2016年11月19日
8-3. リスクとは
リスクという言葉の定義説明はいらないですよね。
でも「ロシアがクルミアを併合したので地政学的リスクが発生した」という表現は、何で「国際問題が発生した」と言わないのでしょう。
さて、インターネット掲示板では「取引条件が通常より悪化した」「スプレッドが大きくなった」「約定できなくなった」という悲鳴をたまに見かけます。私の記憶だけでも何度かあります。
こういう状況やそうした不安感を生む状況のことを、このブログでは「約定リスク」と呼ぶことにしましょう。
スイスフランショックのときには、約定リスクがTV・新聞で報道されました。実際に一時的にインターバンクでの為替取引が停止されたという事実があったからです。
それほどの大事件でなくても、短時間に急激にレートが変化すると、約定リスクは発生します。
約定リスクが起きる状況は、大別して2種類あります。
最近の例だと、スイスフランショックや中国元の突然の切り下げ発表などは、それらが起きることすら予見不可能でした。このように、事態そのものを予見できないことが起きると、約定リスクが発生することは、むしろわかりやすい話です。
一方、ブリグジットショックやトランプショックでは、予め大きく値動きすることは予想されていました。そして、あれほど一方に予想が片寄った報道を見れば逆張りなんてしない方が健全でした。だから、サプライズな結果というのも約定リスクに繋がります。
約定リスクは「ポジションを持っているのに損切注文ができない状況や、予め逆指値注文をしていてもその注文が通らない状況」で発生します。
我々にとっては、何とかショックや何とかリスクよりも、約定リスクこそが本当のリスクだと言えますよね。
以下に約定リスクが発生した事件・事例について、いくつか纏めておきます。念のため、インターネットで日付等は調べておきましたが、この内容は私の記憶・理解による部分が大です。従って、各事件・事例の正確な話を知りたければ、ご自身で調べることをお薦めします。
2016年11月8日(現地時間)の米国大統領選で、女性蔑視や人種差別の発言の多さから、トランプ候補が落選するという見方を伝える事前報道が多く見受けられました(当会所感)。がしかし、最終的には逆の結果となり、開票が始まって出口調査や開票速報が伝えられるに連れて、為替市場や株式市場などで短時間に大きな変動が起きました。
手元資料によれば、この日のUSDJPYは始値105.20から安値101.20を付ける一方(400pipsの急落)、その週終値が106.90を付ける(安値からは570pipsの高騰)という乱高下でした。ショックというには変動幅が小さいものの(当会所感)、基軸通貨国で起きた事件のため、他の事例に比べて影響が波及する範囲が広かったというショックだったのでしょう(当会解釈)。
このときは、一部インターネットの掲示板では、あるFX会社で「約定できなくなった」という話がありました。当会では真偽が確認できていませんが、おそらくこれは「約定しにくくなった」の間違いではないか、と推察しています。
ちなみに、400pips程度の変動といえば、9.11テロのときにUSDJPYは1日で122円から118円台まで約4円(約400pips)下落しています。為替市場では、これらの事件による変動幅がほぼ同じだという点がちょっと興味深いですね。
英国がEUを離脱する・したことを、「Brit(Britain)」と「exit」を組み合わせた造語でBrexit(ブリグジット)といいます。国民投票前の多くの報道解説では「(予断はできないものの)最終的には英国民の理性的判断(EU残留)が選択される可能性が高い」という論調が多く見受けられました(当会所感)。がしかし、2016年6月23日に行わた国民投票では僅差でEU離脱が決まりました。このとき、開票が始まり出口調査や開票速報が進むに連れて、為替市場や株式市場などで短時間に大きな変動が起きました。
手元資料によれば、僅か1時間で2700pipsもGBPJPYは急落しています。
このときも、一部インターネットの掲示板で「約定できなくなった」という話がありました。これほど短時間に大きくレートが動けば、FX会社のレートがスリップしたり、注文が通らなくなることは理解できます。
2015年8月24日と2016年1月11日、ZARJPY(南アランド円)が週明け午前に大きく下落したことがありました。いずれも前週からの中国情勢への不安感・不信感から、流動性が低い時間帯に売注文が集中し、ロスカットを巻き込んでしまったようです。
ZARJPYについては、それ以前にも2009年11月2日に東京金融取引所の提供する「くりっく365」での急落事件が知られています。このときは、11.50付近から8.41付近まで急落(跳んだ?)し、FX会社のレート配信停止や強制ロスカットが起きて問題になりました。確かこの件は訴訟沙汰となったと記憶しています。これこそが約定リスクが現実となった事例です。
まず、2009年後半から欧州ソブリン危機によって安全通貨CHF(スイスフラン)への逃避が進みました。そして2011年9月に、スイス中銀が自国経済防衛のため、対EUR上限を1.2CHFとする無制限為替介入を開始しました。ところがその後、ロシアのウクライナ侵攻への各国経済制裁や原油価格の大幅下落によって、欧州のインフレ率の低下が顕著となります。そこで、ECB(欧州中銀)は相次いで金融緩和を実施し、一段のEUR安が進み、CHFへの資金流入圧力もますます強まっていました。ちなみに、この頃はドラギマジックという言葉が新聞にも載っていました。
