2016年10月27日
1-5. 数字で掴もう
勝ったり負けたりしてから収益や損失を計算している限り、「博奕」の域を卒業できません。「投資」で勝つには、ほとんどの仕事と同じように、事前に収益性(効率性)を計算し、それから実現手段を考えるのです。特別な才能に恵まれていなければ、一部の天才的な自慢話に惑わされることなく、世間で通用する普通の順番で始めましょう。
合理的なマーケティングはそうやって行うのです。
今回は数字を使った記事なので、そして数字ばかりではとても読めない文章になってしまうので、予め記事の骨子にあたるストーリーを示しておきましょう。
では、以上の数字と数字の意味を説明します。
まず先に、ちょっと良くない確率の話を使ってリスクを捉えてみましょう。
(一財)全日本交通安全協会HPに依れば、平成26年中の交通事故死傷者数は約70万人です。そして、総務省統計局HPに依れば、平成26年の日本の人口は約127百万人です。よって、日本で1年で交通事故に遭って死傷する確率は約0.6%です。
一方、1年356日の5/7のFX取引可能時間は6257時間です。6257時間の0.6%は40時間足らずです。なので、これ以下に年間取引時間を収めれば、ポジションを持っている間に予見不可能な事態に遭う確率は、交通事故に遭う確率以下となります。
ひと月あたり3時間しかポジションを持たなければ良いのです。
但し、この話には良くない点が二つあります。
まずひとつは、ひと月あたり3時間しかポジションを持たなければ、そりゃ予見不可能な事態に巻き込まれて壊滅的損失を被る可能性がほぼなくなるのは当たり前です。けれども、この話は小さな確率を具体的にイメージするためにしたのだから、ご容赦頂きたく。
もうひとつは、確率の話を持ち出して詐欺的に話をすり替えています。このままでは、先の話が「予見不可能な事態の程度」を定義していないため、交通事故で死傷するより頻度が高い事態を想像する人に対し、詐欺的な説明になってしまいます。
数字を挙げて説明しても印象を結び付けるのじゃ駄目です。リスクが捉えにくいものだからこそ、〇〇被害者の会が裁判で勝つことがあるのです。
では、日本で1年間に交通事故に遭って死傷する確率0.6%とは、主要通貨ペアにおけるどういう事態を表しているのでしょうか。あるいは、その確率以下で取引を行うとはどういうことでしょうか。双方の認識が一致すれば、先の確率の話が詐欺的ではなくなります。
例えば、ボリンジャーバンド(面倒なので、以下はBBと表記します)は、とても便利で視覚的にわかりやすいテクニカル分析ツールです。このBBには標準偏差の式が組み込まれているので、これを使って自分でリスクを視覚的に捉えてみてください。
BBを使うと言っても、FXの参考書でよく見受けられるように、正規分布の話をしておいて「n=20で使え」なんて詐欺的な説明をするのは嫌です。BBがどんな式で描かれていたとしても、あれは単にテクニカル分析ツールに過ぎません。もし皆が使っているからよく当たるだけならば、何がテクニカルなんだかわからないぐらいです。
ここでは統計ツールとしてBBを使うので、BBのカウント数をn=7200にして、プラスマイナス3σの2線の外側にいくつローソク足が飛び出しているか数えてみましょう。結果は、任意の時期の任意の通貨ペアで、平均すると、22本ぐらいのローソク足終値がプラスマイナス3σの2線の外側に出てしまうはずです。
さてここで、7200本は1週間5日間の1分足の本数です。そして、この22本が取引しても良い1分足です。
これで、1年間に交通事故で死傷するぐらい予見不可能で壊滅的事態に遭遇する確率と、ポジション保有時間率という確率とが、対象読者に対して同じ意味を持つ数字として結び付きました。
あまり想定できませんが、ここまで読み進めてくれた読者でBBを知らない・使ったことがない方のために正確に言えば、1週間分の1分足7200本に占める取引しても良い22本の比率は、1年のうちに交通事故で死傷する確率の半分ぐらいです。だから、ついうっかり22本を超えて取引してしまうことがあっても、倍の44本ぐらいまでなら目くじらを立てる必要はありません。
でも間違わないでください。このリスク率を許容して投資を始める以上、1年間で交通事故で死傷するか、投資で壊滅的リスクに巻き込まれるか、どちらかの災難に遭う確率が投資をしない人の約2倍になったのです。
そして私の場合には車を運転しないので、もしも私が何億円かFXに投じているのなら、これで人生のリスクはきっと人並みになったはずです。M君の場合には、運転をしなくても桁外れのリスクを背負ったことになります(プロフィールも見てね)。
