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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

ーーーーーーーー
【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
ーーーーーーーー

DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2017年07月03日

豪州実態指標「小売売上高」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月4日10:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1705豪州小売売上高110.png

1705豪州小売売上高120.png

1705豪州小売売上高130.png

1705豪州小売売上高140.png

1705豪州小売売上高150.png

本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。

  • 過去の平均的な反応はやや小さく、発表結果の良し悪しに素直に反応します。追撃は短期利確に適しており、指標発表から1分を過ぎると、どちらに反応するのかがわかりません。
  • 指標発表前の値動きは、指標発表後の反応方向と関係ありません。
  • 調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
  • 直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
    つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。
  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。過去の平均的な跳幅は5pipsしかないので、含益が得られたらすぐに利確です。
    (2) 指標発表直前に買ポジションを取り、発表後すぐに利確にせよ損切にせよ行います。
    (3) 指標発表後の反応方向を確認したら、追撃を短劇利確方針で行います。



T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。

豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。

その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。

注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も程度もまるで当たらない指標です。ご注意ください。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1705豪州小売売上高210.png

このグラフの市場予想を見て「やる気あるのか」と言ってはいけません。もしあれば、こんな予想になりません。移動平均でもしているのかと思ってよく見ると、そんなことはありません。僅かに先取り増減していることがわかります。

調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線ばかりです。最近は逆ヒゲが少ないと見て取れるので、pipsは小さいもののポジションを取っても良いでしょう。

1705豪州小売売上高310.png

1705豪州小売売上高320.png

1705豪州小売売上高330.png

1705豪州小売売上高340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1705豪州小売売上高410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。

反応一致性分析の結果を下図に示します。

1705豪州小売売上高420.png

直前1分足は陰線率が88%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1705豪州小売売上高430.png

事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月4日10:30発表

以下は2017年7月4日11:30頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1705豪州小売売上高510.png

発表結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。

市場予想は前回結果を下回るもので、その意味では方向が合っています。とは言え、市場予想と発表関係の大小関係を問題にしている為替・債券・株式の取引参加者にとって、またまた「全然違うじゃん」という市場予想でした。

前回結果より今回発表結果はやや低下したものの、2015年以降では4番目の前月比伸び率です(前月は1番大きな伸び率でした)。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1705豪州小売売上高520.png

直前1分足はポジション取得を少し遅らせて正解でした。
直後1分足の上ヒゲは、発表後2-3秒で形成されたものです。一旦、利確して、発表後20-30秒後に下がったのを見て、追撃ポジションを取りました。がしかし、思ったより高いポイントでポジション取得となって、含益の表示時間より含損の表示時間が長く、87円上抜けの勢いは無しと見て、ポジション解消しました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 過去の平均的な反応をやや上回り、発表結果に対してはに素直に反応しました。追撃が短期利確に適していた点は分析通りです。
  • 指標発表前の値動きは、指標発表後の反応方向と逆でした。
  • 調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)でした。過去の実績から入れ替わりが少ないと見込んで、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込んでいました。結果、市場予想を上回りました。
  • 直後1分足と直後11分足との方向は一致しました。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士では反応を伸ばすことができませんでした。

(6-2. シナリオ検証)

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1705豪州小売売上高530.png

以上





ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

4-4. 英国経済指標DB(2017年6月最終版)

英国の経済指標発表前後の取引はGBPJPYで行っています。
さて、2017年度のトレンド判断は、

  • 6月総選挙でメイ首相の立場がどれぐらい強まるか
  • BOEが物価高にいつどの程度の対策を講じるか
  • ブリグジット交渉進展内容(1月英最高裁判断・3月英国離脱通告・4月EU側交渉方針開示・第1回交渉・対立内容・9月独総選挙後の進展)

がポイントと捉えています。

【4-4-1. 6月概観】

総選挙の結果は与党が議席を減らしました。英首相は、棚ボタ式に首相になったイメージ払拭を謀り、EU離脱交渉の国内指導力強化を狙っていたものの、その目論見は外れました。前首相のEU離脱国民投票といい、どうもやらなくてもいい選挙を行って、ダメージを負うことが英国では続いています。
ただ、英国にとって良いこともあったと思われます。スコットランドの英国離脱住民投票は、対EU交渉後ということが独立派から表明されたようです。交渉結果を見て有意な方に就く、ということでしょうか。
けれども、欧州には歴史があります。そして苦しくなった旧恩先への裏切が嫌われるのは、洋の東西の問わず同じです。スコットランド独立派が勢いを盛り返すことは、住民の教養面からもEU側の道徳観からも、きっともうないでしょう。独立投票を今回の総選挙と同時期に行えなかったことは、独立派の政治的敗北と捉えています。

GBPJPY月足は、始値142.78円・高値146.54円・安値138.67円・終値146.50円で、値幅372pips・跳幅376pipsの陽線でした。値幅・跳幅がほぼ同じことからわかるように、上昇は月末頃に集中しました。

月足チャートを見る限り、2016年12月・2017年5月の高値である148円前半がレジスタンスとなり、5月安値の141.5円付近がサポートになります。148円後半〜149円台には、20〜24か月移動平均線があるため、もし上昇が続いてもここを上抜けるのは難しそうです。また、GBPJPY・GBPUSD・GBPEURの月足チャートを見比べると、最も馴染の薄いGBPEURの現在値が下降転換した基準線を上抜けたところで、基準線低下に反転・落下しかねない形をしています。

金利は、6月下旬のBOE総裁発言によって関心が高まっているにも関わらず、次回MPCは8月上旬で7月に行われません。このことも7月はGBPを上下に動きにくくしてしまうと考えられます。


【4-4-2. 政策決定指標】

BOEは、そうそう簡単に政策変更しないという話があります。もちろん、これは過去の実績で、BOE総裁もMPC委員も実際には入れ替わっているのだから、こんな話を当てにはできません。

(1) 金融政策

3月MPCでは、昨年7月以来の利上げ主張する委員が現れました。6月MPCでは利上げ主張委員が3名に増えました。昨年6月の国民投票以降のGBP安による物価が急上昇が利上げ派の主要論拠で、賃金上昇への悪影響(景気への悪影響)の懸念が様子見派の主要論拠です。

2017年6月15日、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策金利は0.25%のまま、量的緩和策による英国債保有残高も4350億GBPのまま、です。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。

6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては、物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるかを前提に挙げていました。

 (事例) BOE政策金利(2017年6月15日発表結果検証済)

