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2017年07月13日
米国物価指標「CPI」調査(2017年7月14日21:30発表済)
本指標と同時刻には「小売売上高」の発表があります。反応方向への影響力は、小売売上高>CPI、です。よって、以下はCPI単独のデータのみ整理しておきます。発表前後の反応分析詳細と事後検証は、小売売上高の分析記事
の方をご参照ください。
2017年7月14日21:30に米国物価指標「CPI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の過去傾向は、
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標結果を先行示唆するPPIとの関係を、「2-2. ウソは嫌いだ!」に纏めてあります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
本指標項目毎の反応方向への影響力について整理し、総合的に反応方向と一致率が高くなるような各項目への重み付けを行います。
重み付けの係数は、事後差異(発表結果ー市場予想)と発表結果に最も素直に反応すべき直後1分足の方向一致率が最も高くなるように求めています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
の方をご参照ください。
2017年7月14日21:30に米国物価指標「CPI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の過去傾向は、
- 反応が比較的大きく、
- 反応方向は素直で、
- 追撃は早期参加して、反転に気を付けて直後11分足の跳幅狙いが適しています。
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標結果を先行示唆するPPIとの関係を、「2-2. ウソは嫌いだ!」に纏めてあります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
本指標項目毎の反応方向への影響力について整理し、総合的に反応方向と一致率が高くなるような各項目への重み付けを行います。
重み付けの係数は、事後差異(発表結果ー市場予想)と発表結果に最も素直に反応すべき直後1分足の方向一致率が最も高くなるように求めています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月11日
米国物価指標「PPI」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月13日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月13日21:30に米国物価指標「PPI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻、米国雇用指標「週次新規失業保険新鮮件数」が発表されます。また、23:00にはFRB議長の議会証言が予定されています。
本指標の過去傾向は、
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PPI(生産者物価指数)は約10,000品目の販売価格(出荷時点価格)を調査・算出した物価指標です。1982年の平均物価を100として算出されています。PPIから、価格変動が大きい食糧・エネルギーを除いた指標がコアPPIです。
内訳には「品目別」「産業別」「製造段階別(原材料・中間財・完成財)」があり、「品目別」「産業別」を見て、結果(「コア指数」「総合指数」)の解釈を行います。
さて、物価は上流から下流へと波及すると、かつては解説されていました。がしかし、これは供給側の論理が消費側の論理よりも強かった時代の話です。確かめておきましょう。
PPIに先行するのは輸入物価指数です。もし輸入物価指数が前月より上昇したら、PPIも前月より上昇するのなら、輸入物価は生産者物価を先行示唆することになります。
下図は、輸入物価指数とPPIの増減方向が一致した率をプロットしています。横軸でPPIと比較する輸入物価指数を時期ずれさせています。
この図からは、輸入物価が上昇すればPPIも上昇する、といった関係が見出せません。輸入材料が倉庫に置かれる期間も考慮して、輸入物価と3か月後のPPIまで比較しても、両者の方向一致率は高くありません。
当然です。
物価に影響を与える量産品の原価は、ざっくり、材料費(1)+光熱費(1)+加工費(1)です。これに製造益(1)と営業益(1)を加えると、全て輸入材料で作られる製品ですら、材料費はPPIの20%程度です。輸入物価が前月に比べて1%上昇しても、材料費は20.2%にしかなりません。その一方、営業前線では、その製品が売れている・売れていないで、最終製品価格を10%単位で顧客と価格交渉しているのです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
では次に、PPI及びコアPPIの前月比・前年比のどの項目が、反応に寄与するのかを下表に示しておきます。
結論から言えば、最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足の反応方向を高くするには、
という係数のときだとわかりました。この式で求まる事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は83%です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月14日00:10頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、PPIが市場予想を上回り、コアPPIが市場予想を下回りました。前回結果と比べると、全般的には生産者物価は下がっています。
反応は陽線で、直後11分足は直後1分足の跳幅・値幅を超えて伸びました。
同時発表された週次新規失業保険申請件数は、ほぼ市場予想通りでした。
よって、今回の反応は指標結果によるというより、23:00のFRB議長議会証言を睨んでの動きと推察されます、
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、指標発表7秒前ぐらいから陰線側に転じました。
今回は指標発表前にポジションを取る予定がなかったので、ギリギリまでポジション解消を待てたことが勝因です。
追撃は、高値掴みとなってしまい、一時は陰線側に転じて含損が生じていました。これも、21:35頃からの再反転によって救われました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
反応は小さく、最終的には素直な方向に落ち着いたものの、どちらに反応が伸びるか迷いがあったように見受けられました。
直前1分足は陰線で、指標発表後の反応は素直でない方向となりました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月13日21:30に米国物価指標「PPI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
同時刻、米国雇用指標「週次新規失業保険新鮮件数」が発表されます。また、23:00にはFRB議長の議会証言が予定されています。
本指標の過去傾向は、
- 反応程度は、直後1分足跳幅・値幅が各17pips・12pipsと、あまり大きくありません。
- 反応方向は、事後差異と直後1分足の方向一致率が83%で、発表結果の良し悪しに素直な傾向があります。
- 直後1分足終値がついて時点で、それから直後1分足値幅を削ったか反応方向が反転したことが50%です。追撃するなら早期参加・短期利確です。
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 今月はまだ輸入物価指数が未発表ですが、気にする必要はありません。一部の解説で見受けられるような「物価は上流から下流に波及」という説明は、輸入物価と生産者物価に関する限り、ほぼ関係ありません。
- PPI・コアPPIともに、前月比の差異は前年比の差異に比べて反応方向に2倍影響を与えます。PPIとコアPPIの反応への影響力には差がありません。
- 過去のローソク足を見る限り、指標発表前の直前10-1分足と直前1分足にはヒゲが目立ちます。ヒゲの長さや方向は、指標発表後の反応程度・方向との関係が見出せません。
- 直前1分足の陰線率は88%となっています。
指標発表前のローソク足方向は、指標発表後のローソク足の方向とは関係ありません。他の取引参加者も、本指標の反応方向は読み切れていない、ということです。 - 市場予想がどうあれ、指標発表前のローソク足の方向とは関係ありません。発表後の反応は、指標結果の良し悪しに素直に反応しています。
- 追撃にも向きません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が61%しかなく、直後1分足終値がついた時点では、そこから更に反応に伸びたことと、逆方向に伸びることが各50%です。
もし追撃するなら、早期参加・短期利確です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。過去平均の跳幅が4pipsしかないので、当日の値動きが激しくなければ、取引は止めます。
(2) 指標発表直後の反応が10pips未満なら追撃してすぐ利確します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PPI(生産者物価指数)は約10,000品目の販売価格(出荷時点価格)を調査・算出した物価指標です。1982年の平均物価を100として算出されています。PPIから、価格変動が大きい食糧・エネルギーを除いた指標がコアPPIです。
内訳には「品目別」「産業別」「製造段階別(原材料・中間財・完成財)」があり、「品目別」「産業別」を見て、結果(「コア指数」「総合指数」)の解釈を行います。
さて、物価は上流から下流へと波及すると、かつては解説されていました。がしかし、これは供給側の論理が消費側の論理よりも強かった時代の話です。確かめておきましょう。
PPIに先行するのは輸入物価指数です。もし輸入物価指数が前月より上昇したら、PPIも前月より上昇するのなら、輸入物価は生産者物価を先行示唆することになります。
下図は、輸入物価指数とPPIの増減方向が一致した率をプロットしています。横軸でPPIと比較する輸入物価指数を時期ずれさせています。
この図からは、輸入物価が上昇すればPPIも上昇する、といった関係が見出せません。輸入材料が倉庫に置かれる期間も考慮して、輸入物価と3か月後のPPIまで比較しても、両者の方向一致率は高くありません。
当然です。
物価に影響を与える量産品の原価は、ざっくり、材料費(1)+光熱費(1)+加工費(1)です。これに製造益(1)と営業益(1)を加えると、全て輸入材料で作られる製品ですら、材料費はPPIの20%程度です。輸入物価が前月に比べて1%上昇しても、材料費は20.2%にしかなりません。その一方、営業前線では、その製品が売れている・売れていないで、最終製品価格を10%単位で顧客と価格交渉しているのです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
では次に、PPI及びコアPPIの前月比・前年比のどの項目が、反応に寄与するのかを下表に示しておきます。
結論から言えば、最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足の反応方向を高くするには、
2✕PPI前月比の差異
+1✕PPI前年比の差異
+2✕コアPPI前月比の差異
+1✕コアPPI前年比の差異
+1✕PPI前年比の差異
+2✕コアPPI前月比の差異
+1✕コアPPI前年比の差異
という係数のときだとわかりました。この式で求まる事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は83%です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月13日21:30発表
以下は2017年7月14日00:10頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、PPIが市場予想を上回り、コアPPIが市場予想を下回りました。前回結果と比べると、全般的には生産者物価は下がっています。
反応は陽線で、直後11分足は直後1分足の跳幅・値幅を超えて伸びました。