そもそも、このブログで経済指標発表時の短期シナリオ手法での取引を薦めた理由は、取引回数と1回のポジションを持つ時間を減らすことに繋がるからでもあります。参考までに、経験上の数字を出して、簡単に試算しておきましょう。
幸い、取引に適した経済指標の発表回数は限られています。発表回数が限られている上に、取引に適した指標は多い週でも5回もありません。平均すると2回ぐらいでしょうか。
取引に適した指標が週2回と少ない理由は、過去の発表時に25pipsぐらいの反応(値動き)があった指標に絞るからです。これは「反応が小さいと十分な利益が得られないから」という事ではありません。「反応が小さい指標は、指標の影響で反応したのか、発表前後のもっと長い期間でのトレンドで反応しているのか、その区別がつかないから」です。その区別がつかない事をいくら分析しても、次の発表時の取引で勝率を高める事に繋がりません。
(※2017年2月28日追記)2017年以降、期待的中率70%以上の論拠があればポジションを持つようにしました。1週間に2回や3回の取引では、取引回数が少なすぎるという指摘を頂いたからです。ブログを始めて初期の頃に頂いた読者の反応は嬉しくて。それでも、取引時間はほぼ1か月3時間に抑え、指標単位での勝率は75%以上に維持できています。シナリオ単位での勝率がやや下がったことが、pipsの小さなシナリオにも手を出すようになった影響と言えるでしょう。
次に、経済指標の影響でトレンドが変化する場合もありますが、ほとんどの場合、発表後10分も経たないうちに指標の影響が前後のトレンドに呑み込まれてしまいます。経験上、1回の取引時間は5分以内となることが圧倒的に多い気がします。長くても10分と捉えておけばいいでしょう。
従って、狙いを定める時間は指標発表の前後10分以内(できれば数秒以内)とします。この20分間のうちにポジションを持っているのが10分以内ということです。そうして、それまでのトレンドに指標が与える影響だけを刈り取るのです。
週平均2回の取引を行い、1回の取引でポジションを持つ時間が10分です。これなら1週間で1分足20本の取引で済みます。
2回とか10分とか25pipsとか突然に数字が出てきましたが、予め断ったようにこれらは経験上の数字です。やればすぐにわかることだし、既にDBの結果報告にも事例を載せているので、ここではあまり気にしなくても構いません。
では次に、リターンの試算です。
数字ばかりで疲れますよね。でももう少しの辛抱です。
いま、レバレッジ25倍でUSDJPY=0.1枚での取引をイメージしてみましょう。0.1枚は小さすぎないか、と言われそうですね。でも1枚とか10枚に増やすのは、自信がついてからにしたらどうですか。
例えば、
という取引です。指標発表時の取引でこの程度の利益を得ることも、この程度の取引が1秒で済むことも、決して珍しくないでしょう。
さて、1ドルが100円のときレバレッジ25倍でUSDJPY=0.1枚のポジションを得る投資額は4000円です。そして、この取引で得た100円は投資額の2.5%にあたります。
後ほど現実に即した計算をするので、先にそれを容易にするため「同じ比率の取引を繰り返す」という単純なモデルで予備計算をしておきましょう。
1回の取引での利益が2.5%ならば、資金を2倍にするために必要な取引回数は、
です。
なぜ3勝1敗なら56回なのかは大丈夫ですよね。単純化して3勝1敗のうち1勝1敗分が相殺されるとしましょう。このとき、2勝分の利益を蓄えるために4回の取引を要するから、ずっと連勝を続ける場合の2倍の取引回数が必要になるのです。
経済指標発表時の短期シナリオ手法での取引では、ざっくり1勝1敗分の損益が実際に相殺されてしまうことが、トレンドフォロー手法でうまく取引できていない人にはきっと信じられません。これは実際のデータを整理して後日別途紹介します。
でももう「たぶんそうだ」という答えなら紹介できます。
きっと、自分でシナリオを用意してその通りに取引するようになれば、そういう風にシナリオを用意してしまうものなのでしょう。そしていずれ気づくのです。チャートの動きに動揺している自分の判断よりも、事前に冷静に分析していたときの自分の判断の方が信じられる、ということを。
なお、「1回の収益率がいくらのとき何回の取引が必要か」という計算は、いちいち自分でやるのが面倒です。気になる方のためにこちらに複利数表を用意しておきました。使い方もそちらをご覧ください。
でも実際には、資金全額を毎回の取引に投入するなんてあり得ませんよね。ここからが実際の取引に即した本番の計算です。もう既に予備計算をしているので簡単です。