(2) 景気指標

製造業の景況感が悪化し始めると、サービス業もそれを追いかける、という言い伝えがあります。近年、この法則に当てはまらない事例が多々見受けられます。

7月3日に発表された製造業PMI、7月5日に発表されたサービス業PMIは、ともに2か月連続で前回結果を下回りました。いずれもまだ、50を超えているものの、年末・年始がピークで今後は下がり始めるのではないかと、先行きに不安を感じさせる内容でした。

 (事例1) 製造業PMI(2017年7月3日発表結果検証済)
 (事例2) サービス業PMI(2017年7月5日17:30発表予定、事前分析済)

(3) 物価指標

主要国でCPI(消費者物価指数)・RPI(小売物価指数)・PPI(生産者物価指数)が一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。

BOEの目標インフレ率は年2%程度です。既にコアCPIが+2%を上回っています。6月下旬までは、発表結果が市場予想を上回っても、素直に陽線で反応するとは限らない水準に達していました。がしかし、物価上昇を抑え込むために、6月下旬にBOE総裁は利上げ検討開始についてコメントしたのです。
BOE利上げ期待が生じたなかで、英1-3月GDPは+2.0%>米1-3月GDPは+1.4%です。GDPが逆転しない限り、物価上昇はGBP上昇に反応する、と解釈しています。

 (事例) 物価指標(2017年6月13日発表結果検証済)

(4) 雇用指標

多くのFX会社の経済指標カレンダーに示されている失業保険受給者数では反応しません。少なくとも直近の2-3年のデータを整理すると、平均所得(含ボーナス)の市場予想との多寡によって反応方向が決まりがちです。

 (事例) 雇用統計(2017年6月14日発表結果検証済)


【4-4-3. 経済情勢指標】

少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は1.5%となっていました。最新の見通しでは、2017年が2.05%、2018年が1.46%です。対する米国は2017年・2018年が各2.31%・2.52%で、EUはともに1.6%台となっています。英国成長率がいずれ急落することが予想されており、この予想が直近のGBP上昇の頭を押さえることに繋がります。

(1) 経済成長

EU離脱国民投票後、一時は成長がマイナスになるという解説記事さえあったものの、2016年はかなり好調でした。それだけに2017年は成長鈍化と見込まれていたものの、その兆しはまだ現れていません。

6月30日、GDP確定値は前期比+0.6%・前年比+2.0%で、改定値と同値でした。+2%の経済成長は米国同期の+1.4%より優位です。政策絡みでもFRBの次政策が「資産規模縮小で利上げでない」一方、BOEは「利上げの検討を向こう数か月以内に始める(6月28日BOE総裁発言)」ですから、GBPUSDはもう少しの上昇余地があると思われます。

 (事例1) 四半期GDP速報値(2017年4月28日発表結果検証済)
 (事例2) 四半期GDP改定値(2017年5月25日発表結果検証済)
 (事例3) 四半期GDP確定値(2017年6月30日発表結果検証済)

(2) 実態指標

他の国の実態指標ではあり得ないほど大きく反応します。先々の成長鈍化が予想される以上、平均的には指標への反応が、上に小さく下に大きくなると思われます。

7月7日発表の鉱工業生産指数は、5月の自動車生産の落ち込みが昨年2月以来の大幅な減少となったことを受けて低下しました。

 (事例1) 小売売上高指数(2017年4月21日発表結果検証済)
 (事例2) 鉱工業生産指数(2017年6月9日17:30発表結果検証済)
以上




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米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月3日23:00結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月3日23:00に米国景気指標「ISM製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1706ISM製造業100.png

1706ISM製造業110.png

1706ISM製造業120.png

1706ISM製造業130.png

1706ISM製造業140.png

本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。

  • 反応程度はあまり大きくなく、反応方向は指標結果に対して非常に素直となる傾向があります。指標発表後の追撃に適した指標です。
  • 多くの指標解説記事で「Phil連銀景況指数」が本指標の先行指標である旨、説明されています。がしかし、少なくとも直近2年強に関する限り、これは事実と異なります。両指標両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)の差異方向一致率は52%で、直後1分足の反応方向一致率に至っては32%しかありません。
    こんな話をアテにすると、毎月の本指標毎に1勝2敗ペースで沈んでいくのです。
  • 本指標は「市場予想後追い型」指標です。
    調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは29回中9回(31%)しかありません。そして、事後差異のプラスが続いたりマイナスが続いたことは、28回中22回(79%)です。今回の発表が前回と同様に続くとすれば、発表結果は市場予想を上回ることになります。
  • 本指標は追撃に適しています。
    直後1分足と直後11分足との方向一致率は78%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各90%・81%です。また、直後1分足終値がついた時点から見ると、そのまま反応が伸びたことは63%、反転したことが37%です。
  • 反応一致性分析の結果を見る限り、取引参加者が指標発表前に発表後の反応方向を予見している兆しは見受けられません。
    がしかし、指標一致性分析の結果では、事後差異と直前10-1分足との方向一致率が77%で、直後1分足との方向一致率が78%です。77%と78%なので、直前10-1分足が直後1分足の方向を示唆している確率は60%ということになります。
  • 以上の調査・分析結果に基づき、次のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。過去の陰線率が68%と高く、事前差異との方向一致率が73%となっています。
    (2) 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表直前にポジションを取ります。
    (3) 指標発表後は反応方向を確認次第、追撃を行います。複数回の追撃もOKです。



T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、後述するように過去のデータを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。

本指数の解釈は、50[ips]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50[ips]未満のときに利上げをしたことがないということ、です。

なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1706ISM製造業210.png

本指標に含まれる「新規受注」「雇用」「価格」は、関連する実態指標・雇用指標・物価指標の結果に先行している可能性があります。

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1706ISM製造業230.png

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これらのグラフは、発表結果と市場予想をプロットしています(「新規受注」を除く)。そして、下表は、それらのどちらが反応方向に影響を強く与えているかを調べています。この表は、後述する指標一致性分析の係数を求めていることになります。

前回結果と市場予想の差が事前差異、発表結果と市場予想の差が事後差異、発表結果と前回結果の差が実態差異、です。事前差異と直前10-1分足の方向一致率、事後差異・実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は求めています。

1706ISM製造業250.png

結果は、いずれの指数も単独では反応方向との関係が高いと言えません。そのため、景況指数の差異を3倍、雇用指数の差異を2倍、価格と新規受注指数を1倍して、各差異を合計しました。このとき、事後差異と直後1分足との方向一致率が78%となり、信頼度が高まります。

なお、厳密に言えば、もともと景況指数というのはその他の指数に基づき計算されています。よって、こうした数式処理は二重回帰に当たるので、統計的には正しいやり方ではありません。FXをやる上で面倒で関係ない話ではありますが、正しくない数式処理をしているので注記しておきます。