同時発表された週次新規失業保険申請件数は、ほぼ市場予想通りでした。
よって、今回の反応は指標結果によるというより、23:00のFRB議長議会証言を睨んでの動きと推察されます、
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、指標発表7秒前ぐらいから陰線側に転じました。
今回は指標発表前にポジションを取る予定がなかったので、ギリギリまでポジション解消を待てたことが勝因です。
追撃は、高値掴みとなってしまい、一時は陰線側に転じて含損が生じていました。これも、21:35頃からの再反転によって救われました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
反応は小さく、最終的には素直な方向に落ち着いたものの、どちらに反応が伸びるか迷いがあったように見受けられました。
直前1分足は陰線で、指標発表後の反応は素直でない方向となりました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月10日
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年7月12日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月12日17:30に英国雇用統計が発表されます。英国雇用統計は「失業保険申請件数」「平均所得(給与)」「失業率」からなります。今回発表は、「失業保険申請件数」が2017年6月分、「平均所得」「失業率が2017年5月分の集計です。
ここで、上表記載の「平均所得(除ボーナス)」「失業率(英国方式)」は、以下の分析に用いていません。
さて、本指標の過去傾向は、
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。そもそも終身雇用という制度がないという雇用環境も、我々とは異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、少なくとも直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
これら「失業保険申請件数」「平均所得(含ボーナス」「失業率(ILO方式)」について、どの項目がどれぐらい反応方向に寄与しているかを調べておきました。下表をご覧ください。
最も関心のある事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は、平均所得>失業率>失業保険申請件数、の順に高いことがわかりました。
この結果に基づき、上記3項目の重み付けを求めると、
ということがわかりました。すなわち、平均所得や失業率の0.1%の差異は、失業保険申請件数の3万人に相当しています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直後1分足と直後11分足の反応は、2015年頃に比べて2016年以降が明らかに小さくなっています。利確・損切の目安は、データ数を絞って直近だけを見た方が良さそうです。
対して、直前10-1分足・直前1分足の反応は、以前と最近とほぼ同じ程度です。それぞれ10pips程度動くので注意が必要です。
特に直前1分足跳幅平均が12pipsあることは頭に入れておきましょう。直前1分足の動きはその後のローソク足の反応方向と無関係な指標が多いなか、本指標では直前1分足と直後1分足との方向一致率が68%もあります。本指標では直前1分足が3回に2回の割合で、指標発表直後の反応方向を示唆しているのです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月12日22:40頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、平均時給(含ボーナス)が市場予想同値で、失業保険申請件数・失業率が市場予想を下回りました。
反応は陽線で、指標結果に対し素直なものとなりました。直後11分足は、直後1分足よりも跳幅・値幅ともに反応を伸ばしました。
今回集計分データは、失業保険申請件数・失業率が改善しており、陽線の反応は自然です。がしかし、異なる見方をブルームバーグが伝えています。
この記事に依れば「3か月平均でデータを見る限り実質賃金は低下しており、有効求人倍率も1/1.9倍と統計開始以来最低、とのことです。
単月のデータを見て、英国雇用指標が改善したと思うのは浅慮という警鐘記事となっています。
取引結果は次の通りでした。
17:21と17:25に「どん」と陽線側に反応を伸ばし、17:30発表結果と同じ方向へと発表前に大きく動きました。17:21の「どん」で、10秒程度戻りを待ったものの、下がる気配が見えなかったので損切しました。17:25の「どん」で損失を増やさず、正解だと言えるでしょう。
どれほど考えても、外れるときは外します。
直前1分足は「直前10-1が陽線ならば取引中止」のシナリオに従いました。
指標発表直前のポジションは、直前10-1分足の動きが気になり迷っているうちに、ポジションを取り損ねました。
シナリオ通りならば、直前1分足と同じ方向にポジションを取っていたので、これは正解です。
追撃は、シナリオに従って早期、但し、利確は少し遅らせました。
幸い利確となりましたが、このポジションも取得直後は含損を持ったので、一時は損切を迷いました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月12日17:30に英国雇用統計が発表されます。英国雇用統計は「失業保険申請件数」「平均所得(給与)」「失業率」からなります。今回発表は、「失業保険申請件数」が2017年6月分、「平均所得」「失業率が2017年5月分の集計です。
ここで、上表記載の「平均所得(除ボーナス)」「失業率(英国方式)」は、以下の分析に用いていません。
さて、本指標の過去傾向は、
- 反応が大きい経済指標のひとつですが、最近の傾向は反応があまり大きくありません。
- 反応方向は、平均所得>失業率>失業保険申請件数、の順に影響を受けます。
- 追撃は早期参加・短期利確に適しています。
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 2015年頃に比べて、最近の反応は小さくなっています。
直近12回の平均値では、直後1分足跳幅・値幅が各17pips・11pips、直後11分足跳幅・値幅が各25pips・13pipsです。これではそれほど反応が大きな指標とは言えません。油断禁物とは言え、かつてのように50pipsの指標というイメージは持たない方が良いでしょう。 - 対して、直前10-1分足・直前1分足の反応は、以前と最近とほぼ同じ程度です。それぞれ10pips程度動くので注意が必要です。
特に直前1分足跳幅平均が12pipsあることは頭に入れておきましょう。直前1分足の動きはその後のローソク足の反応方向と無関係な指標が多いなか、本指標では直前1分足と直後1分足との方向一致率が68%もあります。
本指標では直前1分足が3回に2回の割合で、指標発表直後の反応方向を示唆しているのです。 - 最も関心のある事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は、過去の傾向から言えば、平均所得(含ボーナス)>失業率(ILO方式)>失業保険申請件数、の順となります。
これら3項目の関係は、平均所得発表結果が市場予想を0.1%上回ることは、失業率(ILO方式)が同0.1%下回ることに相当します。これらの場合に、失業保険申請件数発表件数は、市場予想より3万人下回ることに相当しています。 - 本指標は、各期間毎のローソク足の方向が、次の期間のローソク足の方向を示唆しがちです。
例えば、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が32%(不一致率68%)となっており、両ローソク足は方向が反転しがちです。また、直前1分足と直後1分足の方向一致率は68%で、この点は前述の通りです。そして、
直後1分足と直後11分足の方向一致率は79%となっています。 - 本指標は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が86%、直後11分足との方向一致率が79%です。発表結果の良し悪しには素直に反応します。
- 追撃は早期参加・短期利確に適しています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は79%あり、方向一致時に跳値同士・終値同士で反応を伸ばしたことが各64%・64%となっています。そして、直後1分足終値がついた時点では、そのまま反応を伸ばして直後11分足終値を付けたことが50%しかありません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
直前10-1分足の事前差異との方向一致率が64%で、今回の事前差異は現時点においてマイナスとなっています。
但し、取引基準には達していないので、無理にポジションを取る必要はありません。
(2) 直前1分足は陽線と見込みます。
直前1分足の事前差異との方向一致率は36%(不一致率64%)で、直前10-1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)です。
よって、もし直前10-1分足が陽線なら、分析結果に矛盾を生じることになるので、取引は諦めます。
(3) 直後1分足は、直前1分足と同方向と見込み、指標発表直前にポジションを取得します。
両者の方向一致率は68%と3回に2回が一致しています。
(4) 追撃は反応方向判明次第行い、利確は早めに行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。そもそも終身雇用という制度がないという雇用環境も、我々とは異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、少なくとも直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
これら「失業保険申請件数」「平均所得(含ボーナス」「失業率(ILO方式)」について、どの項目がどれぐらい反応方向に寄与しているかを調べておきました。下表をご覧ください。
最も関心のある事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は、平均所得>失業率>失業保険申請件数、の順に高いことがわかりました。
この結果に基づき、上記3項目の重み付けを求めると、
−1✕失業保険申請件数の差異[万人]
+30✕平均所得(含ボーナス)の差異[%]
ー30✕失業率(ILO方式)の差異[%]
+30✕平均所得(含ボーナス)の差異[%]
ー30✕失業率(ILO方式)の差異[%]
ということがわかりました。すなわち、平均所得や失業率の0.1%の差異は、失業保険申請件数の3万人に相当しています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直後1分足と直後11分足の反応は、2015年頃に比べて2016年以降が明らかに小さくなっています。利確・損切の目安は、データ数を絞って直近だけを見た方が良さそうです。
対して、直前10-1分足・直前1分足の反応は、以前と最近とほぼ同じ程度です。それぞれ10pips程度動くので注意が必要です。
特に直前1分足跳幅平均が12pipsあることは頭に入れておきましょう。直前1分足の動きはその後のローソク足の反応方向と無関係な指標が多いなか、本指標では直前1分足と直後1分足との方向一致率が68%もあります。本指標では直前1分足が3回に2回の割合で、指標発表直後の反応方向を示唆しているのです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月12日17:30発表
以下は2017年7月12日22:40頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、平均時給(含ボーナス)が市場予想同値で、失業保険申請件数・失業率が市場予想を下回りました。
反応は陽線で、指標結果に対し素直なものとなりました。直後11分足は、直後1分足よりも跳幅・値幅ともに反応を伸ばしました。
今回集計分データは、失業保険申請件数・失業率が改善しており、陽線の反応は自然です。がしかし、異なる見方をブルームバーグが伝えています。
この記事に依れば「3か月平均でデータを見る限り実質賃金は低下しており、有効求人倍率も1/1.9倍と統計開始以来最低、とのことです。