いま手持ちの資金を10等分します。このうちひとつ(資金の10%)で上記のような取引をしましょう。
毎回平均して損益が2.5%となる取引を3勝1敗で繰り返せば、56回目に取引していた10%分の資金は2倍の20%分に増えています。このとき資金全体は最初の110%に増えていることになります。
ここで再び資金を10等分して、2回目も同じことを繰り返しましょう。2回目が終了したとき、最初の資金は121%に増えています。
3勝1敗なら56回を2回繰り返すので112回の取引となる訳です。これで元の資金全体が約20%増えていることになります。週平均2回の取引ですから、112回の取引は56週で終わります。そして1年は52週です。
このブログのDBで公開中の取引は、3勝1敗となる根拠(期待的中率)を用いて行っています。それは、このブログの年間収益率の目標が、「1-1. FXを楽しむために」で挙げたように、約20%だったからです。常に同じ基準(期待的中率)をずっと用いている理由もまた、結果(年間収益率)を安定させたいから、ということでした。
期待通りの勝率や収益率にならないときには、何か根拠に問題があるはずです。根拠は思い込みを排除して、過去の実績だけから作ることが大切です。それにもし、根拠(期待的中率)を嵩上げした解釈をしたからといって、それでは結果がついてきません。
なお、ここに挙げた計算例では、資金の1/10を毎回の取引に投入した試算となっています。これは、トレンドフォロー手法のルールの1/20と違います。この理由は次回に説明します。
ともあれ、今回は「100発100中の砲1門は100発1中の砲100門にリスク回避の点で勝る」という話でした。3勝1敗なのに100発100中という表現はよくないかもしれません。でも、ここまで付き合ってくれた読者の方は大丈夫でしょう。
複利のような仕組がある世界では、利率(勝率)の僅かな差が最終的に大きな収益の差になって現れます。勝率が51%しかなければ、同じ期間収益率を得るために、驚くほど多くの取引回数が必要です。そんなやり方をしていると、ふと気が付いたときにはポジション保有時間が長くなってしまっているのです。
なお、この記事は「FXが上達するのか」というテーマで、その方法論や考え方を説明した続き記事です。もしよかったら通して読んでみてください。
いかがでしょうか。もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。万が一、購入・登録・合意もしていないのにクリックしただけで勧誘メールが毎日来るようなったなら、こちら(※9-1-4)までご一報をお願いします。
さて、OANDA社のHPの分析図表はあちこちのHPで見かける気がします。それだけ、わかりやすくてきれいな図表だということでしょう。でも許可を得ているなら別ですが、勝手に引用しちゃ駄目ですよね。何か現象を、ああいう表現で捉えられることには、きちんと敬意を払える人間でいたいものです。
実は、私もまだOANDA社の口座は開設していないのに、ときどきポジションの分布図などは見に行っています。始めて間もないこのブログが軌道に乗ったら、ドルストレートの通貨ペア取引のため、口座開設してみたいと思っています。
追記:この記事は2016年12月20日に、一部修正・追記しています。
合理的なマーケティングはそうやって行うのです。
今回は数字を使った記事なので、そして数字ばかりではとても読めない文章になってしまうので、予め記事の骨子にあたるストーリーを示しておきましょう。
- まず、何はともあれ資金を一挙に失うリスクを一定以下に抑えましょう。自分で投資するのだから、その基準は自分で決めなければいけません。このブログでは、ポジション保有時間率を、1年間に交通事故で死傷する確率以下に抑えました。我々アマチュアは、リスクが予見できないのです。防御策はポジション保有時間を減らすのが最も確実です。リスクの下げ方がすごいでしょ。
- 次に、個々の取引の勝率を仮定して、勝率毎の期間収益率を求めます。ここでは3勝1敗(勝率75%)を目指すので、ポジションを持つ前に期待的中率75%以上の根拠が必要だということになります。期待的中率とは、ある状況における過去の値動きの方向が75%以上同じ方向を示している、といった数字のことです(「根拠の的中率」は事後にわかることです)。この期待的中率が目標の勝率75%よりも高いか低いかを、取引をする/しないという判定基準にしている訳です。ロジカルでしょ。