次に、景況指数のグラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中9回(31%)です。また、事後差異のプラスが続いたりマイナスが続いたことは、28回中22回(79%)です。
よって、本指標は「市場予想後追い型」です。

また、「Phil連銀景況指数」は、本指標の先行指標だと言われています。これも確かめておきましょう。

1706ISM製造業260.png

上図は、両指標の各差異同士・ローソク足の方向同士の同月一致率を一覧したものです。特に、先行性の有無は、実態差異で判断すべきなので、そこに着目すべきです。
結果は、両指標の実態差異の方向一致率は52%しかありません。

つまり、多くの指標解説で述べられている「Phil連銀景況指数」が「ISM製造業景況指数」の先行指数だという話は、少なくとも直近2年強の期間において事実として正しくありません。両指標結果は前月より増加するか減少するかということすら一致しておらず、まして、反応方向はむしろ両指標で逆方向に反応することの方が多いぐらいです。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1706ISM製造業310.png

1706ISM製造業320.png

1706ISM製造業330.png

1706ISM製造業340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706ISM製造業410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は78%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各90%・81%です。また、直後1分足終値がついた時点から見ると、そのまま反応が伸びたことは63%、反転したことが37%となっています。
つまり、本指標は指標発表後の追撃にかなり適しています。

反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706ISM製造業420.png

発表前は陰線となることが多く、発表後は陽線となることが多いようです。がしかし、それほど偏りが強い訳ではありません。
また、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706ISM製造業430.png

事前差異は、直前1分足との方向一致率が73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足は陰線の可能性が高いと思われます。

事後差異・実態差異は、直前10-1分足との方向一致率が77%で、直後1分足との方向一致率が78%です。77%と78%なので、直前10-1分足が直後1分足の方向を示している確率は60%ということになります。


【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年7月3日23:00発表

以下は2017年7月4日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】

(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706ISM製造業510.png

発表結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。

景況指数の57.8という数字は、2014年8月以来、約3年ぶりの水準です。
内訳の新規受注は63.5、雇用は57.2で、これらも前回結果・市場予想を上回っています。価格は55.0で、前回結果を下回り、昨年11月以来の水準に低下しました。

受注と雇用が良くて価格が下がっているのだから、単純に考えれば良いことです。がしかし、これでは現在が良くても将来が不安です。価格を下げなければ売れない可能性が残ります。最も良い姿は、価格が少しずつ上昇して受注が増えて雇用も増えることです。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1706ISM製造業520.png

直前10-1分足は陰線で、シナリオ上は指標発表直前に売ポジションの予定でした。直後1分足(指標発表直前のポジション取得)は、シナリオに反して買ポジションを取ってしまいました。シナリオを記憶違いしていて、「市場予想後追い型」が頭にあったため、です。

【6. 分析検証】

(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 反応程度は過去平均の2倍近く、反応方向は指標結果に対して素直でした。指標発表後の追撃もリズムがあって、比較的、安心して行えました。
  • 6月分と前回5月分データを見比べると、NY連銀は改善、Phil連銀は低下、ISMは改善、でした。
  • 「市場予想後追い型」らしく、前月と同じく市場予想を発表結果が上回りました。
  • 直後1分足と直後11分足の方向は一致し、両者の跳値同士・終値同士がともに反応を伸ばしました。追撃が行いやすいリズムもあったと感じています。
  • 指標発表前はほぼ値動きが止まり(やや陰線)、発表前に発表後の反応方向を予見している兆しは見受けられませんでした。直前10-1分足と直後1分足は方向が逆でした。


(6-2. シナリオ検証)

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1706ISM製造業530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

英国景気指標「製造業PMI」発表時のGBPJPY反応分析(2017年7月3日17:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年7月3日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1705英国製造業PMI110.png

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本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。

  • 英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応が大きいのでご注意ください。
    発表結果の良し悪しに非常に素直に反応し、追撃に適した指標です。
  • 素直に反応する特徴は、以下の過去実績に裏付けられています。
    すなわち、事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各96%・82%となっています。また実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・74%となっています。
  • 追撃に適している特徴は、以下の過去実績に裏付けられています。
    すなわち、直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。また、直後1分足終値がついた時点で、さらに反応を伸ばした確率は56%で、直後1分足値幅を削ったり反応方向が反転したことは45%です。
  • 指標発表前の早すぎるポジション取得には注意が必要です。発表前に直前10-1分足跳幅が10pipsに達したことが19回(母数29回)、20pipsに達したことが7回あります。がしかし、直前10-1分足が20pipsに達した7回のうち、直後1分足跳幅が20pipsに達したのは3回ですから、発表前の反応が大きいから発表後の反応も大きくなるという関係はありません。
  • 市場予想と発表結果を同時にプロットしたグラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。がしかし、調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中14回です。事後差異(発表結果ー市場予想)が前月に続いてプラスかマイナスが続いたことは11回です。つまり、入れ替わりが起きたとき14回と起きなかったとき11回のうち、起きなかったときの比率は44%です。
    よって、市場予想後追い型に見えますが、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
  • 以上の調査・分析結果に基づき、反応方向を確認次第、追撃を行います。
    大きく反応する指標ですから、指標発表時刻を跨いで無理をする必要はありません。



T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。

一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。

指数の解釈は、50[ips](上回ると景気拡大・50[ips](Index Points)を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1705英国製造業PMI210.png

グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中14回です。事後差異(発表結果ー市場予想)が前月に続いてプラスかマイナスが続いたことは11回です。つまり、入れ替わりが起きたとき14回と起きなかったとき11回のうち、起きなかったときの比率は44%です。
一見すると市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高く、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応が大きいことです。
発表前にも直前10-1分足跳幅が10pipsに達したことが19回(母数29回)、20pipsに達したことが7回あります。ちなみに、直前10-1分足が20pipsに達した7回のうち、直後1分足跳幅が20pipsに達したのは3回ですから、発表前の反応が大きいから発表後の反応も大きくなるという関係はありません。

1705英国製造業PMI310.png

1705英国製造業PMI320.png

1705英国製造業PMI330.png

1705英国製造業PMI340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1705英国製造業PMI410.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。また、直後1分足終値がついた時点で、さらに反応を伸ばした確率は56%で、直後1分足値幅を削ったり反応方向が反転したことは45%です。
よって、本指標は追撃に適しています。

反応一致性分析の結果を下図に示します。

1705英国製造業PMI420.png

直前10-1分足は陽線、直後1分足は陰線となったことが3回に2回以上となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。よって、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しは見受けられません。

指標一致性分析の結果を下図に示します。

1705英国製造業PMI430.png

事前差異は、直後11分足との方向一致率が29%(不一致率71%)です。現時点で事前差異はマイナスとなっているので、こういうときには直後11分足が陽線となりがちです。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各96%・82%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しに非常に素直に反応します。
実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・74%です。発表結果の前回結果に対する良し悪しにも非常に素直に反応します。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上