単月のデータを見て、英国雇用指標が改善したと思うのは浅慮という警鐘記事となっています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
17:21と17:25に「どん」と陽線側に反応を伸ばし、17:30発表結果と同じ方向へと発表前に大きく動きました。17:21の「どん」で、10秒程度戻りを待ったものの、下がる気配が見えなかったので損切しました。17:25の「どん」で損失を増やさず、正解だと言えるでしょう。
どれほど考えても、外れるときは外します。
直前1分足は「直前10-1が陽線ならば取引中止」のシナリオに従いました。
指標発表直前のポジションは、直前10-1分足の動きが気になり迷っているうちに、ポジションを取り損ねました。
シナリオ通りならば、直前1分足と同じ方向にポジションを取っていたので、これは正解です。
追撃は、シナリオに従って早期、但し、利確は少し遅らせました。
幸い利確となりましたが、このポジションも取得直後は含損を持ったので、一時は損切を迷いました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 最近では比較的大きな反応となりました。がしかし、以前に比べれば大したことありません。
- 直前10-1分足は跳幅26pipsにもなり、指標発表後の反応方向と同じでした。一方、事前分析では、直前1分足の反応が大きく、指標発表後の反応方向を示唆する記していました。
直前10-1分足・直前1分足ともに、事前分析を外しました。
ローソク足の方向において過去分析通りだったのは、直後1分足と直後11分足の方向一致のみでした。 - 平均時給(含ボーナス)は市場予想通りだったので、失業保険申請件数と失業率が市場予想よりも改善されたことに素直に反応しました。
- 今回は、被害こそ結果的に小さかったものの、完全に読みを外しました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月09日
日本国際収支発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月10日08:50発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月10日08:50に日本国際収支「貿易収支」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
本指標の過去傾向は、
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
「貿易収支」と「貿易収支(通関ベース)」は、「輸入建値」と「計上範囲・時点」の違いがあり、もともと数字が一致しないものです。この違いをざっくり説明すると、輸送費や保険料といったサービス収支を含む・含まないという違いと、所有権移転時点と通関時点という違いです。
例えば、日本がアメリカ製の人工衛星を購入し、アメリカで打ち上げるケースについては、人工衛星の所有権がアメリカから日本に移転した時点で「貿易収支」に計上されますが、人工衛星は関税境界を越えないため「貿易統計(通関ベース)」には計上されません。
詳しくはこちらの財務省HPの説明をご覧ください。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
見比べずらくて申し訳ないことに、貿易収支の単位は[億円]、経常収支の単位は[兆円]となっています。
エクセルをアップデートしたら旧ファイルがいくつも壊されたため、その復元が最優先で手間をかけられなかったのです。
ともあれ、貿易収支と経常収支の反応への影響を調べておきましょう。
結果は、貿易収支の100億円が経常収支の30億円に相当する関係が、過去の実績からあることがわかりました。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月10日12:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、貿易収支・経常収支ともに市場予想を下回り、反応は直後1分足が同値、直後11分足が陰線でした。
貿易収支の内訳は、輸出・輸入ともに増えた上での赤字でした。品目・地域別では、米国からの液化石油ガスの輸入を大幅に増やしたものの自動車輸出が好調だったため、対米貿易収支は黒字に転じました。
経常収支は貿易収支の赤字拡大で前月より減少したものの、1.65兆円の黒字でした。これで黒字は2年11か月連続となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は、押し目を待って僅かに利確しておきました。
追撃は、シナリオの前提に従って中止しました。事後差異がマイナスとなったので、陽線が期待できなかったため、です。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月10日08:50に日本国際収支「貿易収支」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。
本指標の過去傾向は、
- 反応程度は小さく取引に向きません。
- 指標発表直後の反応方向はあまり素直ではありません。
- 追撃は発表直後よりも、東証寄付の1-2分前からに適しています。
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 前回結果や市場予想との差が同じなら、貿易収支は経常収支の3倍強、反応方向に影響を与えます。
- 今回の事前差異(市場予想ー前回結果)はマイナスとなっています。事前差異の符号は直前10-1分足と方向一致率が32%(不一致率68%)です。
指標発表前のローソク足の方向は、指標発表後のローソク足の方向と関係ありません。 - 直前1分足の陰線率が76%となっています。がしかし、直前1分足は過去平均で跳幅2pips・値幅1pipsしかなく、取引に向きません。
- 指標発表直後の反応方向を示唆するパターンはありません。がしかし、事後差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率は76%となっています。これは、本指標への反応が東証寄付頃に反応が生じがち、と確認できています。
ちなみに、貿易収支の差異✕1[億円]+経常収支の差異✕0.3[億円]で求めた事後差異が、上記76%の方向一致率となります。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陽線と見込みます。但し、過去平均は2-5pipsしか反応していません。
(2) 指標発表後は、東証寄付の直前1-2分に上記事後差異の方向に追撃します。但し、これも過去平均は指標発表時刻8:50を始値として4-7pipsしかありません。
いずれも、この程度の反応は何かトレンドが発生していたら、簡単に呑み込まれてしまう程度です。そして、先週末は、米10年債・ダウ・USDJPYのいずれも上昇しています。追撃は陽線が期待できるときのみ、とします。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
「貿易収支」と「貿易収支(通関ベース)」は、「輸入建値」と「計上範囲・時点」の違いがあり、もともと数字が一致しないものです。この違いをざっくり説明すると、輸送費や保険料といったサービス収支を含む・含まないという違いと、所有権移転時点と通関時点という違いです。
例えば、日本がアメリカ製の人工衛星を購入し、アメリカで打ち上げるケースについては、人工衛星の所有権がアメリカから日本に移転した時点で「貿易収支」に計上されますが、人工衛星は関税境界を越えないため「貿易統計(通関ベース)」には計上されません。
詳しくはこちらの財務省HPの説明をご覧ください。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
見比べずらくて申し訳ないことに、貿易収支の単位は[億円]、経常収支の単位は[兆円]となっています。
エクセルをアップデートしたら旧ファイルがいくつも壊されたため、その復元が最優先で手間をかけられなかったのです。
ともあれ、貿易収支と経常収支の反応への影響を調べておきましょう。
結果は、貿易収支の100億円が経常収支の30億円に相当する関係が、過去の実績からあることがわかりました。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月10日08:50発表
以下は2017年7月10日12:00頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、貿易収支・経常収支ともに市場予想を下回り、反応は直後1分足が同値、直後11分足が陰線でした。
貿易収支の内訳は、輸出・輸入ともに増えた上での赤字でした。品目・地域別では、米国からの液化石油ガスの輸入を大幅に増やしたものの自動車輸出が好調だったため、対米貿易収支は黒字に転じました。
経常収支は貿易収支の赤字拡大で前月より減少したものの、1.65兆円の黒字でした。これで黒字は2年11か月連続となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は、押し目を待って僅かに利確しておきました。
追撃は、シナリオの前提に従って中止しました。事後差異がマイナスとなったので、陽線が期待できなかったため、です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 今回は、貿易収支・経常収支ともに市場予想を下回ったので、どちらが反応に強く影響するかは確認できませんでした。
- 今回の事前差異(市場予想ー前回結果)はマイナスとなっていました。事前差異の符号は直前10-1分足と方向一致率が32%(不一致率68%)となっていたので、直前10-1分足は陽線と予想していました。
結果は陰線で外しました。がしかし、これは確率的なことなので、従来の分析を見直す・見直さないという話ではありません。 - 過去の直前1分足の陰線率が76%となっていたものの、過去平均で跳幅2pips・値幅1pipsしかなく、取引を断念していました。
結果は陰線となったものの、1pipsしか動いていないので、ポジション取得断念は正解です。 - 事前分析では、事後差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率は76%となっていました。
結果は、事後差異がマイナスで、直後1分足は同値・直後11分足は陰線で、東証寄付09:00に陰線値幅のほとんどを形成しました。過去のパターン通りです。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月08日
2017年7月第1週成績と、7月第2週主要指標の過去反応pips
本成績は、2017年1月1日時点でGBPJPY1枚分の投資額の10倍(¥579,680)を元本に、本ブログ記載の方法で取引を行いつつある途中経過です。
現時点まで半年間の運用益は30%に達しており、正直言って、例年に比べて「運が良かった」ようです(例年の約2倍ペースです)。理由は、運と、取引する・しないの判定基準を70%(例年75%)まで下げて取引回数が増えたことと、本ブログを始めたことで分析用の図表類の一覧が容易になったため、と思います。
その代わりに、ブログを書いてからでないと、何か取引する気がしなくなったのがちょっと面倒です。
「アイ・ロボット」という映画のワンシーンで、主人公がロボットに「君らには感動的な芸術を生み出せないだろう」というセリフがあります。するとロボットは「あなたは?」と訊きかえすシーンがあります。芸術は私も駄目ですが、まだまだ分析して取引に臨めば、自動売買プログラムには負けません。
自動売買プログラムを否定する気はなく関心もあるのですが、あれば資金が大きいほど収益率がよくなるという噂もあります。でも「何だかわからないけど、どうやら大金を預けるほど有利になるらしい」という話ぐらい怪しい話はないでしょう。だから、この噂にはちょっとひねった悪意があるように思います。
自動売買プログラムの会社の人に悪いので、推測で恐縮ながら、これは「どうなるかわからない市場だからこそ、自動取引に判断を委ね、一旦、委ねたらある程度の期間はほっておける人が有利」ということではないでしょうか。
少なくとも一定ルールでの取引で利確・損切を躊躇なく行えるという点は、自動売買の方が人間より優れているでしょう。「1-3. 難しさの正体って何だ」にも書きましたが、これは有利です。
7月第1週の取引結果を纏めておきます。
今週は7指標で取引を行いました。