かかる状況下において、2015年1月15日、スイス中銀は先の1EUR=1.2CHF防衛断念を突然発表しました。 その結果、CHFJPYは115円台半ばから一時150円台まで上昇しました(3500pips以上のCHF急変)。その影響は、英国のFX会社が潰れるほど大きく、ドイツ銀行もUSD150Mの損失を被った事が報道されています。ちなみに、このときのUSD150Mだけでは説明がつかないぐらい、ドイツ銀行は問題を抱えているという「噂」が新聞でも報道されています。
ともあれ、スイスフランショックでは、一部のFX会社ではスプレッドを大きくしたりレート配信を中止したため、清算するにも損失が増えたり清算すらできずに損失を拡大した、とTV・新聞で報道されました。
投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻する見込みが報道され始めてから実際に破綻するまでのショックと、それから数日経って同行破綻の影響が顕在化し始めたショックを指しています。その結果、2008年9月中旬から12月中旬までの3か月で、USDJPYは108円付近から87円付近まで約20円も下落しました。当時「ドル市場で資金の出し手がいなくなり、翌日物以外は取引が皆無」という市場関係者のコメントも報道されています。ショックというには変動した期間が長いが(当会所感)、基軸通貨国で起きた事件のため、他の事例に比べて影響が波及する範囲が広かったというショックだといえるでしょう(当会解釈)。
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。広告バナーはいずれも良心的なリンク先ばかりを選んでいるつもりです。ご安心ください。
贈り物は百貨店の包装紙で、という場合ばかりではありません。
ちょっとした御礼をしたり何か粗品を配りたい、というときは、数100円から数千円ぐらいの範囲で選択肢があった方がいいですね。
「ここのはおいしくて」「一度、食べてもらいたかったのよ」、電話で一言添えれば失礼にはなりません。
ここのはおいしくて、一度、食べてもらいたいえびせんです。
でも「ロシアがクルミアを併合したので地政学的リスクが発生した」という表現は、何で「国際問題が発生した」と言わないのでしょう。
さて、インターネット掲示板では「取引条件が通常より悪化した」「スプレッドが大きくなった」「約定できなくなった」という悲鳴をたまに見かけます。私の記憶だけでも何度かあります。
こういう状況やそうした不安感を生む状況のことを、このブログでは「約定リスク」と呼ぶことにしましょう。
スイスフランショックのときには、約定リスクがTV・新聞で報道されました。実際に一時的にインターバンクでの為替取引が停止されたという事実があったからです。
それほどの大事件でなくても、短時間に急激にレートが変化すると、約定リスクは発生します。
約定リスクが起きる状況は、大別して2種類あります。
最近の例だと、スイスフランショックや中国元の突然の切り下げ発表などは、それらが起きることすら予見不可能でした。このように、事態そのものを予見できないことが起きると、約定リスクが発生することは、むしろわかりやすい話です。
一方、ブリグジットショックやトランプショックでは、予め大きく値動きすることは予想されていました。そして、あれほど一方に予想が片寄った報道を見れば逆張りなんてしない方が健全でした。だから、サプライズな結果というのも約定リスクに繋がります。
約定リスクは「ポジションを持っているのに損切注文ができない状況や、予め逆指値注文をしていてもその注文が通らない状況」で発生します。
我々にとっては、何とかショックや何とかリスクよりも、約定リスクこそが本当のリスクだと言えますよね。
以下に約定リスクが発生した事件・事例について、いくつか纏めておきます。念のため、インターネットで日付等は調べておきましたが、この内容は私の記憶・理解による部分が大です。従って、各事件・事例の正確な話を知りたければ、ご自身で調べることをお薦めします。
【8-3-1. トランプショック】
2016年11月8日(現地時間)の米国大統領選で、女性蔑視や人種差別の発言の多さから、トランプ候補が落選するという見方を伝える事前報道が多く見受けられました(当会所感)。がしかし、最終的には逆の結果となり、開票が始まって出口調査や開票速報が伝えられるに連れて、為替市場や株式市場などで短時間に大きな変動が起きました。
手元資料によれば、この日のUSDJPYは始値105.20から安値101.20を付ける一方(400pipsの急落)、その週終値が106.90を付ける(安値からは570pipsの高騰)という乱高下でした。ショックというには変動幅が小さいものの(当会所感)、基軸通貨国で起きた事件のため、他の事例に比べて影響が波及する範囲が広かったというショックだったのでしょう(当会解釈)。