2017年7月3日17:30発表

以下は2017年7月3日20:30頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】

(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1705英国製造業PMI510.png

結果は前回・市場予想を下回り、反応は陰線でした。

発表値は54.3ですから、悪い数字ではありません。参考にすべき基準は、2016年7月のEU離脱国民投票直後が48付近、2017年5月の総選挙表明後・総選挙前月が58弱です。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1705英国製造業PMI520.png

追撃しやすい指標ですから、利確はシナリオ通りです。

シナリオ外取引の論拠は、勝率でなく期待値をアテにしてでした。
先週のBOE総裁による利上げ検討の報道に対し、もしPMIが良くても既にGBPにはそのことが折込まれています。一方、利上げ検討前に景況感が悪化すると、利上げが難しくなってしまいます。よって、先週のGBPの大きな上昇分をかなり失う可能性がある、と考えてのポジション取得でした。

【6. 分析検証】

(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 反応は平均的な程度で指標結果に素直なものでした。
  • 直後1分足と直後11分足は方向が一致したものの、跳幅が伸びずに値幅が伸びました。追撃ポジションのタイミングが悪ければ損切になりかねない形でした。

(6-2. シナリオ検証)

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
1705英国製造業PMI530.png


以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年07月02日

2017年7月3日08:50発表予定ー日本景気指標「日銀短観」調査

今回は調査と定型書式づくりです。取引予定はありません。

2017年7月3日08:50に日本景気指標「日銀短観」が発表されます。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。

1707日本短観100.png

1707日本短観110.png

1707日本短観120.png

1707日本短観130.png

1707日本短観140.png



T.調査・分析

【1. 指標概要】

省略します。


【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの12回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。

1707日本短観210.png

1707日本短観220.png



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1707日本短観310.png

1707日本短観320.png

1707日本短観330.png

1707日本短観340.png

【3. 定型分析】

省略します。
【4. シナリオ作成】

取引しません。
以上



2017年6月第5週成績と、7月第1週主要指標の過去反応pips

本成績は、2017年1月1日時点でGBPJPY1枚分の投資額の10倍(¥579,680)を元本に、本ブログ記載の方法で取引を行いつつある途中経過です。
現時点まで半年間の運用益は30%に達しており、正直言って、例年に比べて「運が良かった」こともあるでしょう(例年の約2倍ペースです)。取引する・しないの判定基準を70%(例年75%)まで下げたため、取引対象指標が3倍ぐらいに増えたことが原因、と思われます。


【1. 今週成績及び所感】

6月第5週の取引結果を纏めておきます。

20170605W成績.png

今週は5指標で取引を行いました。
取引時間は13分24秒(1指標当たり2分41秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+3,919円(同+784円)でした。
勝率は、指標単位で100%(5勝)、シナリオ単位では75%(9勝3敗)でした。
取引時間は短く抑えることができて無理なく勝率が稼げた半面、収益はやや少なくなりました。

個別の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。


6月第5週の経済指標要点は次の通りでした。

  • 素直な初期反応がすぐに反転してしまう指標が多く見受けられました。週初めのECB総裁発言によって、プロの思惑で為替・金利・株価が動き始めた週だったと思います。こういうとき、我々アマチュアが下手に解釈しても仕方がありません。プロがいつ動くかはわからないのです。
  • 米国指標は、個人消費が弱いため物価上昇圧力が弱まってきているものの、1−3月期GDPは確定値で+1.4%まで挽回してきた、と捉えれば良いと思います。所得が伸びている以上、それが消費に回るのがいつなのかが問題です。
  • 欧州指標は、独景気は現在が絶好調で半年後も続くと見る向きがやや少なくなっています。独失業率はやや悪化したものの、東西統一後で最も良い状態ですから問題ありません。移民は職を奪うというこれまでの切り口が的外れだと判ると、難しい報道が必要になるので面倒です。FXには関係ありませんけど。
  • 英国指標は、GDP確定値が改定値水準を維持して+2.0%となっていました。本発表に前後してBOE総裁やMPC委員から利上げ検討の発言が続きました。



【2. 次週主要指標の過去反応】

次週6月第5週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。

20170701W予定.png

この表の右3列の数字は、過去の直後1分足跳幅・値幅・直後11分足値幅の平均pipsです。データはまだ、各指標の前回までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が1-3pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。

関心を持っている内容は次の通りです。

  • 次週は、英製造業PMI・豪政策金利・英サービス業PMI・英鉱工業生産・米雇用統計、と大きく反応(20pips以上)する指標発表が続きます。
  • ほとんど反応しないため取引はしないと思いますが、日本指標では日銀短観が公表されます。また、豪州政策金利が発表されます。
    先週までに、米欧英加の中銀が緩和縮小に関する何らかの姿勢を明らかにしており、残る主要国は日豪です。そういう意味で注目しています。
  • 米国指標はISMと雇用統計が発表されます。最近の雇用統計は、雇用者数よりも平均賃金の方が注目されています。ISMの数値改善はFRBの引締政策実施を後押しするので注目されています。今回のFOMC議事録は、先のFOMC声明で当座の疑問が解消されているので、あまり反応しないと思われます。
  • 欧州指標はECB理事会議事録が公表されるものの、それ以前にECB幹部の相次ぐ発言によって、議事録内容はEURレートに折込まれているはずです。
  • 英国指標は、先週のBOE総裁発言で利上げ検討の前提が「消費の落ち込みを設備投資でどれだけ挽回できるか」に関心が集まっています。1-3月期GDP確定値が先週発表(企業設備投資も)されたばかりなので、その後の消費実態と投資意欲に結び付くPMIに注目しておきましょう。

以上


4-3. 欧州経済指標DB(2017年6月最終版)

欧州の経済指標発表前後の取引はEURJPYで行っています。
欧州経済指標発表前後のEURJPYは、トレンドの影響が強く指標結果の影響が弱い、という傾向を感じています。おそらく、各国毎の発表が先行しているため、その時々にEURレートに折込済という場合が多いのでしょう。だから、指標発表結果への反応方向は素直なものの、反応程度が小さく反応期間が短い、という感触を持っています。

【4-3-1. 6月概観】

EURJPY月足は、始値124.54円・高値128.83円・安値122.40円・終値128.46円で、値幅392pips・跳幅421pipsの陽線でした。USDJPY陽線値幅が168pips、EURUSD陽線値幅が179pipsですから、EURが最も強く、USDも買われ、JPYが売られた月でした。