取引時間は27分3秒(1指標当たり3分52秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+7,676円(同+1,097円)でした。勝率は、指標単位で85%(6勝1敗)、シナリオ単位では74%(20勝7敗)でした。
問題ありません。
7月第1週の指標概要は次の通りでした。
個別の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。
次週6月第5週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。
グラフは各指標反応の過去平均pipsです。データはまだ、各指標の前回分析時までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が1-3pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
関心を持っている内容は次の通りです。
現時点まで半年間の運用益は30%に達しており、正直言って、例年に比べて「運が良かった」ようです(例年の約2倍ペースです)。理由は、運と、取引する・しないの判定基準を70%(例年75%)まで下げて取引回数が増えたことと、本ブログを始めたことで分析用の図表類の一覧が容易になったため、と思います。
その代わりに、ブログを書いてからでないと、何か取引する気がしなくなったのがちょっと面倒です。
「アイ・ロボット」という映画のワンシーンで、主人公がロボットに「君らには感動的な芸術を生み出せないだろう」というセリフがあります。するとロボットは「あなたは?」と訊きかえすシーンがあります。芸術は私も駄目ですが、まだまだ分析して取引に臨めば、自動売買プログラムには負けません。
自動売買プログラムを否定する気はなく関心もあるのですが、あれば資金が大きいほど収益率がよくなるという噂もあります。でも「何だかわからないけど、どうやら大金を預けるほど有利になるらしい」という話ぐらい怪しい話はないでしょう。だから、この噂にはちょっとひねった悪意があるように思います。
自動売買プログラムの会社の人に悪いので、推測で恐縮ながら、これは「どうなるかわからない市場だからこそ、自動取引に判断を委ね、一旦、委ねたらある程度の期間はほっておける人が有利」ということではないでしょうか。
少なくとも一定ルールでの取引で利確・損切を躊躇なく行えるという点は、自動売買の方が人間より優れているでしょう。「1-3. 難しさの正体って何だ」にも書きましたが、これは有利です。
【1. 今週成績及び所感】
7月第1週の取引結果を纏めておきます。
今週は7指標で取引を行いました。
取引時間は27分3秒(1指標当たり3分52秒)、損益はいつも1枚ずつの取引で+7,676円(同+1,097円)でした。勝率は、指標単位で85%(6勝1敗)、シナリオ単位では74%(20勝7敗)でした。
問題ありません。
7月第1週の指標概要は次の通りでした。
- 米国指標は、景気指標・雇用指標・貿易収支が発表されました。景況感は上昇したものの平均時給と失業率が悪化し、貿易赤字前月比は減ったものの、赤字額そのものは1-3月期より大きい水準のままでした。一部で、4-6月期GDPを悲観的な解釈を解説した記事も出始めました。
- 英国指標は、PMIが製造業・建設業・サービス業のいずれも低下したことに加え、鉱工業生産指数・製造業生産指数が悪化し、貿易収支は前月より赤字額が増えました。「いいとこ無し」の発表が続いた週でした。
- 豪州経済指標は、小売売上高前月比がプラスを維持しました。がしかし、RBA声明に依れば、この程度のことは「低水準の金利」に支援されているだけなのでしょう。RBA政策金利は現状維持で、当面の利上げはないでしょう。
個別の調査・分析・結果・検証の記録は以下をご参照ください。
- 英国6月集計分製造業PMI
- 米国6月集計分ISM製造業景況指数
- 豪州5月集計分小売売上高
- 英国6月集計分サービス業PMI
- 米国6月集計分ADP民間雇用者数
- 米国6月集計分ISM非製造業景況指数
- 米国6月集計分雇用統計
【2. 次週主要指標の過去反応】
次週6月第5週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。
グラフは各指標反応の過去平均pipsです。データはまだ、各指標の前回分析時までの記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が1-3pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
関心を持っている内容は次の通りです。
- 次週の指標は上図以外にも多数発表が予定されています。がしかし、比較的分析しやすくて他の指標に影響緑が強い指標は上図に示したものぐらいでしょう。
大きく反応(20pips以上)する指標は英国雇用統計ぐらいしかありません。次いで米国小売売上高で、この時刻には同時に米国CPIも発表されるので、取引参加者が多くて直前の値動きが激しくなるかも知れません。 - 次週、米国は経済指標よりもFRB議長の議会証言や政策課題が取引材料になりそうです。政策課題とは100日計画が期限が迎えることです。100日計画というのは、米政権が貿易収支改善のため、通商代表部に対し相手国側を巻き込んで改善を求めた行動計画のことです。
- 先週発表された米国貿易収支は、前月より赤字幅が縮小していたものの、4・5月の平均は1-3月の平均より赤字が増えていました。100日計画期限を迎える週なので、また米政権に日本は「わーわー」言われて、その都度、USDJPYの頭を押さえそうです。日本貿易収支を見ておき、対米黒字の増減を調べておきます。日本語で読める資料で調べた方が楽ですからね。
- 英国は雇用統計が発表されます。6月集計分では先週発表されたPMIが製造業・建設業・サービス業のいずれも低下しており、雇用への影響が心配されます。
以上
2017年07月06日
米国雇用指標「NFP変化・失業率・平均時給」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月7日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月7日21:30に米国雇用指標「NFP(非農業部門雇用者数)変化・失業率・平均時給」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の過去傾向は、
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
詳細ないしは論拠は「T.調査・分析」を参照頂くこととして、その要点を以下に纏めておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
さて、最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。
がしかし、下図をご覧ください。この図は、上記3つの指数・指標の結果を前月結果と比べた増減を、同月雇用統計のNFP増減数が前月結果と比べた増減と、方向一致率を調べたものです(実態差異の方向一致率を求めています)。
これでは当たらないと言った方が良いぐらいです(調査範囲は2015年1月分発表から前回発表までの29回分です)。あまりにひどい一致率ですが、事実は事実だから仕方ありません。
よって、ISMの雇用指数やADP民間雇用者数を論拠に、雇用統計のNFP増減を論じることはできません。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。これらグラフは、発表結果が後に修正値されても、修正せずに定時発表時のままの値をプロットしています。理由はおわかりだと思いますが、経済情勢の正確な把握よりも、発表時の反応との関係分析を優先するためです。
これら「NFP増減」「失業率」「平均時給」の反応への影響を調べておきましょう。
平均時給>NFP増減>失業率の順に、結果の良し悪しが反応方向に影響することがわかりました。そして、
で事後差異を求めると、直後1分足の反応と方向一致率が90%に達することがわかりました。
では次に、この係数を用いた雇用指標結果を用いて、先述の比較で最もアテになるADP結果と指標間一致性分析を行っておきます。
陰線率の方向一致率以外はひどいものです。
これは先述の通り、もともと最も関係が深いと思われるNFP増減とすら、ADP結果の実態差異の方向一致率が58%しかなかったため、と理解できます。
となれば、もう因果関係に説明がつくような分析ではなくなるものの、両指標の事後差異の方向一致率が32%(不一致率68%)しかないことに着目して、「逆張りの有効性」を調べるしかありません。
例えば、ADP民間雇用者数の発表結果が市場予想を下回った月は、雇用統計全体の発表結果が市場予想を上回る、というようなことです。上表では、こうした逆張り分析が3回に2回以上有効だったことが、データで示唆されています。
重ねて注記ですが、こんなデータ上の特徴には因果関係の説明がつきません。無理筋を通すなら、「ADP結果が良いときは、雇用統計発表以前に折込みが進むため、雇用統計発表後に事実売り(買い)が発生しやすい」という解釈です。
そうかも知れないけれど、どうもしっくりきません。
さて、雇用統計の事後差異と直後1分足の方向一致率は、過去90%にも達してます。
従って、ADP民間雇用者数の事後差異と逆方向に雇用統計直後1分足が反応することは、68%と90%の現象が重なったときなので、61%ということになります。
話が面倒だった割には、あまりアテにできる(高い確率)話じゃありませんね。これなら他の分析結果をアテにする方が、期待的中率が高くなります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
政策変更期待があるときの各国中銀の金利発表時を除くと、本指標と英国雇用統計は最も反応が大きい指標です。それだけに、騙しや高値(安値)掴みには気を付けましょう。
騙しや高値(安値)掴みを避けるセオリーなんてありません。騙されるときは騙されるし、タイミングを間違って高値(安値)掴みしてしまうこともあります。
本文を読んでくれた方のため、本指標の特徴を2つ挙げておきます。
ひとつは、直前1分足が陽線になったことは調査期間において4度しかないものの、陽線になったからと言って、直後1分足が陽線になるか否かは結果的に関係なかったことが下図を見比べればわかります。慌ててはいけません。
もうひとつは、直後1分足跳幅が過去平均値50pipsを超えたことは11回(38%)あります。この11回だけに注目して、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅よりも伸びたことは8回(72%)です。当り前の傾向ですが、大きく反応したときには、発表から1分を過ぎてから高値・安値を付けがちです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月7日23:10頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はまちまちで、NFP増減は改善、失業率と平均時給は悪化しました。
この、まちまちの結果を受けて、発表から20秒程度経過すると、長い上ヒゲを残して値幅を削り、発表後3分を経過した頃には陰線へと転じました。そして、発表から5分経過後には再び陽線側に反応を伸ばしました。反応はかなり複雑な動きで、方向を見切るような取引方法では損切となった人も多いと推察します。
妙な動きが直前1分足でありました。発表の10秒前ぐらいから「すー」と陰線側に伸びたのです。前日のADP発表直前にも全く同じ動きがあり、単に発表直前のポジションクローズではないのかも知れません。
この動きに連られて売っていたら、発表直後の初期反応で損切が自然です。初期反応を見てから追撃しても、発表後20秒ぐらいで決済していないと、再び損切が自然です。もう一度、ドテンしても5分以内に決済していないと、またまた損切になっていた可能性があります。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足の利確が早すぎたかも知れませんが、これで構いません。前述の「すー」と陰線側に大きく動いたのは、指標発表10秒前ぐらいからです。そこまで付き合っていたら、指標発表直後の反応を狙ったポジションが取れずにいたかも知れません。
発表時刻を跨いだ直後1分足跳幅狙いは、うまいタイミングで利確できました。
最初の追撃は一時、含損が生じていたものの、失業率と平均時給が悪化していたので、含益転換が待てました。3度目の追撃は、まさかもう一度反転するとは考えていなかったので、これは判断ミスです。
