足値幅を削りました。逆張りをするなら、指標発表から5分後に売ポジションを取るのが最適だったでしょう。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前1分足は陽線と見込みました。結果は陰線でした。
    但し、直前10-1分足との方向一致率が低い点は、直前10-1分足と直前1分足とが反転し、分析通りとなりました。

  • 直後1分足は陽線と見込みました。結果は陽線でした。

  • 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、短期利確を狙いました。また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙いました。逆張りなので、これも短期利確を狙いました。

    分析通りで問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1708米国CB消費者530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

上達しているのか

習慣というのは恐ろしいものです。
ブログを始めてから、ブログに分析記事を載せないと、どうも取引する気がしません。もともとFXを楽しんでいただけなのに、分析記事を書くことが取引時間の何倍もかかっています。それで取引に負けたりすると、本当にがっかりします。

パブロフ博士による習慣に関する実験はとても有名です。
博士はベルを鳴らすと犬にエサを与える実験を行いました。その実験を毎日繰り返していると、その犬はベルを鳴らすだけで涎をこぼすようになったそうです。と同時に、ベルを鳴らすと、博士が血相を変えてエサを持って犬のところに走っていく様子も習慣的に観察できたはずです。
この話は、博士が実験しなくても、仕事熱心なたこ焼き屋のおやじが死んだときの話として、日本では古くから有名です。親族の最後の見送りに棺桶のフタを開けたら、おやじが居なくて大騒ぎになったのです。探してみたら、おやじはフタの方にくっついていたそうです。おやじは死んで、たこ焼きの習慣に倣ったのです。

ともあれ(習慣化してしまった)やり方は、目的に照らして定期的検証が必要です。
こうした習慣化したやり方が正しいか否かは、成績(結果)が全て、と言う話をよく耳にします。がしかし、実は全てではありません。もう限界か、という視点が必要なのです。

我々アマチュアは、今よりFXが上達するのかに関心があります。ならば、取引きすべき「ときを選ぶ」ことと、そのとき「うまく取引できていたか」を検証して、「上達し続けているか」を検証することが必要です。
今回はそういう話です。


【1. 8月月次成績】

まず、8月単月での成績は、2時間46分21秒のポジション保有で、306.34pips(¥30,634)の獲得でした。
取引は27指標で行い、勝率は70%(19勝8敗)でした。シナリオ単位では72%(46勝18敗)です。

途中、お詫びをするほど連敗が続いたときもありましたが、蓋を開けてみたら、本ブログ取引基準の期待的中率(70%以上)通りの勝率で終わりました。

「FXは上達するのか」に記した通りであり、問題ありません。

と同時に、期待的中率を下げて取引回数を増やすことには、どこかに最適解がありそうなことを示唆しています。とは言え、先述の通り、ブログで事前に分析記事を書かないと、取引する気がしなくっている私には、これ以上、記事を増やすことができません。


【2. 年次累計成績】

1月以降8月までの収益額は+228,107円(収益率+39.4%)です。
これは昨年に比べて約2倍のペースで、正直言って少し出来過ぎです。「そんなにうまくいくのか」と誤解されないかが心配です。本ブログのやり方は、例年この半分のペースとなるやり方です。

昨年と今年の大きな違いは、

  • 取引基準となる期待的中率を75%から70%に下げたこと
  • 過去平均の直後1分足跳幅が25pips以上の指標で取引という制限を無くしたこと
  • ブログを始めて分析図表類が整備されたこと

です。
取引回数が約3倍に増えて、分析結果を単なるエクセルの数字の羅列から図表で可視化できた、ということです。


【3. 上達検証】

さて、収益額こそが取引の目標であることは間違いないものの、これは結果です。プロセスが正しければ結果が付いてくる、ということを信じるなら、ブレ(運)も含めた理由を考察しなければ進歩・上達に繋がりません。
運が良いことを実力と過信しても仕方ありません。運が悪いときに正しいやり方なのに諦めてしまうことも避けたいものです。これは、グラフ化してその傾きを見れば判断しやすくなります。