月足一目均衡表では雲の中で基準線の上抜けに成功し、7月は遅行線が実体線(133〜134円付近)に当たるまで伸びそうな勢いさえあります。現在の終値128.46円と遅行線が実体線に当たる133円までは、あと3.6%の上昇が必要です。
「4-2. 米国経済指標DB(2017年6月最終版)」に記した通り、EURUSDの6月終値は1.1422ドルで、月足一目均衡表で遅行線が実体線を上抜け、上昇トレンド転換サインが出ました。EURUSDのレジスタンスは1.1616ドル付近(+1.7%)、1.1713ドル付近(+2.5%)、1.1951ドル付近(+4.6%)にあるので、これらも参考になるでしょう。

欧州の10年債金利は独債の動きを見ています。
月末間近になってECB総裁が量的緩和縮小に向けた考えが示された結果、独10年債金利が短時間のうちに急上昇しました。1月・3月にピークを付けたときには0.48%だったので、現在の0.47%からそれらピークを上抜けできなければ、EURJPY(EURUSD)の上昇は期待できません。

欧州株価はDAXの動きを見ています。
DAXは、月初から6月19日まで上昇(12,889ユーロ)、その後月末には12,325ユーロまで下げています(△4.4%)。がしかし、現在の独経済の好調さを踏まえると、△4.4%の下落には違和感があります。結果、いつもはECB緩和政策に反対だった独財務相が「緩和縮小は様子を見ながらゆっくり」と、珍しい注文をしていました。どう転んでも文句を言う人っていますよね。

欧州政治の次のイベントは9月24日投票の独総選挙です。現在の保守系与党(キリスト教民主社会同盟)と、最大野党社民党の支持率は、6月下旬に39%対24%と報道されています。ECBが緩和縮小への着手を積極的に宣伝すると、独株価が下がることがわかりました。そして、独財務相もコロッと態度を変えることもわかりました。
ならば、もうECBが独政権与党の足を引っ張るとは思えません。6月にEURが買われた理由のひとつ(もうひとつは仏選挙結果)は9月独選挙まで再封印(のらりくらり)されるのではないでしょうか。まして、ブリグジット交渉遅延なんて、独選挙での与党の数議席に比べれば、取るに足らない問題です。

結論、7月のEURJPYは、6月ほど勢いがなくゆっくりと上昇するのではないでしょうか。


【4-3-2. 政策決定指標】

(1) 金融政策

過去のECB緩和政策が効果をあげたのか、欧州の成長率・物価は上向きつつあります。他の国であれば、次はいつどのように引き締めを開始するかに注目すべきです。

2017年6月9日、ECBは金融政策の現状維持を決めています。政策金利の先行きは「現状かそれ以下の水準」から「当面の間、現状水準にとどまる」に見通しが修正されました。既に、2017年後半にかけて2018年以降の資産買い入れ方針をどうするか議論することが言及されていたので、今後の関心は毎月600億EURの減額をどの程度のペースで進めて行くかに集まっています。

6月28日、「ECB総裁が政策微調整の可能性を示唆」との報道があり、ECBが9月にも緩和策縮小を発表する可能性があるという憶測が報道されました。その結果、独金利とEURは高騰しました。翌29日にはECB関係筋の話として、この憶測は打ち消されています。
責任を問われない形で、独政府が求めていた姿に近づけたことに、ECB総裁の手腕が窺えます。

打ち消しが可能な前提をちりばめた話をしておき(安全装置)、その装置のスイッチをひとつずつOFFしながらEURを大きく上下させて望ましく調整するやり方は、現ECB総裁のいつも(ECB政策金利発表後の記者会見)のやり口です。もちろん、ECB総裁がどんな人かは知りません。でもこのやり口は、出世する官僚が責任を問われず政策遂行するための常套手段の万国共通スタイルとして知られています。

 (事例1) ECB政策金利(2017年6月8日発表結果検証済)

(2) 景気指標

関連指標同士の関係も整合性があり、発表直後の反応は比較的素直です。反応は小さいものの、実態指標分析の裏付けとなるし、練習にはもってこいかも知れません。但し、指標発表前後の影響は、日米英豪に比べて小さく短時間です。
なお、ZEWとIfoの先行性・遅行性の関係は市場予想を除いてほとんどありません。その結果、Ifoの市場予想は程度どころか増減方向すら外れがちです。

独国6月分ZEWは、期待指数が市場予想を下回り、現況指数が市場予想を上回りました。現況指数は2011年7月以来の高水準となっています。
そして、独国・欧州6月分PMI速報値は、いずれも製造業が高水準維持し、サービス業がやや低下しました。
6月26日に発表されたIfo景況指数では、1991年以来の最大値を更新しました。景況感指数(先行き)も僅かですが、前月結果を上回っていました。

 (事例1) 独国Ifo景況指数(2017年6月26日発表結果検証済)
 (事例2) 独国PMI速報値(2017年6月23日発表結果検証済)
 (事例3) 欧州PMI速報値(2017年6月23日発表結果検証済)
 (事例4) 独国ZEW景況感調査(2017年6月13日発表結果検証済)

(3) 物価指標

ECB政策転換の時期を探るため注視しておきたい指標です。
6月30日に発表されたHICP速報値は、コア前年比が前回結果(+0.9%)を上回って+1.1%でした。これはまだ、ECBが目標とする2%弱というレベルまで、あと少し時間がかかりそうに思える数字です。

6月28日に市場を混乱させたECB総裁発言の「秋に政策微調整可否のための状況確認」は、この数字が秋までに目標近辺に到達するという意味ではない、と思われます。秋の独総選挙が終わるまで、新たな情勢判断を不用意に出来ない、と受け取る方がしっくりきます。

 (事例1) HICP(消費者物価指数)速報値(2017年6月30日発表結果検証済)

(4) 雇用指標

5月3日、独連邦雇用庁は4月失業者数(季節調整後)が254.3万人となり、前月比△1.5万人と発表しました。失業率は前月同値の5.8%で、こんな数字なのに1990年の東西統一以来の低水準維持だそうです。驚きです。
6月発表値は失業率がやや悪化したようですが、この水準での多少の増減は全て良い結果ということになります。
それで、移民の何が問題だったっけ。


【4-3-3. 政策決定指標】

(1) 経済成長

欧州GDPは、発表結果と反応方向とがあまり関係ありません。おそらく、各国毎の発表が先行しているため、その時々にEURレートへの折込みが行われるからでしょう。

 (事例1) 独国四半期GDP(季調済)速報値(2017年2月14日発表結果検証済)