事前調査分析内容を、以下に検証します。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月7日21:30に米国雇用指標「NFP(非農業部門雇用者数)変化・失業率・平均時給」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の過去傾向は、
- 反応が非常に大きい経済指標のひとつで、
- 反応方向は素直な傾向があり、
- 追撃は早期参加・短期利確に適しています。
定型分析結果を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
詳細ないしは論拠は「T.調査・分析」を参照頂くこととして、その要点を以下に纏めておきます。
- ISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数の雇用指数やADP民間雇用者数は、本指標のNFP増減の結果を先行示唆すると言われています。
がしかし、直近29回の結果を調べた限りアテにならず、ADPを除けば外れることの方が多いくらいです。そのADPの結果も、NFP増減の結果を正しく示せたことは58%しかありません。 - 発表結果項目毎の発表結果の良し悪しは、直後1分足の反応方向と、平均時給(78%)>NFP増減(66%)>失業率(57%)、となっています。
また、各項目に適切な係数を用いて回帰計算を行うと、事後差異と直後1分足の方向一致率は90%と達します。よって、本指標は素直に反応する傾向があります。 - 直前1分足の陰線率は83%と、かなり偏りがあります。
指標発表前のローソク足の方向が、指標発表後のローソク足の方向を示唆している兆候はありません。 - 事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足との方向一致率が75%となっています。つまり、最も有名な指標だけに、指標結果方向について市場予想がアテにできる訳です。そして、今回の事前差異はプラスです。よって、陽線で反応する可能性が高い、と解釈します。
- 指標発表時点から見て、直後1分足と直後11分足の方向一致率は86%です。直後1分足と直後11分足の跳幅同士・終値同士を見比べると、反応が伸びた確率は各80%・56%です。そして、次に、直後1分足終値がついた時点から見ると、直後11分足の終値が伸びていたことは48%しかありません。
つまり、反応方向を確認したら追撃ポジションを取り、短期利確に適しています。発表から1分を過ぎると、そこからどちらに反応するかはわからない、ということです。騙しや高値(安値)掴みには注意が必要です。 - 以上の分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は陽線と見込みます。
(3) 追撃は早期参加・短期利確で行います。分析結果からは、発表から1分を過ぎての追撃に適していない指標となっているものの、大きく動きがちな指標なので、チャートの動き次第では慎重に再追撃しても良いでしょう。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
さて、最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。
がしかし、下図をご覧ください。この図は、上記3つの指数・指標の結果を前月結果と比べた増減を、同月雇用統計のNFP増減数が前月結果と比べた増減と、方向一致率を調べたものです(実態差異の方向一致率を求めています)。
これでは当たらないと言った方が良いぐらいです(調査範囲は2015年1月分発表から前回発表までの29回分です)。あまりにひどい一致率ですが、事実は事実だから仕方ありません。
よって、ISMの雇用指数やADP民間雇用者数を論拠に、雇用統計のNFP増減を論じることはできません。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。これらグラフは、発表結果が後に修正値されても、修正せずに定時発表時のままの値をプロットしています。理由はおわかりだと思いますが、経済情勢の正確な把握よりも、発表時の反応との関係分析を優先するためです。
これら「NFP増減」「失業率」「平均時給」の反応への影響を調べておきましょう。
平均時給>NFP増減>失業率の順に、結果の良し悪しが反応方向に影響することがわかりました。そして、
NFP増減の差異[単位:万人]✕1
ー失業率の差異[単位:%]✕10
+平均賃金前月比の差異[単位:%]✕30
ー失業率の差異[単位:%]✕10
+平均賃金前月比の差異[単位:%]✕30
で事後差異を求めると、直後1分足の反応と方向一致率が90%に達することがわかりました。
では次に、この係数を用いた雇用指標結果を用いて、先述の比較で最もアテになるADP結果と指標間一致性分析を行っておきます。
陰線率の方向一致率以外はひどいものです。
これは先述の通り、もともと最も関係が深いと思われるNFP増減とすら、ADP結果の実態差異の方向一致率が58%しかなかったため、と理解できます。
となれば、もう因果関係に説明がつくような分析ではなくなるものの、両指標の事後差異の方向一致率が32%(不一致率68%)しかないことに着目して、「逆張りの有効性」を調べるしかありません。
例えば、ADP民間雇用者数の発表結果が市場予想を下回った月は、雇用統計全体の発表結果が市場予想を上回る、というようなことです。上表では、こうした逆張り分析が3回に2回以上有効だったことが、データで示唆されています。
重ねて注記ですが、こんなデータ上の特徴には因果関係の説明がつきません。無理筋を通すなら、「ADP結果が良いときは、雇用統計発表以前に折込みが進むため、雇用統計発表後に事実売り(買い)が発生しやすい」という解釈です。
そうかも知れないけれど、どうもしっくりきません。
さて、雇用統計の事後差異と直後1分足の方向一致率は、過去90%にも達してます。
従って、ADP民間雇用者数の事後差異と逆方向に雇用統計直後1分足が反応することは、68%と90%の現象が重なったときなので、61%ということになります。
話が面倒だった割には、あまりアテにできる(高い確率)話じゃありませんね。これなら他の分析結果をアテにする方が、期待的中率が高くなります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
政策変更期待があるときの各国中銀の金利発表時を除くと、本指標と英国雇用統計は最も反応が大きい指標です。それだけに、騙しや高値(安値)掴みには気を付けましょう。
騙しや高値(安値)掴みを避けるセオリーなんてありません。騙されるときは騙されるし、タイミングを間違って高値(安値)掴みしてしまうこともあります。
本文を読んでくれた方のため、本指標の特徴を2つ挙げておきます。
ひとつは、直前1分足が陽線になったことは調査期間において4度しかないものの、陽線になったからと言って、直後1分足が陽線になるか否かは結果的に関係なかったことが下図を見比べればわかります。慌ててはいけません。
もうひとつは、直後1分足跳幅が過去平均値50pipsを超えたことは11回(38%)あります。この11回だけに注目して、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅よりも伸びたことは8回(72%)です。当り前の傾向ですが、大きく反応したときには、発表から1分を過ぎてから高値・安値を付けがちです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月7日21:30発表
以下は2017年7月7日23:10頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はまちまちで、NFP増減は改善、失業率と平均時給は悪化しました。
この、まちまちの結果を受けて、発表から20秒程度経過すると、長い上ヒゲを残して値幅を削り、発表後3分を経過した頃には陰線へと転じました。そして、発表から5分経過後には再び陽線側に反応を伸ばしました。反応はかなり複雑な動きで、方向を見切るような取引方法では損切となった人も多いと推察します。
妙な動きが直前1分足でありました。発表の10秒前ぐらいから「すー」と陰線側に伸びたのです。前日のADP発表直前にも全く同じ動きがあり、単に発表直前のポジションクローズではないのかも知れません。
この動きに連られて売っていたら、発表直後の初期反応で損切が自然です。初期反応を見てから追撃しても、発表後20秒ぐらいで決済していないと、再び損切が自然です。もう一度、ドテンしても5分以内に決済していないと、またまた損切になっていた可能性があります。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足の利確が早すぎたかも知れませんが、これで構いません。前述の「すー」と陰線側に大きく動いたのは、指標発表10秒前ぐらいからです。そこまで付き合っていたら、指標発表直後の反応を狙ったポジションが取れずにいたかも知れません。
発表時刻を跨いだ直後1分足跳幅狙いは、うまいタイミングで利確できました。
最初の追撃は一時、含損が生じていたものの、失業率と平均時給が悪化していたので、含益転換が待てました。3度目の追撃は、まさかもう一度反転するとは考えていなかったので、これは判断ミスです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します。
- 反応は過去平均より小さく、方向は結果的に素直だったものの、追撃は難しかったと思われます。
- ISM製造業とISM非製造業の雇用指数とADPのうち、今回のNFP増減の実態差異方向が一致したのは、ISM製造業のみでした。
- 過去の発表結果項目毎の実態差異と直後1分足の方向一致率は、平均時給(78%)>NFP増減(66%)>失業率(57%)、でした。今回の結果は、NFP増減と一致したことになります。
また、各項目に適切な係数を用いて回帰計算を行うと、事後差異と直後1分足の方向一致率は90%に達していました。今回の発表結果から事後差異を計算するとプラスで、素直に反応したことになります。 - 直前1分足の陰線率は83%と、かなり偏りがありました。結果は陰線です。
- 事前差異と直後1分足との方向一致率が75%となっていました。結果は一致しました。
- 直後1分足と直後11分足は方向一致し、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・終値同士を見比べて、いずれも反応を伸ばしました。
また、直後1分足終値がついた時点から見て、直後11分足の終値が伸びていたことは48%しかありませんでした。がしかし、結果は終値を伸ばしています。
反応方向を確認したら追撃ポジションを取り、短期利確に適している、という事前分析は、ほぼこれで良かったと思われます。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月05日
米国景気指標「ISM非製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月6日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月6日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本発表に先立つ22:45に「非製造業PMI」が発表されます。非製造業PMIと本指標とは同月分集計結果の発表となるので、何らかの影響があると考えられるものの、両指標の相関についてはまだ調べていません。来月には両指標の対比分析を間に合わせたいと思います。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。下図も同様です。
下図は、本指標内訳となります。ビジネス活動指数を除くと、新規受注指数・雇用指数・価格指数には市場予想がありません(どこかにあるのかも知れませんが、細かく調べていません)。
以上の過去の市場予想・発表結果に基づき、各項目毎の反応との方向一致率を下表に示します。
調査は、事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足や直後11分足・実態差異と直後11分足の方向一致率を求めています。市場予想がない新規受注指数・雇用指数・価格指数は、実態差異と直後11分足の方向一致率だけを求めています。
各項目の影響を見て、各差異の重み付けを、景況指数は4倍・ビジネス活動指数は2倍・その他は1倍して、指標一致性分析の係数を決めました。