そもそも、指標結果の良し悪しと反応方向が75%以上も一致していれば、一致率が高い(素直に反応する)指標という現実があります。だから、どれほど緻密に分析しても運の要素を排除できません。
正しい相場観や金融取引の知識があれば、素直でないように見える指標の反応も、正しく素直と解釈できる情報とスキルが身に付く可能性があります。がしかし、我々アマチュアは金融実務の経験が積めない以上、情報収集力やスキルの向上に限界があります。

本ブログに挙げた方法論は、その弱点を最小化するためのものです。
「FXは上達するのか」に詳述したように、取引を経済指標発表前後に限定することによって、同じ指標での取引を繰り返して分析精度を向上し、その分析結果に基づく短期シナリオで取引を行うやり方です。ざっくり言えば、取引時間を極端に短くして不測の事態に巻き込まれるリスクを下げて、その代わりに効率良く稼げる指標発表前後だけに取引を絞って、その短時間の反応だけを刈り取りたい訳です。指標絡みの過去情報は、FX関連情報で最も収集しやすい情報です。

それがうまく出来ているか検証するため、まず下図を用意しました。
下図は、2017年の月次利確pipsと取引時間を対比しています。例えば、8月は後述するように、306pipsを稼ぎ(青)そのための取引時間が166分(赤)でした。

2017年成績8月迄.png

青は長ければ長い方が理想的で、赤は短ければ短いほど理想的です。
どれだけ理想に近い取引ができていたかを下図を示しました。下図は各月の青を赤で割って、単位時間(1分)当たりの平均収益pipsの推移を示しています。
グラフが右上がりなら上達している、ということを表しています。グラフの全体的な傾きを見ることで、運の要素を排除しやすくなります。

2017年効率8月迄.png

少しずつ右上がりになっているような気もしますが、まだまだですね。

ただ、昨年はほぼ1未満で推移していたグラフが、今年は1より上で推移しています。昨年と今年の大きな違いは、先述の通り、取引基準を緩和して取引回数を増やしたことと、分析結果の図表可視化を行ったことです。

取引基準の緩和時期と一致して(今年になって)、1分足当たり獲得pipsを0.4〜0.5押し上げる効果があったようです。これが、前述の期待的中率と取引指標数の関係に最適解がありそう、という話です。
分析図表類の可視化整備は、特に5月頃から力を入れています。それ以前とそれ以降とは、1分足当たり獲得pipsを0.1〜0.2押し上げる効果があったようです。資料を綺麗に作ることには、もうあまり効果が期待できないようです。

なるほどね。仕事と同じような話です。
でも、実際の取引というのは、いろいろ試してみないと何が最適かわからないものですね。
以上


2017年8月第4週成績と次週9月第1週主要指標反応pips

分析方法や取引手法に問題がないか、週次で確認しています。


【1. 8月第4W主要指標結果】

下図は、8月第4週に発表された指標の直後1分足跳幅(青)と直後11分足値幅(緑)について、今回の反応pipsと過去平均pipsを対比表示したものです。

201708W4指標結果.png

独国PMI速報値を除けば、過去の平均的な反応程度と同程度の反応をする指標発表が続きました。

日本指標は7月分CPIが発表されました。
発表結果はコアCPが+0.5%ですが、グラフ推移を見るとインフレ率の上昇基調がはっきりしてきたように見受けられます。がしかし、内容を検証してみると、この上昇基調はあまりアテにできないことがわかります。
原油価格が前年よりも高水準なことで、動力費(電気代やガス代)が+5.8%となったことがコアCPIを押し上げているからです。日本のコアCPIは、他の主要国と違って、食糧だけを除いてエネルギーを含めて算出されています。エネルギーを含まない項目はコアコアCPIで、前年比で+0.1%でした。コアCPI上昇が動力費中心だということは、原油価格が下がればCPIがまた下がる、ということです。
よって、グラフ推移では上昇基調が堅いように見えても、内実はいつまた下がるかわからない情勢、ということです。