(2) 実態指標

地域間格差が大きく、何を見て因果関係を掴めばよいかがわかりません。
今後、独指標について調べていこうと思います。ただ、独→英→日と二重翻訳資料をあたることになるので、リアルタイムの情報収集が難しいことと、多くの指標が15時・16時発表というのが面倒ですね。そもそも、ドイツ語なんてバームクーヘンぐらいしか覚えていませんもんね。
以上


2017年07月01日

4-2. 米国経済指標DB(2017年6月最終版)

米国の経済指標発表前後の取引はUSDJPYで行っています。
米国の政治・金融・経済の動向は、どの通貨ペアにも影響を及ぼします。望ましくは、東京時間の取引はUSDJPYで、欧州・米国時間はEURUSDで行いたいものです。

【4-2-1. 6月概観】

USDJPYについては「4-1. 日本経済指標DB(2017年6月最終版)」に記載済のため、ここではEURUSDについて纏めておきます。
EURUSD月足は、始値1.1243ドル・高値1.1445ドル・安値1.1119ドル・終値1.1422ドルで、値幅179pips・跳幅202pipsの陽線でした。
月足一目均衡表では遅行線が実体線を上抜け、月足でも上昇トレンド転換サインが出ました。但し、2015年8月高値(1.1713)と2016年5月高値(1.1616)とを結んだレンジスタンスラインが、7月には1.1440付近に下がってきています。レジスタンス上抜けに何度か跳ね返されてトライし直す必要があるかも知れません。このレジスタンスを抜ければ、次は2016年5月高値(1.1616)、2015年8月高値(1.1713)、雲下端(1.1951)がレジスタンスになります。

10年債金利の動きに繋がる内容としては、6月FOMCでFRBの資産縮小計画を示された一方、月末間近になってECB総裁が量的緩和縮小に向けた考えを示しました。その結果、独10年債金利が短時間のうちに急上昇をしました。月末金利自体は独債0.46%・米債2.3%となっていますが、6月月初時点がそれぞれ0.31%・2.21%だったことを思えば、6月の落差は独債の方が大きかった訳です。
よって、先述の6月月末付近のEURUSDの急上昇は米独の金利差縮小(金利差比の拡大)に裏付けられています。

ダウは、月初から6月19日まで上昇、その後月末までが停滞となっています。FOMCが保有債券規模縮小を示したり、ロシアゲートが話題になった割に動きがありません。つまり、為替にとって株価は影響しない月(影響が小さい月)でした。


【4-2-2. 政策指標】

(1) 金融政策

2017年の政策金利利上げは3回が予定されていました。3月・6月を市場予想通り実施し、ここにきてあと1回の利上げを今年行わないのではないか、と言われています。というのも、6月FOMCで現在4.5兆ドル規模(ほぼ日本のGDP並み)のBS(バランスシート)縮小に着手する方針を示し、市場では早ければ9月にも縮小を開始する可能性について話題に挙がっているためです。

もし9月に縮小を始められない市場環境ならば、利上げも難しい状況です。もしBS縮小を12月に行うなら、次回利上げは9月頃と考えられ、6月利上げの影響の検証期間が足りません。だから、利上げが12月だとすれば、9月にBS縮小を開始することになります。がしかし、BS縮小の影響こそ未知な施策ですから、影響を時間をかけて検証する必要があります。それならば12月に利上げは難しく、むしろBS縮小の開始が遅れてあと1回の利上げが今年できないのではないか、という論理です。

何かちょっと面倒くさい理屈です。最初、1回読んでも、話がぐるぐるしていてナニを言っているのかわかりませんでした。7月中にはもっと単純化されていてほしいものです。

 (事例1) FOMC政策金利(2017年6月15日発表結果検証済)
 (事例2) FOMC議事録(2017年5月25日公表結果検証済)

(2) 財政政策

米国GDPに対し公共投資が与える影響は、日本の場合に比して小さなものです(絶対額でなく比率で考察)。従って、政府予算の配分が変わることは経済的な直接効果よりも、関連法規改正などで予算配分が増えた分野への政府支援が強まる間接効果となります(日本の場合は直接効果が大きい)。にも関わらず、そうした政策変更は、JPYに対してよりもUSDに対して大きく影響が現れがちな点が不思議です。

現在、米政権はオバマケア代案法案・税制改革・2018年度予算案(予算削減先が多い)の検討・承認を議会に求めつつ、ロシアゲート問題・北朝鮮問題(中国問題)・多国間協定離脱の代替施策必要性(FTAやパリ協定)を抱えています。
きっと風呂敷も日本の20倍ぐらいあるのでしょう。


(3) 景気指標

(3-1) 総合・非製造業
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数とCB(カンファレンスボード)消費者信頼感指数とは、統計の目的・内容・時期が同じにも関わらず、実態差異の方向一致率を見る限り関係がありません。
6月発表結果も、UM速報値とCBの結果はそれぞれ前月結果に対し悪化と改善になり、逆の結果が発表されています。CBの現在指数は2001年7月以来の高水準になっていました。

6月分発表結果は、UM確報値・CB・ISMのいずれも改善となりました。物価上昇を下回る賃金伸び率による消費低迷で景気腰折れが懸念されていましたが、とりあえずいずれも改善です。
ISMが示した内容は、雇用指数が低下したものの、事業活動指数・新規受注指数・価格指数のいずれも5月より改善となっていました。

 (事例1) UM消費者信頼感指数速報値(2017年6月16日発表結果検証済)
 (事例2) CB消費者信頼感(2017年6月27日発表結果検証済)
 (事例3) ISM非製造業・総合景況指数(2017年7月6日発表結果検証済)

(3-2) 製造業
最も反応が大きい指標はISMです。ISMへの相関が強いと言われるのがPhil連銀景気指数で、Phil連銀景気指数への相関が強いと言われるのがNY連銀景気指数です。がしかし、その相関は毎回の取引でほぼありません。Phi連銀とISM製造業の発表結果は、前回結果より大きい・小さいすら52%しか一致していません。

6月分発表結果は、前回5月分発表結果に対して、NY連銀が改善、Phil連銀が低下、ISM製造業が改善、となりました。
ISMの内容を見ると、新規受注指数・雇用指数が改善し、物価指数が低下しています。この組み合わせは悪くありません。

 (事例1) NY連銀製造業景気指数(2017年5月15日21:30発表結果検証済)
 (事例2) Phil連銀製造業景気指数(2017年5月18日発表結果検証済)
 (事例3) ISM製造業景況感指数(2017年7月3日23:00発表結果検証済)
(4) 物価指標

FRBが注目しているというPCEコアデフレータが最重要だと思われます。

物価は、材料(輸入物価指数)→生産(PPI)→消費(CPI)へと下流に波及すると言われています。がしかし、少なくとも直近2-3年は、PPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)は、同月のPPIとCPIの増減の方向一致率が高くなっています(先行性と言うより同時性があります)。そして、輸入物価指数とPPI・CPIとの方向一致率には、数か月まで遡っても増減の方向一致率に強い相関は見出せません。