ここで、取引には関係ないことですが、数学的に正しくない処理をしているので注記です。
もともと景況指数には内訳項目が反映されているので、このように内訳をもう一度取り込む回帰計算を行うことは、数学的に正しくありません。正しくないものの、現実問題として景況指数発表値が市場予想や前回結果と同値でも、陽線か陰線に反応します。そのため、計算上は二重回帰になってしまうものの、内訳の各項目も再度変数として取り込んで、上記の重み付けを求めています。
こうした処理を行うことで、ほぼ事前差異・事後差異・実態差異が0となることがなくなります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月7日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標結果は雇用指数を除いて前回結果・市場予想以上となり、反応は陽線となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は売ポジションだったにも関わらず含損を抱えていたので、そのまま指標発表まで持ち越しました。結果、指標結果を読み誤っていたため損切となりました。
指標結果を読み誤っていたので、発表後はすぐに買ポジションで追撃し、チャートの波をうまく捉えることができました。
指標発表を跨いで無理にポジションを持たなくても良さそうなものですが、それは違います。
程度が管理できる限りにおいて、勝率100%が目標ではなく負けても良いのです。そのとき、分析による根拠に基づいて負けるなら、いずれ期待的中率通りの勝率になるでしょう。だから、負け惜しみでなく、負けること自体に問題はありません。
そして、期待的中率が高いときに発表時刻を跨いでポジションを取っておけば、損切と利確の幅を比べて反省することができます。動きが早くても過去の反応の平均値を頭に入れておけば、利確は平均値以上を目指しやすく、損切は平均値以下で即座に行いやすくなります。それが後々データを確かめてみれば、損小利大になっています。
更に、損切となったときはすぐに反転追撃すると、損失をいくらか取り返せることの方が多いのです。損切となる分析間違いは仕方ないにせよ、すぐに損切して反転追撃すると、発表から1分強は指標結果に素直に反応を伸ばすことが多いからです。
ともあれ、今回は何とか取り返せました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月6日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本発表に先立つ22:45に「非製造業PMI」が発表されます。非製造業PMIと本指標とは同月分集計結果の発表となるので、何らかの影響があると考えられるものの、両指標の相関についてはまだ調べていません。来月には両指標の対比分析を間に合わせたいと思います。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 過去の平均的な反応程度は小さく、直後1分足跳幅・値幅が各15pips・11pipsしかありません。
反応方向は発表結果の良し悪しに素直で、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が78%となっています。
追撃には適しているものの、発表から1分を過ぎると、そのまま反応を伸ばすか反転するのかがわかりません。短期取引に適しています。 - 過去の市場予想は71%が前回結果より低くなっており、偏りがあります。がしかし、実際の発表結果は前回結果よりも52%が高くなっています。
つまり、本指標の市場予想は、発表結果の前回結果との増減方向すら当たっていません。 - それにも関わらず、事前差異(市場予想ー前回結果)の正負方向と直後1分足の方向一致率は67%(3回に2回)となっています。現時点(7月5日正午頃)において今回の事前差異はマイナスなので、過去の実績から言えば3回に2回の割で陰線ということになります。
- 指標発表前のローソク足の方向は、指標発表後のローソク足の方向を示唆していません。
直前1分足の陰線率は84%と高く、指標発表直前の動きには市場環境や直後の指標発表に関係ない動きをします。指標発表時刻を跨いで買ポジションを取得するつもりなら、指標発表直前が良いでしょう。
なお、直前1分足が数少ない陽線だったことは4回です。この4回のうち3回で、直後1分足が陽線となっています。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率は81%に達しており、それら跳幅同士を見比べて反応を伸ばしたことは90%にも達します。がしかし、直後1分足終値がついた時点では、更に反応を伸ばす確率が50%まで低下しています。
つまり、本指標は早期追撃・短期利確に適しており、発表から1分を経過してからは追撃に不向きだと言えます。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足も陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表後はすぐに解消します。
(3) 反応方向を確認次第、追撃ポジションを取得します。複数回の追撃は行いません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。下図も同様です。
下図は、本指標内訳となります。ビジネス活動指数を除くと、新規受注指数・雇用指数・価格指数には市場予想がありません(どこかにあるのかも知れませんが、細かく調べていません)。
以上の過去の市場予想・発表結果に基づき、各項目毎の反応との方向一致率を下表に示します。
調査は、事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足や直後11分足・実態差異と直後11分足の方向一致率を求めています。市場予想がない新規受注指数・雇用指数・価格指数は、実態差異と直後11分足の方向一致率だけを求めています。
各項目の影響を見て、各差異の重み付けを、景況指数は4倍・ビジネス活動指数は2倍・その他は1倍して、指標一致性分析の係数を決めました。
ここで、取引には関係ないことですが、数学的に正しくない処理をしているので注記です。
もともと景況指数には内訳項目が反映されているので、このように内訳をもう一度取り込む回帰計算を行うことは、数学的に正しくありません。正しくないものの、現実問題として景況指数発表値が市場予想や前回結果と同値でも、陽線か陰線に反応します。そのため、計算上は二重回帰になってしまうものの、内訳の各項目も再度変数として取り込んで、上記の重み付けを求めています。
こうした処理を行うことで、ほぼ事前差異・事後差異・実態差異が0となることがなくなります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月6日23:00発表
以下は2017年7月7日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標結果は雇用指数を除いて前回結果・市場予想以上となり、反応は陽線となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は売ポジションだったにも関わらず含損を抱えていたので、そのまま指標発表まで持ち越しました。結果、指標結果を読み誤っていたため損切となりました。
指標結果を読み誤っていたので、発表後はすぐに買ポジションで追撃し、チャートの波をうまく捉えることができました。
指標発表を跨いで無理にポジションを持たなくても良さそうなものですが、それは違います。
程度が管理できる限りにおいて、勝率100%が目標ではなく負けても良いのです。そのとき、分析による根拠に基づいて負けるなら、いずれ期待的中率通りの勝率になるでしょう。だから、負け惜しみでなく、負けること自体に問題はありません。
そして、期待的中率が高いときに発表時刻を跨いでポジションを取っておけば、損切と利確の幅を比べて反省することができます。動きが早くても過去の反応の平均値を頭に入れておけば、利確は平均値以上を目指しやすく、損切は平均値以下で即座に行いやすくなります。それが後々データを確かめてみれば、損小利大になっています。
更に、損切となったときはすぐに反転追撃すると、損失をいくらか取り返せることの方が多いのです。損切となる分析間違いは仕方ないにせよ、すぐに損切して反転追撃すると、発表から1分強は指標結果に素直に反応を伸ばすことが多いからです。
ともあれ、今回は何とか取り返せました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は過去平均より小さく、方向は素直で、跳値は発表から1分を過ぎても伸びたものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削りました。
- 市場予想が方向すら当たっていない、という点は、分析通りでした。
- 事前差異と直後1分足の方向一致率は67%(3回に2回)が当たっており、今回は直後1分足を陰線と予想していました。がしか、結果は陰線となって、分析を外しています。
- 直後1分足と直後11分足の方向一致率は81%に達していました。そして、それら跳幅同士を見比べて反応を伸ばしたことは90%にも達しました。がしかし、直後1分足終値がついた時点では、更に反応を伸ばす確率が50%まで低下しています。
その通り、と言ってもよい動きでした。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国雇用指標「ADP民間雇用者数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年7月6日21:15発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月6日21:15に米国雇用指標「6月分ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標は、米国「雇用統計」を翌日に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
グラフを一見しても「市場予想後追い型」には見えません。がしかし、調査期間において事後差異(発表結果ー市場予想)の正負が入れ替わったことが29回中10回(34%)です。そして、事後差異の正負が前回と同じか0だったことは、28回中17回(60%)です。
つまり、本指標は市場予想後追い型です。
今回は、前回の発表結果が前回の市場予想を上回っているので、発表結果が市場予想を上回る確率が高い、ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線、直後1分足と直後11分足は陽線が目立ちます。後述する反応一致性分析で確率を確かめておきましょう。
直前1分足にヒゲが目立たないということは、指標発表直前に陰線側に「すっ」と動きがちだということです。
直後1分足に順ヒゲが目立たないということは、その後も反応が同じ方向に伸びがちだということです。そして逆ヒゲが目立たないということは、初期反応の騙しが少ないということです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%です。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%です。
本指標の直後1分足には逆ヒゲが目立ちません。よって、初期反応を確認してすぐの追撃に適しています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が86%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
直後1分足は陽線率が75%となっています。この結果は、今回の場合「市場予想後追い型」として、発表結果が市場予想を上回る、という解釈と矛盾していません。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点です。過去の3回に2回は、指標発表前後でローソク足が反転しています。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっています。発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月6日23:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
少しおかしな動きがありました。