米国指標は、7月分新築住宅販売件数7月分中古住宅販売件数7月分耐久財受注が発表されました。
米住宅市場は好調が続き、その結果、在庫不足に陥っています。在庫不足が価格上昇を招き、一時的な販売減がいつ起きても不思議ではありません。更に、金利正常化のFRB政策が加わるのだから、在庫が増え始めたら注意が必要です。
新築住宅販売件数は前月比△9.4%で、昨年12月以来の水準に落ち込みました。△9.4%という下降幅も、昨年8月以来で、少し心配な数字が出てきました。在庫は前月比+1.5%で、2009年6月以来の大きさです。まだまだサブプライム以前のピーク期に比べれば半分以下の水準という話も一部解説記事にありますが、良い兆候ではありません。
一方、中古住宅は販売件数鵜が減った(前月比△1.3%)ものの、住宅在庫は26か月連続で前年同月を下回って、販売価格も前年同月比で+6.2%です。こちらはまだ、心配する段階ではありません。販売件数も前年同月比で見れば+2.1%でした。
耐久財受注前月比は△6.9%で、コア前月比が+0.5%でした。但し、この結果への反応は、ジャクソンホールでのFRB議長講演を控えていたため、指標結果に素直だったと言い切れないものでした。

欧州指標は、景気指標(8月分独国ZEW景況感調査・8月分独国PMI速報値・8月分欧州PMI速報値・8月分独国Ifo景況指数)が発表されました。
ZEW景況感指数は、期待指数が2017年2月分の水準まで低下(10.0、前回17.5)し、同年5月分をピークとした下降基調転換の可能性が生じました(3か月連続で前回結果を下回りました)。グラフ推移の印象からは、来月に2017年2月分水準を下抜けると、下降基調がはっきりします。現況指数は、前回を僅かに上回ったものの(86.7、前回86.4)、グラフ推移の印象から言えば、頭を押さえられています。こちらは、2016年7月以降継続している上昇基調がまだ維持されていると見なせ、先行して下降基調に転じた可能性がある期待指数とは様子が異なります。
PMI速報値は、独国・欧州ともに総合・製造業・サービス業のいずれも前回を上回りました。
Ifo景況指数は、結果がまちまちでした。総合(景況指数)は前回を下回り(115.9、前回116.0)、景況感は前回を上回り(107.9、前回107.3)、現況分析は前回を下回りました(124.6、前回125.4)。解釈が難しい結果でしたが、反応は陽線となりました。

英国指標は4-6月期GDP改定値が発表されました。
結果は、GDP改定値が前期比・前年比ともに速報値と同値(各+0.3%・+1.7%)、企業投資が前期比・前年比ともに速報値を下回りました。反応は陰線でした。企業投資だけでなく、個人消費も良くなかったようです(+0.1%)。


【2. 8月第4W成績】

本ブログ記載の取引方法を検証するため、週次・月次で取引成績を記録しています。人にやり方を薦める以上、(個別取引はさておき)全体として間違っていないことを検証しておきたいからです。
ただ、他人の取引成績なんて興味ありませんよね。ぱぱっと8月第4週の取引結果を纏めておきます。

201708W4取引結果.png

8月第4週は5指標で取引を行いました。
取引時間は33分29秒(1指標当たり6分41秒)で、損益はいつも1枚ずつの取引で+3,914円(1指標当たり+759円)でした。
勝率は、指標単位で80%(4勝1敗)、シナリオ単位では83%(15勝3敗、見送り2)でした。

前週は負けていたものの、2週連続の負けは避けられました。


【3. 9月第1W主要指標】

次週9月第1Wの主要指標の過去平均反応を示します。

201709W1主要指標.png

週前半には、大した指標発表が予定されていません。とは言え、週後半に米国雇用統計発表が予定されている週です。水曜欧州時間ぐらいから動きだし、それまでは指標とは関係ない動きになります。