- もし期待的中率と勝率とが乖離し始めたら、何か根拠がおかしいので見直せば良いのです。そういうやり方で取引を繰り返せば、PDCAサイクルが機能します。だから、同じ経済指標発表時に同じやり方の取引で、失敗の教訓を盛り込みながら繰り返していけば、期間収益率は期待的中率通りの数字に向けて収束していきます。つまり、以下に挙げた週平均2回での取引ならば年間収益率をほぼ20%に安定させることへと繋がります。仕事みたいでしょ。
では、以上の数字と数字の意味を説明します。
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【許容リスク試算】
まず先に、ちょっと良くない確率の話を使ってリスクを捉えてみましょう。
(一財)全日本交通安全協会HPに依れば、平成26年中の交通事故死傷者数は約70万人です。そして、総務省統計局HPに依れば、平成26年の日本の人口は約127百万人です。よって、日本で1年で交通事故に遭って死傷する確率は約0.6%です。
一方、1年356日の5/7のFX取引可能時間は6257時間です。6257時間の0.6%は40時間足らずです。なので、これ以下に年間取引時間を収めれば、ポジションを持っている間に予見不可能な事態に遭う確率は、交通事故に遭う確率以下となります。
ひと月あたり3時間しかポジションを持たなければ良いのです。
但し、この話には良くない点が二つあります。
まずひとつは、ひと月あたり3時間しかポジションを持たなければ、そりゃ予見不可能な事態に巻き込まれて壊滅的損失を被る可能性がほぼなくなるのは当たり前です。けれども、この話は小さな確率を具体的にイメージするためにしたのだから、ご容赦頂きたく。
もうひとつは、確率の話を持ち出して詐欺的に話をすり替えています。このままでは、先の話が「予見不可能な事態の程度」を定義していないため、交通事故で死傷するより頻度が高い事態を想像する人に対し、詐欺的な説明になってしまいます。
数字を挙げて説明しても印象を結び付けるのじゃ駄目です。リスクが捉えにくいものだからこそ、〇〇被害者の会が裁判で勝つことがあるのです。
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では、日本で1年間に交通事故に遭って死傷する確率0.6%とは、主要通貨ペアにおけるどういう事態を表しているのでしょうか。あるいは、その確率以下で取引を行うとはどういうことでしょうか。双方の認識が一致すれば、先の確率の話が詐欺的ではなくなります。
例えば、ボリンジャーバンド(面倒なので、以下はBBと表記します)は、とても便利で視覚的にわかりやすいテクニカル分析ツールです。このBBには標準偏差の式が組み込まれているので、これを使って自分でリスクを視覚的に捉えてみてください。
BBを使うと言っても、FXの参考書でよく見受けられるように、正規分布の話をしておいて「n=20で使え」なんて詐欺的な説明をするのは嫌です。BBがどんな式で描かれていたとしても、あれは単にテクニカル分析ツールに過ぎません。もし皆が使っているからよく当たるだけならば、何がテクニカルなんだかわからないぐらいです。
ここでは統計ツールとしてBBを使うので、BBのカウント数をn=7200にして、プラスマイナス3σの2線の外側にいくつローソク足が飛び出しているか数えてみましょう。結果は、任意の時期の任意の通貨ペアで、平均すると、22本ぐらいのローソク足終値がプラスマイナス3σの2線の外側に出てしまうはずです。
さてここで、7200本は1週間5日間の1分足の本数です。そして、この22本が取引しても良い1分足です。
これで、1年間に交通事故で死傷するぐらい予見不可能で壊滅的事態に遭遇する確率と、ポジション保有時間率という確率とが、対象読者に対して同じ意味を持つ数字として結び付きました。
あまり想定できませんが、ここまで読み進めてくれた読者でBBを知らない・使ったことがない方のために正確に言えば、1週間分の1分足7200本に占める取引しても良い22本の比率は、1年のうちに交通事故で死傷する確率の半分ぐらいです。だから、ついうっかり22本を超えて取引してしまうことがあっても、倍の44本ぐらいまでなら目くじらを立てる必要はありません。
でも間違わないでください。このリスク率を許容して投資を始める以上、1年間で交通事故で死傷するか、投資で壊滅的リスクに巻き込まれるか、どちらかの災難に遭う確率が投資をしない人の約2倍になったのです。
そして私の場合には車を運転しないので、もしも私が何億円かFXに投じているのなら、これで人生のリスクはきっと人並みになったはずです。M君の場合には、運転をしなくても桁外れのリスクを背負ったことになります(プロフィールも見てね)。