直前1分足は、最後の10秒ぐらいに「すー」と陰線側に伸びました。そして、直後1分足はもっと素直に陰線側に伸びても良いものの、あまり伸びていません。確認できませんが、発表時刻が21:15ちょうどより早かったということはないでしょうか。そんな感じの動きでした。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足と直後1分足は、分析を外したので損切も仕方ありません。いずれも、早めの損切で損害は小さく抑えられました。
分析を外したら損切して被害を抑え、すぐに反転追撃する。するとなぜか、分析を外したときに限って、反転したポジションは稼げます。今回は、損切を取り返すには至りませんでしたが。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月6日21:15に米国雇用指標「6月分ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 平均的な反応は13-17pipsとあまり大きくありません。そして、反応方向は事後差異との方向一致率が75%と高く、素直な指標です。また、直後1分足と直後11分足との方向一致率も79%と高く、追撃に適しています。
- 本指標の過去の市場予想と発表結果のグラフを一見しても「市場予想後追い型」には見えません。がしかし、調査期間における事後差異(発表結果ー市場予想)の正負が入れ替わったことは34%しかなく、事後差異の正負が前回と同じか0だったことは60%です。つまり、本指標は市場予想後追い型です。
今回は、前回の発表結果が前回の市場予想を上回っているので、発表結果が市場予想を上回る確率が60%ということになります。 - 直前1分足の陰線率が86%、直後1分足の陽線率が75%となっています。なお、この結果は、今回の場合「市場予想後追い型」として、発表結果が市場予想を上回る、という解釈と矛盾していません。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点です。過去の3回に2回は、指標発表前後でローソク足が反転しています。 - 直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%です。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%です。
本指標の直後1分足には逆ヒゲが目立ちません。よって、初期反応を確認してすぐに追撃して短期利確すべきです。 - 事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっています。発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。
この点でも追撃に適しています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。事前差異との方向一致率は40%(不一致率60%)と、本来の取引基準に達していないので、無理はしません。
(2) 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去平均の跳幅は5pipsしかないので、含益を得たらすぐに利確します。
(3) 直後1分足は陽線と見込み、指標発表前にポジションを取得し、初期反応確認後に解消します。もともと陽線率が75%と高く、市場予想後追い型でも60%となっています。そして、ISM製造業景況指数の雇用指数が前月よりも改善しています。
(4) 追撃は早めに行い、短期利確で複数回OKです。但し、過去の直後1分足跳幅が17pipsしかないので、高値(安値)掴みには注意が必要です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標は、米国「雇用統計」を翌日に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
グラフを一見しても「市場予想後追い型」には見えません。がしかし、調査期間において事後差異(発表結果ー市場予想)の正負が入れ替わったことが29回中10回(34%)です。そして、事後差異の正負が前回と同じか0だったことは、28回中17回(60%)です。
つまり、本指標は市場予想後追い型です。
今回は、前回の発表結果が前回の市場予想を上回っているので、発表結果が市場予想を上回る確率が高い、ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線、直後1分足と直後11分足は陽線が目立ちます。後述する反応一致性分析で確率を確かめておきましょう。
直前1分足にヒゲが目立たないということは、指標発表直前に陰線側に「すっ」と動きがちだということです。
直後1分足に順ヒゲが目立たないということは、その後も反応が同じ方向に伸びがちだということです。そして逆ヒゲが目立たないということは、初期反応の騙しが少ないということです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%です。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%です。
本指標の直後1分足には逆ヒゲが目立ちません。よって、初期反応を確認してすぐの追撃に適しています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が86%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
直後1分足は陽線率が75%となっています。この結果は、今回の場合「市場予想後追い型」として、発表結果が市場予想を上回る、という解釈と矛盾していません。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点です。過去の3回に2回は、指標発表前後でローソク足が反転しています。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっています。発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月6日21:15発表
以下は2017年7月6日23:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
少しおかしな動きがありました。
直前1分足は、最後の10秒ぐらいに「すー」と陰線側に伸びました。そして、直後1分足はもっと素直に陰線側に伸びても良いものの、あまり伸びていません。確認できませんが、発表時刻が21:15ちょうどより早かったということはないでしょうか。そんな感じの動きでした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足と直後1分足は、分析を外したので損切も仕方ありません。いずれも、早めの損切で損害は小さく抑えられました。
分析を外したら損切して被害を抑え、すぐに反転追撃する。するとなぜか、分析を外したときに限って、反転したポジションは稼げます。今回は、損切を取り返すには至りませんでしたが。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 平均的な反応は13-17pipsとあまり大きくありません。今回はやや平均より小さな反応でした。
反応方向は事後差異との方向一致率が75%と高く素直な指標で、今回も素直に反応しました。
がしかし、直後1分足と直後11分足の方向は反転しており、一般論として追撃で利確することは難しかったと思います。 - 本指標は市場予想後追い型です。がしかし、今回発表結果は前回と同様に市場予想を上回るのでなく、下回りました。
- 直前1分足の陰線率が86%、直後1分足の陽線率が75%となっていました。がしかし、直後1分足は陰線で、分析を外しました。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点でした。今回は直前10-1分足が同値のため、判定無しということになります。 - 直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%でした。がしかし、直後11分足は直後1分足の方向から反転しています。
直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%でした。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%でした。結果は、直後1分足終値がついてから暫く反応を伸ばしたものの、その後は反転しました
初期反応を確認してすぐに追撃し、短期利確できました。 - 事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっていました。これは、発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。がしかし、今回は素直に反応したものの反転しました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月04日
英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年7月5日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月5日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、製造業景況感のサービス業景況感に対する「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつある時代を迎えつつあります。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
英国経済指標へのGBPJPYの反応は、他国の経済指標への反応よりワンランク上なのです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後日修正があっても修正せずに、発表時のままにしています。
グラフから、前回結果と市場予想の大小関係の入れ替わりが多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。
次に、製造業PMIとサービス業PMIと間に、先行性・遅行性の有無を見ておきましょう。
先行性・遅行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
上図から、両指標の実態差異の方向一致率は58%で、高くありません。両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線が目立ちます。
直後11分足が50pips以上も反応したことが3回あります。がしかし、その3回の直前10-1分足・直前1分足とを見比べても、予兆らしい動きはありません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月5日21:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は前回結果・市場予想を下回り、初期反応が陰線で、その後反転しました。
当月(6月分)PMIは、製造業・建設業・サービス業のいずれも前回より数値が低下しました。
他の指標では、貿易収支は2017年3月分が直近の底、鉱工業生産指数前月比は2017年2月分で直近の底、小売売上高指数前月比は凸凹で前月5月分がマイナス、物価はCPI前月比が2017年1月分で直近の底、なので、実態によって景況感がゆっくり下がっている訳でもなさそうです。
今回発表結果の53.4という数字は、昨年6月集計のEU離脱国民投票前の53.5を下回っています。国民投票直後の集計分(2017年7月分)こそ47.4まで低下したものの、その後はGBP安によって企業業績が上向き、2016年12月分は56.2、2017年4月分は55.8まで上昇していました。
反応は、発表後3分程度は上下方向に迷いがあって小さなものでした。意外と指標の落ち込みが小さい、ということでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
方向感に欠けて、タイミングが掴めませんでした。挽回もあと少し及ばずです。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月5日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 反応はたまに大きく、直後1分足跳幅が25pipsを超えたことが31%となっています。