以下、指標名をクリックすると、前回分析にリンクされています。

日本指標は7月分鉱工業生産速報値が発表されます。但し、取引には全く向かない指標なので、指標結果そのものに興味がなければ無視しても良いでしょう。

米国指標は、8月分雇用指標(ADP雇用統計)が発表されます。
ADPの反応程度は注目度の割にあまり大きくありません。指標結果の影響が最も顕著に現れる直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsしかありません。反応方向は素直です。追撃は早期参加に適しているものの、発表から1分を過ぎると、初期反応方向への順張り追撃にやや不安があります。
今回の雇用統計は、事前にISMの雇用指数が参照できないので、市場予想がばらける可能性があります。もともと雇用統計では多くのプロが取引に参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって反応方向が決まります。そのため、一見すると素直とは言えない場合も散見されます。一方向に向けて反応を伸ばす場合にも上下動が大きいため、追撃も難しい指標です。高値(安値)掴みを避けるため、本指標取引の前には、週足・日足・4時間足のチャートポイント(レジスタンスやサポート)の位置を把握しておくことが必須です。

そして、4-6月期GDP改定値と7月分PCEが発表されます。
GDP改定値は、1-3月期+1.4%こそ上回るものの、速報値+2.6%をも上回ることができるかに注目です。PCEは、10月下旬に発表される7-9月期GDP速報値を予想するために重要です。
8月分景気指標(CB消費者信頼感指数ISM製造業景況指数)も発表されます。
がしかし、こちらはいつもより注目度が下がり、反応は小さくなるのではないでないでしょうか。

欧州指標は8月分HICPが発表されます。
全体に欧州指標は、反応が小さく影響期間が短い、という特徴があります。本指標も過去の指標発表直後は63%が10pips以下しか跳ねていません。反応方向は、どちらかと言えば、HICP>コアHICP、に影響されるものの、あまり素直に反応する指標でもありません。追撃にもあまり適しておらず、やるなら指標発表後に早期参加・短期利確です。
取引には向かない指標です。

英国指標は8月分製造業PMIが発表されます。
反応程度は大きく、反応方向は指標結果の良し悪しに極めて素直に反応します。追撃は早期参加し、発表から1分を経過したら利確の機会を探りましょう。過去の傾向では、指標発表後は大きく脈動しながらも、一方向へと反応を伸ばしがちです。早期参加、複数回に分けて追撃徹底に適しています。但し、指標発表前から他の指標に比べて大きく動きがちです。ときどき、かなり大きく動くこともあるものの、そうした動きは指標発表後の反応方向と無関係です。注意が必要です。
以上


4-1. 日本経済指標DB(2017年8月最終版)

日本の経済指標発表前後の取引はUSDJPYで行っています。指標そのものへの反応は小さく、取引には全く向いていません。ただ、円クロス取引の基準となるため動きに注目しています。


【4-1-1. 8月概観】

7月7日、日銀は金利抑制効果が強いという「指値オペ(さしね)」を実施した、という報道がありました。指値オペとは、10年債金利を指定することで、その金利が日銀の防衛線だと市場に認知させる効果があります。従来から実施していた国債買入規模の増減より、更に直接的な金利調整手段に着手した訳です。

8月に入り、4-6月期GDP速報値が年率+4.0%に達し、コアCPIは+0.5%だったものの物価上昇基調が確認できました。速報値とは言え、日本の成長率が主要国で最も高くなったことなど、全く覚えがないほど久しぶりのはずです。
それでもJPYは、大して売られも買われもしていません。

一部の解説記事では、日銀は既にこれ以上の緩和拡大と低金利操作が難しいため、海外の金融政策だけが二国間の政策・金利ギャップの大きさを決めつつある点を指摘しています。だから、日銀はもう何をやっても政策効果があがらない、という趣旨です。


【4-1-2. 政策決定指標】

(1) 金融政策

政策金利及び政策発表時刻は、金融政策決定会合終了次第となっており不定時です。ほぼ正午前後に発表されるものの、大きな政策変更があるときには発表が遅れるというジンクスがあります。ともあれ、平日昼間の発表で時刻が不定というのでは、趣味でFXをやっている多くの人にとって取引参加できない、ということですね。取引に参加できなくても、大きな動きだけは追っておきましょう。