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(取引回数・時間について)
そもそも、このブログで経済指標発表時の短期シナリオ手法での取引を薦めた理由は、取引回数と1回のポジションを持つ時間を減らすことに繋がるからでもあります。参考までに、経験上の数字を出して、簡単に試算しておきましょう。
幸い、取引に適した経済指標の発表回数は限られています。発表回数が限られている上に、取引に適した指標は多い週でも5回もありません。平均すると2回ぐらいでしょうか。
取引に適した指標が週2回と少ない理由は、過去の発表時に25pipsぐらいの反応(値動き)があった指標に絞るからです。これは「反応が小さいと十分な利益が得られないから」という事ではありません。「反応が小さい指標は、指標の影響で反応したのか、発表前後のもっと長い期間でのトレンドで反応しているのか、その区別がつかないから」です。その区別がつかない事をいくら分析しても、次の発表時の取引で勝率を高める事に繋がりません。
(※2017年2月28日追記)2017年以降、期待的中率70%以上の論拠があればポジションを持つようにしました。1週間に2回や3回の取引では、取引回数が少なすぎるという指摘を頂いたからです。ブログを始めて初期の頃に頂いた読者の反応は嬉しくて。それでも、取引時間はほぼ1か月3時間に抑え、指標単位での勝率は75%以上に維持できています。シナリオ単位での勝率がやや下がったことが、pipsの小さなシナリオにも手を出すようになった影響と言えるでしょう。
次に、経済指標の影響でトレンドが変化する場合もありますが、ほとんどの場合、発表後10分も経たないうちに指標の影響が前後のトレンドに呑み込まれてしまいます。経験上、1回の取引時間は5分以内となることが圧倒的に多い気がします。長くても10分と捉えておけばいいでしょう。
従って、狙いを定める時間は指標発表の前後10分以内(できれば数秒以内)とします。この20分間のうちにポジションを持っているのが10分以内ということです。そうして、それまでのトレンドに指標が与える影響だけを刈り取るのです。
週平均2回の取引を行い、1回の取引でポジションを持つ時間が10分です。これなら1週間で1分足20本の取引で済みます。
2回とか10分とか25pipsとか突然に数字が出てきましたが、予め断ったようにこれらは経験上の数字です。やればすぐにわかることだし、既にDBの結果報告にも事例を載せているので、ここではあまり気にしなくても構いません。
では次に、リターンの試算です。
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【期間収益率試算】
数字ばかりで疲れますよね。でももう少しの辛抱です。
(計算モデル)
いま、レバレッジ25倍でUSDJPY=0.1枚での取引をイメージしてみましょう。0.1枚は小さすぎないか、と言われそうですね。でも1枚とか10枚に増やすのは、自信がついてからにしたらどうですか。
例えば、
- 1USD=100.00JPYのとき買ポジションを取得し
- 1USD=100.10JPYのときポジションを解消し
- 利益100円を確保した
という取引です。指標発表時の取引でこの程度の利益を得ることも、この程度の取引が1秒で済むことも、決して珍しくないでしょう。
さて、1ドルが100円のときレバレッジ25倍でUSDJPY=0.1枚のポジションを得る投資額は4000円です。そして、この取引で得た100円は投資額の2.5%にあたります。
(予備計算)
後ほど現実に即した計算をするので、先にそれを容易にするため「同じ比率の取引を繰り返す」という単純なモデルで予備計算をしておきましょう。
1回の取引での利益が2.5%ならば、資金を2倍にするために必要な取引回数は、
- ずっと連勝を続ければ28回
- このブログが目標とする3勝1敗(勝率75%)ならば56回
- ありそうな話として、勝てるのが3回に2回(勝率67%)ならば84回
- もっと謙虚に勝てるのが5回に3回(勝率60%)だとしても140回
です。
なぜ3勝1敗なら56回なのかは大丈夫ですよね。単純化して3勝1敗のうち1勝1敗分が相殺されるとしましょう。このとき、2勝分の利益を蓄えるために4回の取引を要するから、ずっと連勝を続ける場合の2倍の取引回数が必要になるのです。
経済指標発表時の短期シナリオ手法での取引では、ざっくり1勝1敗分の損益が実際に相殺されてしまうことが、トレンドフォロー手法でうまく取引できていない人にはきっと信じられません。これは実際のデータを整理して後日別途紹介します。