反応方向は指標発表結果の良し悪しに素直で、事後差異(発表結果ー市場予想)との方向一致率は78%です。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%、直後1分足値幅を直後1分足跳幅が超えたことは83%です。追撃に適した指標だと言えます。 - 製造業PMIとサービス業PMIの実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は高くありません(58%)。がしかし、両指標の事前差異(市場予想ー前回結果)の方向一致率は68%と、3回に2回が一致しています。
なお、1〜3か月前の製造業PMI結果との対比では、むしろ、両指標の実態差異の一致率が低下するので、両指標間に先行・遅行の関係はありません。 - 直前1分足は陰線率が77%となっています。過去平均跳幅は8pipsで、上ヒゲを持つこともあります。直前1分足が10pipsも動くと、他の指標と比べて大きいので慌てがちです。
がしかし、直前1分足の方向や値幅は、指標発表後の方向や値幅と関係ありません。 - 直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が68%となっています。本指標の取引参加者は3回に2回の確率で指標発表結果を当てています。
そして本指標は、事後差異と直後1分足の方向一致率が78%なので、発表結果の良し悪しに素直に反応する傾向があります。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率は85%あり、両者跳幅同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。これは指標発表後の反応方向を確認してからでも、追撃に適している数字だと言えます。
早めに取得した追撃ポジションが高値(安値)掴みをしていないかの目安として、直後1分足終値がついた時点から、直後11分足終値の反応が伸びたことは56%で、反転したことは45%です(四捨五入の関係で合計101%になってしまっています)。 - 以上の調査・分析結果に基づき、次のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後は早々に解消します。
(3) 追撃は早めにポジションを取得し、直後1分足終値で高値(安値)掴みをしていないか確認します。チャンスがあれば、その後の複数回の追撃もOKです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、製造業景況感のサービス業景況感に対する「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつある時代を迎えつつあります。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
英国経済指標へのGBPJPYの反応は、他国の経済指標への反応よりワンランク上なのです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後日修正があっても修正せずに、発表時のままにしています。
グラフから、前回結果と市場予想の大小関係の入れ替わりが多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。
次に、製造業PMIとサービス業PMIと間に、先行性・遅行性の有無を見ておきましょう。
先行性・遅行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
上図から、両指標の実態差異の方向一致率は58%で、高くありません。両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線が目立ちます。
直後11分足が50pips以上も反応したことが3回あります。がしかし、その3回の直前10-1分足・直前1分足とを見比べても、予兆らしい動きはありません。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月5日17:30発表
以下は2017年7月5日21:00頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は前回結果・市場予想を下回り、初期反応が陰線で、その後反転しました。
当月(6月分)PMIは、製造業・建設業・サービス業のいずれも前回より数値が低下しました。
他の指標では、貿易収支は2017年3月分が直近の底、鉱工業生産指数前月比は2017年2月分で直近の底、小売売上高指数前月比は凸凹で前月5月分がマイナス、物価はCPI前月比が2017年1月分で直近の底、なので、実態によって景況感がゆっくり下がっている訳でもなさそうです。
今回発表結果の53.4という数字は、昨年6月集計のEU離脱国民投票前の53.5を下回っています。国民投票直後の集計分(2017年7月分)こそ47.4まで低下したものの、その後はGBP安によって企業業績が上向き、2016年12月分は56.2、2017年4月分は55.8まで上昇していました。
反応は、発表後3分程度は上下方向に迷いがあって小さなものでした。意外と指標の落ち込みが小さい、ということでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
方向感に欠けて、タイミングが掴めませんでした。挽回もあと少し及ばずです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 初期反応は2-3pipsで、かなり小さなものでした。
反応方向は陰線で、これは事後差異と方向が一致しています。
直後1分足と直後11分足とが反転しており、追撃に適していたとは言えません。 - 製造業PMIと事前差異・事後差異ともに一致しました。
- 直前1分足は陰線と予想していたものの、陽線となりました。
- 直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が68%となっていて、3回に2回の確率で指標発表結果を当てていました。発表結果が市場予想を下回るということと矛盾ない動きをしていました。
そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は78%でした。事後差異がマイナスに対し陰線での反応ですから、素直に反応しています。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率は85%あり、両者跳幅同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%でした。がしかし、直後1分足と直後11分足は反転しており、この点は分析を外しました。
確率上の問題であり、特に分析法の見直しは必要ないと考えています。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
4-5. 豪州・NZ経済指標DB(2017年6月最終版)
豪州の経済指標発表前後の取引はAUDJPYで、NZの経済指標発表前後の取引はNZDJPYで行っています。
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
2013年に中国指導部が提唱した一帯一路構想とAIIB設立は、次の2点が多くの関心の的だったようです。ひとつは、「そんなことしている場合か」と思われた隠れ債務問題で、もうひとつが他の地域への影響力行使といった点で米国との対立が始まる予感です。
経済規模が世界No.1の米国債務は、2016年度時点で対GDP比256%です。No.2の中国が猛追し、同年256%へと追いつきました。ちなみに、No.3の日本は同年373%です。中国が現在のペースで債務を増やした場合、2021年頃に対GDP比300%に到達しそうです。
加えて、2017年は北朝鮮問題への影響力行使に関心が集まっています。
RBA(豪中銀)は、中国の経済成長がインフラ投資や不動産投資で下支えされており、これらの投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
RBA金融政策は「暫く様子見」です。一時は高まった利上げ年内観測も、5月16日の議事録発表後には無くなったようです。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(事例1) RBA政策金利(2017年6月6日発表結果検証済)
(事例2) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
(事例1) 四半期消費者物価指数(2017年4月26日発表結果検証済)
(事例2) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
(事例) 雇用統計(2017年6月15日発表結果検証済)
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
7月4日に発表された小売売上高は前月比+0.6%で、6月発表の+1.0%に続いて過去の水準より高く推移しています。1-3月期よりも4-6月期は、消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(事例1) 小売売上高(2017年7月4日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
(事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
【4-5-1. 6月概観】
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
2013年に中国指導部が提唱した一帯一路構想とAIIB設立は、次の2点が多くの関心の的だったようです。ひとつは、「そんなことしている場合か」と思われた隠れ債務問題で、もうひとつが他の地域への影響力行使といった点で米国との対立が始まる予感です。
経済規模が世界No.1の米国債務は、2016年度時点で対GDP比256%です。No.2の中国が猛追し、同年256%へと追いつきました。ちなみに、No.3の日本は同年373%です。中国が現在のペースで債務を増やした場合、2021年頃に対GDP比300%に到達しそうです。
加えて、2017年は北朝鮮問題への影響力行使に関心が集まっています。
RBA(豪中銀)は、中国の経済成長がインフラ投資や不動産投資で下支えされており、これらの投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
【4-5-2. 政策決定指標】
(1) 金融政策
RBA金融政策は「暫く様子見」です。一時は高まった利上げ年内観測も、5月16日の議事録発表後には無くなったようです。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(事例1) RBA政策金利(2017年6月6日発表結果検証済)
(事例2) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
(2) 物価指標
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
(事例1) 四半期消費者物価指数(2017年4月26日発表結果検証済)
(事例2) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
(3) 雇用指標
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
(事例) 雇用統計(2017年6月15日発表結果検証済)
【4-5-3. 政策決定指標】
(1) 経済成長
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
(2) 実態指標
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
7月4日に発表された小売売上高は前月比+0.6%で、6月発表の+1.0%に続いて過去の水準より高く推移しています。1-3月期よりも4-6月期は、消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(事例1) 小売売上高(2017年7月4日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
(事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
以上