7月20日、日銀金融政策決定会合結論は、(a) 短期金利を△0.1%、(b) 長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融政策維持、を賛成多数で決定しました。
同時発表された展望リポートは、(c) コアCPI前年比見通しを下方修正し、目標とする物価2%の到達時期を2019年度頃に先送りし、(d) GDP見通しを上方修正して、景気総括判断を「緩やかに拡大している」に引き上げました。

(2) 財政政策

危機的と言われて久しい財政赤字については、国債がほぼ国内で消化されていることや、国全体のバランスシート上の対外純資産が多いことから、楽観視する向きが多いようです。これはおかしな理屈で、財政赤字を民間も含めた与信規模で安心するという理屈がちっともわかりません。
もし夕張市にまだ金持ちが居たとしても、夕張市が財政破綻したら、行政サービスは現実問題として縮小したし、市は財政投資ができなくなったじゃないですか。

(3) 景気指標

景気指標への反応は、日欧が小さく米英が大きいという傾向があります。短観は日銀金融政策の判断材料とされているので、報道では大きく扱われます。

2017年7月3日に発表された短観では、企業規模の大小を問わず全般的な景況感改善となっていました。特に製造業は3四半期連続改善し、2014年3月以来の水準に達し、消費税増税前のレベルまで回復しました。

 (分析事例)日銀短観(2017年7月3日調査)

(4) 物価指標

金融・財政政策に影響を与えるため記録しています。がしかし、ほとんど動かない指標のため、取引には全く向いていません。
なお、海外におけるコアCPI(消費者物価指数)に相当するのはコアコアCPIです。日本におけるコアCPIは生鮮食料品だけを除き、エネルギーを除いていません。日銀が目標とする物価上昇率2%とは、このコアCPIの年率+2%を指しています。

8月14日に発表された4-6月期GDPデフレータ速報値は△0.4%(1-3月期改定値は△0.5%)でした。これは、金額ベース(名目)GDPが増加しても、そのうち0.4%は物価上昇によるため、という意味です。
なお、コアCPIとGDPデフレータが符合逆転して一致しているのは偶然です。

8月25日に発表された7月分コアCPI前年比は+0.5%でした。全体的には僅かずつ上昇しているように見受けられます。

 (分析事例) 全国CPI(2017年8月25日発表結果検証済)
 (分析事例) GDPデフレータ速報値(2017年8月14日発表結果検証済)

(5) 雇用指標

取引は行いません。

8月4日に発表された6月分毎月勤労統計調査では△0.4%(前月+0.7%)でした。厚労省は「緩やかな増加傾向」という見方を示しています。
8月29日に発表された7月分失業率は2.8%、有効求人倍率は1.52倍でした。前々前月5月分の有効求人倍率の1.49倍という数字は43年3か月ぶりの高水準だそうです。



【4-1-3. 経済実態指標】

いずれも反応しないことは同じです。指標良し悪しに対して為替が絶望的に反応しません。

(1) 経済成長

日本は、米国・中国・EUに次ぐ経済規模なのに、成長率の多寡ではほとんど反応しません。よって、速報値だけしか取引をしません。発表値は実質GDPでデフレータによってインフレ調整された値です。

ざっくり、日本のGDPを500兆円と考えてみましょう。市場認知(予想)と0.2%のズレが生じた場合、1兆円分のズレが発表後に修正される訳です。GDP速報値で、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は平均10pips程度です。1pips動かすために0.1兆円ぐらい、というのは何かの目安になるかも知れませんね。

さて、7月20日に発表された日銀展望レポートでは、実質GDPの見通しが、2017年度は+1.8%(前回+1.6%)、2018年度は+1.4%(前回+1.3%)、2019年度は+0.7%増に据え置かれました。全体的に上方修正されています。
一方、IMFが7月24日に発表した世界経済見通しでは、2017年が+1.3%、2018年が+0.6%です。IMFも4月に発表した見通しより、2017年はわずかに上方改定しています。