でももう「たぶんそうだ」という答えなら紹介できます。
きっと、自分でシナリオを用意してその通りに取引するようになれば、そういう風にシナリオを用意してしまうものなのでしょう。そしていずれ気づくのです。チャートの動きに動揺している自分の判断よりも、事前に冷静に分析していたときの自分の判断の方が信じられる、ということを。
なお、「1回の収益率がいくらのとき何回の取引が必要か」という計算は、いちいち自分でやるのが面倒です。気になる方のためにこちらに複利数表を用意しておきました。使い方もそちらをご覧ください。
(現実計算)
でも実際には、資金全額を毎回の取引に投入するなんてあり得ませんよね。ここからが実際の取引に即した本番の計算です。もう既に予備計算をしているので簡単です。
いま手持ちの資金を10等分します。このうちひとつ(資金の10%)で上記のような取引をしましょう。
毎回平均して損益が2.5%となる取引を3勝1敗で繰り返せば、56回目に取引していた10%分の資金は2倍の20%分に増えています。このとき資金全体は最初の110%に増えていることになります。
ここで再び資金を10等分して、2回目も同じことを繰り返しましょう。2回目が終了したとき、最初の資金は121%に増えています。
3勝1敗なら56回を2回繰り返すので112回の取引となる訳です。これで元の資金全体が約20%増えていることになります。週平均2回の取引ですから、112回の取引は56週で終わります。そして1年は52週です。
このブログのDBで公開中の取引は、3勝1敗となる根拠(期待的中率)を用いて行っています。それは、このブログの年間収益率の目標が、「1-1. FXを楽しむために」で挙げたように、約20%だったからです。常に同じ基準(期待的中率)をずっと用いている理由もまた、結果(年間収益率)を安定させたいから、ということでした。
期待通りの勝率や収益率にならないときには、何か根拠に問題があるはずです。根拠は思い込みを排除して、過去の実績だけから作ることが大切です。それにもし、根拠(期待的中率)を嵩上げした解釈をしたからといって、それでは結果がついてきません。
なお、ここに挙げた計算例では、資金の1/10を毎回の取引に投入した試算となっています。これは、トレンドフォロー手法のルールの1/20と違います。この理由は次回に説明します。
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ともあれ、今回は「100発100中の砲1門は100発1中の砲100門にリスク回避の点で勝る」という話でした。3勝1敗なのに100発100中という表現はよくないかもしれません。でも、ここまで付き合ってくれた読者の方は大丈夫でしょう。
複利のような仕組がある世界では、利率(勝率)の僅かな差が最終的に大きな収益の差になって現れます。勝率が51%しかなければ、同じ期間収益率を得るために、驚くほど多くの取引回数が必要です。そんなやり方をしていると、ふと気が付いたときにはポジション保有時間が長くなってしまっているのです。
ーーー$€¥£A$ーーー
なお、この記事は「FXが上達するのか」というテーマで、その方法論や考え方を説明した続き記事です。もしよかったら通して読んでみてください。
以上
いかがでしょうか。もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。万が一、購入・登録・合意もしていないのにクリックしただけで勧誘メールが毎日来るようなったなら、こちら(※9-1-4)までご一報をお願いします。
さて、OANDA社のHPの分析図表はあちこちのHPで見かける気がします。それだけ、わかりやすくてきれいな図表だということでしょう。でも許可を得ているなら別ですが、勝手に引用しちゃ駄目ですよね。何か現象を、ああいう表現で捉えられることには、きちんと敬意を払える人間でいたいものです。
実は、私もまだOANDA社の口座は開設していないのに、ときどきポジションの分布図などは見に行っています。始めて間もないこのブログが軌道に乗ったら、ドルストレートの通貨ペア取引のため、口座開設してみたいと思っています。
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追記:この記事は2016年12月20日に、一部修正・追記しています。
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