6月29日に発表された1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBが既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。

 (事例1) 四半期PCEコアデフレータ(2017年6月29日発表結果検証済)
 (事例2) PCEコアデフレータ(2017年6月30日発表結果検証済)
 (事例3) CPI(2017年6月14日発表結果検証済)
 (事例4) PPI(2017年6月13日発表結果検証済)
 (事例5) 輸入物価指数(2017年5月10日発表結果検証済)

(5) 雇用指標

景気を表すのは新規雇用者数と失業率で、これらについては既にFRB幹部も満足しています。だから、最近は景気を後押しする平均時給の伸びが注目されています。インフレ圧力が強まっているのに、賃金が伸びなければいずれ好調な個人消費が減少に転じ、それが経済成長を阻むと考えられているから、です。

6月分のISM製造業景況指数の雇用指数は前月より改善しました。ISM非製造業景況指数・ADP雇用統計は前月より低下しました。そして、これらと関連深いとされる雇用統計NFP増減は改善しました。
平均時給と失業率が悪化したものの、いずれも過去の指標トレンドの解釈を変えるほどの悪化ではありません。

 (事例1) 雇用統計(2017年7月7日21:30発表結果検証済)
 (事例2) ADP民間雇用者数(2017年7月6日発表結果検証済)


【4-2-3. 経済指標】

(1) 経済成長

財政収支・国際収支の赤字が続いていても、主要先進国において米国経済は最も好調です。そういう実態を踏まえると、素人にも現状の景気の良し悪しを最もわかりやすく表しているのがGDPなのでしょう。

6月29日に発表された1-3月期GDP確定値は、改定値を上回って1.4%となりました。雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%よりもいずれ盛り返す、というFOMC見解は正しかったのでしょう。

 (事例1) 四半期GDP速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
 (事例2) 四半期GDP改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
 (事例3) 四半期GDP確定値(2017年6月29日21:30発表結果検証済)

(2) 実態指標

「消費」や「住宅」が景気に関わるというのはわかるような気がします。がしかし、米国で「製造」が経済に与える影響は為替を動かすほど大きいのか、どうもピンとこないまま調査や分析を怠っていました。「住宅」は、もともとあまり反応しません。
やはり基本は、米国GDPの70%を占めるというPCEです。

(2-1) 消費
米国GDPの約70%は個人消費が占めています。

 (事例1) 四半期PCE速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
 (事例2) 四半期PCE改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
 (事例3) 四半期PCE確定値(2017年6月29日発表結果検証済)
 (事例4) PCE・個人所得(2017年6月30日発表結果検証済)
 (事例5) 小売売上高(2017年6月14日発表結果検証済)

(2-2) 住宅
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標もあります。反応は素直な傾向が目立つものの、注目度の割に反応が小さい指標ばかりです。

米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。5月分データ(6月23日発表)は前月比がプラスに転じています。これが、今回の結果が6月利上げによる駆け込み需要があったのか否かという観点での解説記事は、まだ見受けられません。

 (事例1) 中古住宅販売件数(2017年6月21日発表結果検証済)
 (事例2) 新築住宅販売件数(2017年6月23日23:00発表結果検証済)
 (事例3) 建設支出(2017年4月3日発表結果検証済)

(2-3) 製造
製造業(エネルギー分野を含む)は、米国GDPの約12%を占めています。だから、製造業の好不調が米国経済に与える影響は小さい、と捉えています。雇用指標や景気指標に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応は大したことありません。

6月23日に発表された耐久財受注は、全体が前月結果を下回り、コアが前月結果を上回りました。全体・コアともに、指標推移のグラフから好不調を判断できない結果です。

 (事例1) 鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率(2017年5月16日発表結果検証済)
 (事例2) 耐久財受注(2017年6月26日発表結果検証済)


【4-2-4. 対外収支】

最近の傾向は毎月400億ドルの貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算並みということですよね。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。本指標は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向に関係なく、そして反応が比較的大きい傾向があること、です。少し変な指標です。

7月6日に発表された5月分貿易収支は、前月比△2.3%減の465億ドルでした。内訳の輸出は2年ぶりの高水準だったことが、赤字を減らした原因と考えられます。輸出の内訳は、石油が過去最高となっていました。棒

 (事例1) 貿易収支(2017年4月4日発表結果検証済)
以上


4-1. 日本経済指標DB(2017年6月最終版)

日本の経済指標発表前後の取引はUSDJPYで行っています。指標そのものへの反応は小さく、取引には向きません。ただ、円クロス取引の基準となるため動きに注目しています。


【4-1-1. 6月概観】

USDJPY月足は、始値110.78円・高値112.93円・安値108.83円・終値112.46円で、値幅168pips・跳幅215pipsの陽線でした。
月足一目均衡表転換線に跳ね返され、雲上端を少しだけ抜けて基準線に当たった状態です。2015年6月高値(125.86)を起点とするレジスタンス線が、7月に入ると113円中盤まで下がってきます。

10年債金利の動きに繋がる内容としては、日銀で出口政策検討が開始されるとの報道がありました。そして、6月下旬には、海外主要中銀の緩和縮小に向けた動きも報道されました。
日本だけはまだ、物価目標到達にほど遠いので、現時点での日銀緩和縮小は過去の政策失敗を認めるようなものです。政策方向の違い以前に、「言ったことができたか」という実績に差が生じており、日銀と他の中銀との間に信頼感の差を生じてしまいます。
信頼と安心とは違うものの、それらは近い関係にあるので、そのことが円クロスの動きを複雑化しないかが心配です。まぁ、指標発表前後の取引に影響はないでしょうけど。

日経平均は6月2日に20,000円を抜け、月末終値も20,033円と、2万円台をキープしました。
7月はUSDJPYの上値が抑え込まれている感が強く、為替が株価を引き上げることは想像しにくいと思います。もし米株好調が続くなら、そちらに引きずられて海外投資家のJPY割安感から、「JPY買い→日本株買い」に資金が流れ、それが7月のUSDJPYを押し下げるかも知れません。

経済指標全般は、改善基調継続が期待されていたものの、結果は停滞感を示していたと感じます。

政策指標は、雇用が失業率3.1%と4か月ぶりに3%台に戻ったものの、有効求人倍率が1.49でバブル期超えして中立結果です。物価は2016年夏頃が底で、その後の上昇基調継続を確認したかったものの、5月分コアCPI発表値は前月同値でした。6月分東京都区コアCPIはむしろ0%に低下してしまいました。