そして、8月14日に発表された4-6月期GDP速報値は前年比が+4.0%でした。これは、速報値では2014年4-6月期以来の高い水準です。前期比も2016年4-6月期以降(改定値)、プラス継続となっています。
内訳を見ると、設備投資が好調(前期比+2.4%)で、個人消費も前期比+0.9%だったことが寄与したようです。

がしかし、見るべき点はそうした経済改善の兆しよりも、これほどの数字でも直後1分足が陰線だったことです。直後11分足は陽線に転じたものの、こうした動きが本指標取引の難しさです。何より、これほど難しい動きをピタリと当てても、直後1分足跳幅はたったの2pips、直後11分足跳幅・値幅でも12pipsしかなかったのです。

 (分析事例) 四半期GDP速報値(2017年8月14日発表結果検証済)

四半期GDP速報値は、事前分析判別式の符号と直前10-1分足の方向一致率が70%強あるので、発表前に折込みが進みやすい可能性があります。その結果、発表後の反応は小さくなりがちで、しかも直後1分足終値がついたら、むしろ反転に気を付ける必要があります。
なお、事前差異判別式は、2013年1-3月期から2017年1-3月期までの18回のデータに基づけば、−1✕GDP前期比事前差異ー1✕前年比事前差異ー2✕デフレータ事前差異、となります。

(2) 実態指標

反応が小さ過ぎて取引には向きません。

消費は全体に改善基調です。
7月28日に発表された6月分全世帯家計調査消費支出前年比は+2.3%(前月△0.1%)でした。プラス転換したのは、2016年2月分以来17か月ぶりです。同日発表された6月分小売業販売額前年比は+2.1%(前月+2.0%)でした。小売販売額は、2016年8月をボトムに2016年11月にプラス転換してから、上昇基調継続です。

最も大きな消費である住宅は、今年に入って横這いです。
7月31日に発表された新設住宅着工戸数前年比は+1.7%(前月△0.3%)でした。プラス数値が続いた2016年に比べ、2017年に入ってからは0%近辺で上下しています。

生産は消費や小売のような改善の兆しがまだ現れていません。
製造業はかつてよりもBtoB(企業-企業間取引)を重視しています。CPIではわからない動きを指標で掴むため、製造業の動向が必要です。非製造業には、金融・小売だけでなく発電などが含まれています。
7月31日に発表された6月分鉱工業生産前月比速報値は+1.6%でした。8月15日に発表された6月分鉱工業生産前月比確報値は+2.2%(前月△3.6%)と、速報値が上方修正されました。鉱工業生産は、2017年に入って毎月交互にプラス・マイナスが続いており、消費や小売のような改善の兆しはまだ現れていません。
8月10日発表された6月分機械受注前月比は△1.9%(前月△3.6%)でした。これでマイナスは3か月連続です。

 (分析事例) 機械受注(2017年6月12日発表結果検証済)
 (分析事例) 鉱工業生産速報値(2017年2月14日発表結果検証済)


【4-1-4. 収支関連指標】

貿易収支と経常収支で反応に結び付くのは貿易収支の方です。日本の対米・対中収支は、政治的発言・事件によって景気や為替に影響を与えます。

8月17日に発表された7月分通関ベース貿易収支は+4188億円(前月+4399億円)でした。2016年から黒字になることが多くなっています。
対応する7月分国際収支は9月8日発表予定です。貿易収支は2014年頃から改善基調と見受けられ、2016年頃からは黒字になることが多くなっています。

 (分析事例) 貿易統計(通関ベース)(2017年6月19日発表結果検証済)
 (分析事例) 貿易収支・経常収支(2017年7月10日発表結果検証済)

これら指標は、市場予想の精度がかなり高いことに着目すべきです。市場予想の精度が高い指標では、指標発表後よりも早い時刻から指標発表前に影響が現れがちです。
以上


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