このときは、一部インターネットの掲示板では、あるFX会社で「約定できなくなった」という話がありました。当会では真偽が確認できていませんが、おそらくこれは「約定しにくくなった」の間違いではないか、と推察しています。
ちなみに、400pips程度の変動といえば、9.11テロのときにUSDJPYは1日で122円から118円台まで約4円(約400pips)下落しています。為替市場では、これらの事件による変動幅がほぼ同じだという点がちょっと興味深いですね。
【8-3-2. ブリグジットショック】
英国がEUを離脱する・したことを、「Brit(Britain)」と「exit」を組み合わせた造語でBrexit(ブリグジット)といいます。国民投票前の多くの報道解説では「(予断はできないものの)最終的には英国民の理性的判断(EU残留)が選択される可能性が高い」という論調が多く見受けられました(当会所感)。がしかし、2016年6月23日に行わた国民投票では僅差でEU離脱が決まりました。このとき、開票が始まり出口調査や開票速報が進むに連れて、為替市場や株式市場などで短時間に大きな変動が起きました。
手元資料によれば、僅か1時間で2700pipsもGBPJPYは急落しています。
このときも、一部インターネットの掲示板で「約定できなくなった」という話がありました。これほど短時間に大きくレートが動けば、FX会社のレートがスリップしたり、注文が通らなくなることは理解できます。
【8-3-3. ZARJPY急落事件】
2015年8月24日と2016年1月11日、ZARJPY(南アランド円)が週明け午前に大きく下落したことがありました。いずれも前週からの中国情勢への不安感・不信感から、流動性が低い時間帯に売注文が集中し、ロスカットを巻き込んでしまったようです。
ZARJPYについては、それ以前にも2009年11月2日に東京金融取引所の提供する「くりっく365」での急落事件が知られています。このときは、11.50付近から8.41付近まで急落(跳んだ?)し、FX会社のレート配信停止や強制ロスカットが起きて問題になりました。確かこの件は訴訟沙汰となったと記憶しています。これこそが約定リスクが現実となった事例です。
【8-3-4. スイスフランショック】
まず、2009年後半から欧州ソブリン危機によって安全通貨CHF(スイスフラン)への逃避が進みました。そして2011年9月に、スイス中銀が自国経済防衛のため、対EUR上限を1.2CHFとする無制限為替介入を開始しました。ところがその後、ロシアのウクライナ侵攻への各国経済制裁や原油価格の大幅下落によって、欧州のインフレ率の低下が顕著となります。そこで、ECB(欧州中銀)は相次いで金融緩和を実施し、一段のEUR安が進み、CHFへの資金流入圧力もますます強まっていました。ちなみに、この頃はドラギマジックという言葉が新聞にも載っていました。
かかる状況下において、2015年1月15日、スイス中銀は先の1EUR=1.2CHF防衛断念を突然発表しました。 その結果、CHFJPYは115円台半ばから一時150円台まで上昇しました(3500pips以上のCHF急変)。その影響は、英国のFX会社が潰れるほど大きく、ドイツ銀行もUSD150Mの損失を被った事が報道されています。ちなみに、このときのUSD150Mだけでは説明がつかないぐらい、ドイツ銀行は問題を抱えているという「噂」が新聞でも報道されています。
ともあれ、スイスフランショックでは、一部のFX会社ではスプレッドを大きくしたりレート配信を中止したため、清算するにも損失が増えたり清算すらできずに損失を拡大した、とTV・新聞で報道されました。
【8-3-.5. リーマンショック】
投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻する見込みが報道され始めてから実際に破綻するまでのショックと、それから数日経って同行破綻の影響が顕在化し始めたショックを指しています。その結果、2008年9月中旬から12月中旬までの3か月で、USDJPYは108円付近から87円付近まで約20円も下落しました。当時「ドル市場で資金の出し手がいなくなり、翌日物以外は取引が皆無」という市場関係者のコメントも報道されています。ショックというには変動した期間が長いが(当会所感)、基軸通貨国で起きた事件のため、他の事例に比べて影響が波及する範囲が広かったというショックだといえるでしょう(当会解釈)。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。広告バナーはいずれも良心的なリンク先ばかりを選んでいるつもりです。ご安心ください。
ーーー以下は広告ですーーー
贈り物は百貨店の包装紙で、という場合ばかりではありません。
ちょっとした御礼をしたり何か粗品を配りたい、というときは、数100円から数千円ぐらいの範囲で選択肢があった方がいいですね。
「ここのはおいしくて」「一度、食べてもらいたかったのよ」、電話で一言添えれば失礼にはなりません。
ここのはおいしくて、一度、食べてもらいたいえびせんです。
ギフト用えびせんべいのネット通販ならえびせん家族で
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/5665288
この記事へのトラックバック