実態指標は、5月家計消費支出前年比△0.1%、5月小売販売額前年比+2.0%、5月鉱工業生産前月比速報値△3.3%、5月新説住宅着工戸数前年比△0.3%、で全体的に6月発表値は5月よりも悪化が多いように見受けられます。

収支は、5月通関ベース貿易収支が4か月ぶりにマイナスに転じました。がしかし、実数で見てみると、輸出額は6か月連続で増加し、輸入額は2015年1月以来の伸び率となったため、差し引き赤字だったようです。これなら赤字でも悪い内容ではありません。


【4-1-2. 政策指標】

(1) 金融政策

政策金利及び政策発表時刻は、金融政策決定会合終了次第となっており不定時です。ほぼ正午前後に発表されるものの、大きな政策変更があるときには発表が遅れるというジンクスがあります。ともあれ、平日昼間の発表で時刻が不定というのでは、趣味でFXをやっている多くの人にとって取引参加できない、ということですね。取引に参加できなくても、大きな動きだけは追っておきましょう。

6月日銀金融政策決定会合は、市場予想通り「イールドカーブ・コントロール付き量的・質的緩和の継続」が結論でした。
従来、出口政策議論は時期尚早という姿勢だったものの、「検討を開始する」との報道も6月に入ってからはありました。報道要点は「現在の長期国債保有残高を年間80兆円程度増加する、という政策をこのまま継続すると、2020年頃に対GDP比100%を超えてしまう」という危機感に基づくものです。実際には、日銀会合議事録でそのような危機感が委員間で「共有」されているという記載は見当たらないので、これは在野の危機感です。
ただ一連の報道を追うことで、「現在の長期国債購入ペースは年間60兆円を下回っているので、既に実質的テーパリングが始まっている」との指摘があることを知りました。

(2) 財政政策

危機的と言われて久しい財政赤字については、国債がほぼ国内で消化されていることや、国全体のバランスシート上の対外純資産が多いことから、楽観視する向きが多いようです。これはおかしな理屈で、財政赤字を民間も含めた与信規模で安心するという理屈がちっともわかりません。
夕張市に金持ちが居ても、夕張市が財政破綻したら、行政サービスは現実問題として縮小したし、市は財政投資ができなくなったじゃないですか。

(3) 景気指標

景気指標への反応は、日欧が小さく米英が大きいという傾向があります。
短観は日銀金融政策の判断材料とされているので、報道では大きく扱われます。2017年7月3日に発表された短観では、企業規模の大小を問わず全般的な景況感改善となっていました。特に製造業は3四半期連続改善し、2014年3月以来の水準に達し、消費税増税前のレベルまで回復しました。

 (事例)日銀短観(2017年7月3日調査)

(4) 物価指標

金融・財政政策に影響を与えるため記録しています。がしかし、ほとんど動かない指標のため、これも取引には向いていません。
なお、海外におけるコアCPI(消費者物価指数)に相当するのはコアコアCPIです。日本におけるコアCPIは生鮮食料品だけを除き、エネルギーを除いていません。日銀が目標とする物価上昇率2%とは、このコアCPIの年率+2%を指しています。

6月12日に発表された5月分企業物価指数前年比は+2.1%、6月26日に発表された5月分企業向けサービス価格指数前年比は+0.7%でした。前者は2017年1月からプラスに転じ、後者は消費税増税後もプラスをずっと継続しています。
6月30日に発表された5月分コアCPIは+0.4%で、前月同値となりました。まだまだ物価目標2%には届かない上、6月分の東京都区コアCPIは0%に再低下してしまいました。
製造・流通・販売・消費の上流側は確かに上向いている状態が続いているものの、小売の収益が悪化する傾向がずいぶん長期に亘って続いています。

 (事例1) 全国CPI・東京都区CPI(2017年6月30日発表結果検証済)
 (事例2) GDPデフレータ速報値(2017年5月18日発表結果検証済)

(5) 雇用指標

他の指標と同時発表されることが多く、反応もほぼありません。
6月6日発表の4月賃金前年比は+0.5%、6月30日発表の5月失業率は3.1%、有効求人倍率は1.49倍でした。有効求人倍率1.49倍という数字は43年3か月ぶりの高水準だそうです。物価上昇を超える賃金上昇が続いているように見えますが、TV報道の解説では実質所得は低下しているそうです。

ちなみに、43年前というと1974年です。ウォーターゲート事件でニクソン大統領が辞任したり、ルバング島で小野田少尉が救出されたり、長嶋選手が巨人を引退したり、カーペンターズが来日した年です。USDJPYは何と274.43円〜305.33円という水準だった時代です。


【4-1-3. 経済指標】

いずれも反応しないことは同じです。指標良し悪しに対して為替が絶望的に反応しません。

(1) 経済成長

米国・中国・EUに次ぐ経済規模なのに、なぜこの程度しか反応しないのか、昔から不思議です。とはいえ、速報値は、日本指標の中ではBOJ(日銀)政策金利発表時に次いで動くようです。
6月8日発表の1-3月期改定値(海外主要国の確定値に相当)は+1.0%でした。

 (事例1) 四半期GDP速報値(2017年5月18日発表結果検証済)

(2) 実態指標

かつてよりも製造業はBtoB(企業-企業間取引)を重視しています。CPIではわからない動きを指標で掴むため、製造業の動向が必要です。非製造業には、金融・小売だけでなく発電などが含まれています。

6月1日に発表された1-3月期産業設備投資額前期比は+4.5%で、6月12日に発表された4月機械受注前月比は△3.1%でした。機械受注前月比は前2か月がプラスなので、気にするマイナス幅ではありません。
5月鉱工業生産速報値前月比は△3.3%、5月小売販売額前年比+2.0%、5月家計消費支出前年比△0.1%、5月新説住宅着工戸数前年比△0.3%、です。
全体的に6月発表値は前月よりも悪化が多いように見受けられます。

 (事例1) 機械受注(2017年6月12日発表結果検証済)
 (事例2) 鉱工業生産速報値(2017年2月14日発表結果検証済)


【4-1-4. 対外収支】

貿易収支と経常収支で反応に結び付くのは貿易収支の方です。日本の対米・対中収支は、政治的発言・事件によって景気や為替に影響を与えます。

5月通関ベース貿易収支が4か月ぶりにマイナスに転じました。がしかし、実数で見てみると、輸出額は6か月連続で増加し、輸入額は2015年1月以来の伸び率となったため、差し引き赤字だったようです。これなら赤字でも悪い内容ではありません。

 (事例1) 貿易統計(通関ベース)(2017年6月19日発表結果検証済)
 (事例2) 貿易収支・経常収支(2017年2月8日発表結果検証済)

以上


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