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2024年03月05日

超巨大怪獣の系譜

「平成・令和生まれに捧げる特撮学」追加データ)

 日本の特撮ヒーロー界では、その始祖「月光仮面」(1958年)の時点から、早くも、等身大ヒーロー(月光仮面)vs 巨大怪獣(マンモスコング。身長15メートル)の構図を生み出していた。その後も、多くの等身大ヒーローが巨大怪獣と対峙した訳なのだが、やがて、「マグマ大使」(1966年)や「ウルトラマン」(1966年)などの巨大ヒーローが登場すると、巨大怪獣の相手はもっぱら巨大ヒーローが受け持つようになっていった。

 しかし、ヒーローが巨人化すると、今度は、怪獣の方ももっと巨大化して、巨大ヒーローを等身大ヒーロー扱いするようなシチュエーションも、しばしば見掛けるようになっていったのだ。いわゆる、超巨大怪獣の出現である。

 栄えある超巨大怪獣の第一号は、「ジャイアントロボ」(1968年)に登場したドロゴン(第21話「ミイラ怪人」)であった。ただし、ドロゴンは忍者怪獣の異名どおり、その忍法(?)を使って、一時的に超巨大化してみせたに過ぎず(ドロゴンの本来の身長は50メートル)、ヒーローのジャイアントロボを巨体で圧倒してみせるようなシーンもほんの僅かであった。

 さて、設定上では、ウルトラマンの身長が40メートルなのに対して、ゼットンアボラスなどの怪獣は身長60メートルとなっているので、これらの怪獣も十分に巨大な対戦相手になり得そうだったのだが、実際の映像上では、両者は同身長にしか見えなかった。このように、基本的に、怪獣図鑑などで公表されている怪獣の身長データは、超巨大怪獣かどうかの目安としては、まるで役に立たない。

 次にはっきりとした超巨大怪獣をお目にできた作品は、「帰ってきたウルトラマン」(1971年)だった。その第23話「暗黒怪獣 星を吐け!」の暗黒怪獣バキューモンは、明確に「怪獣」とは呼ばれていたのだが、その形態は、むしろ、ブラックホールのような天体現象を思わせるものであった。顔のある雲のようなデザイン画も残されてはいたのだが、それが映像上で使われる事もなく、視聴者にとっても、バキューモンはあまり怪獣っぽくは見えなかったのではないかと思う。

「帰ってきたウルトラマン」(1972年)では、第42話「富士に立つ怪獣」でも、富士山頂に乗っかるほどの巨体の怪獣パラゴンが登場したが、この巨大な姿は、実際には、蜃気楼による幻であった。(パラゴンの本当の体長は80メートル)続く「ウルトラマンA」(1972年)に出演したヒッポリト星人(第26話「全滅!ウルトラ5兄弟」)も、初登場時は200メートルもの身長で、防衛隊やヒーロー(ウルトラマンA)を怯ませたが、やはり、こちらも超能力で巨大な幻影を遠地に投影してみせていただけであった。(ヒッポリト星人の実際の身長は50メートル

 第二次怪獣ブーム(1971年〜)以降は、特撮ヒーローも、およそ等身大ヒーローの方が主流となっていき、巨大ヒーローや巨大怪獣のたぐいは、ほぼ円谷プロの独壇場となっていったようだ。

 そんな時代の流れの中で、1979年の「ザ☆ウルトラマン」では、ウルトラマンも、ついにマトモな形で、超巨大怪獣と対戦する事となる。そのお相手となった巨大怪獣が、第21話「これがウルトラの星だ!!第3部」の暗黒怪獣バゴン(身長938メートル)だ。「ザ☆ウルトラマン」に登場した怪獣は、総じて大きめだったのだが、その中でも、このバゴンは、シリーズ中盤の見せ場怪獣という事で、特に破格の大きさであった。

 もっとも、「ザ☆ウルトラマン」は、実写ではなく、アニメ作品であり、アニメの巨大ロボットものに関して言えば、すでに、ギルギルガン(身長70メートル。1975年「グレートマジンガー対ゲッターロボ」に出演)や無敵戦艦ダイ(全長420メートル。1975年「ゲッターロボ」に出演)などの超巨大な敵がいくつも登場していた。アニメだったら超巨大な怪獣・ロボットも簡単に表現しやすいのであり、そういう意味では、アニメのヒーローものでは、他にも、多数の作品で、超巨大な怪獣やロボットが、頻繁に出演していた。

 再び、円谷プロの作品の話に戻るが、1982年の雑誌グラビア作品「アンドロメロス」では、怪獣戦艦と呼ばれる超巨大怪獣群がぞろぞろと登場した。この作品は、主人公たちがすでに巨大ヒーロー、巨大宇宙人だったので、彼らが乗り込んで操縦する怪獣戦艦にしても、当然ながら、超巨大怪獣となった訳だ。グラビアならではの大胆な設定のキャラクターかと思いきや、「アンドロメロス」は1983年には実写化もされたので、動いている怪獣戦艦と、それと戦うヒーロー・アンドロメロスたちの勇姿も、きちんと映像で拝める事となった。(怪獣軍艦の身長は、ギエロニア1313メートルベムズン990メートルキングジョーグ960メートル

 この「アンドロメロス」以降は、しばらくは、ウルトラマンや巨大ヒーローもの自体があまり制作されない、超巨大怪獣にとっても不作の時代が続いたようである。

 その期間に制作された「電撃戦隊チェンジマン」(1986年)の敵軍の大将・星王バズーの正体は、全宇宙規模の侵略兵団の大ボスにふさわしい巨体であったのだが、その見た目はただの星(惑星型生命体ゴズマスター)であった。これは、分類的には、「ザ☆ウルトラマン」に登場した悪魔の星(第14話)の発展バージョンであり、「ウルトラマンダイナ」(1998年)のグランスフィア「ウルトラマンガイア」(1999年)のモキアンと同系列の超巨大怪獣である。

 1993年には、正規の特撮ヒーローものではないのだが、「ウルトラマンになりたかった男」と言う単発ドラマが放送された。この作品は、特撮ヒーロー番組において、そのものズバリ、超巨大怪獣をどう映像化するか、に取り組んだスタッフたちの物語で、本作の作中劇でのみの超巨大怪獣として、ゴッドキングが登場した。このゴッドキングを巨大に見せる方法としては、背景のスクリーンに写した巨大なゴッドキングの映像を、スクリーンの手前にいる着ぐるみのヒーロー(ウルトラマン)たちと戦わせる、と言う手法が用いられていた。

 ただし、現実の話をすると、この時期には、映画業界では、じょじょにCGが導入されるようになり出していた。1996年から、平成ウルトラマンのシリーズが始まると、そこには、CGを多用した怪獣がぞくぞくと登場して、各最終回のラスボス怪獣には、いずれも超巨大怪獣が採用される事となったのだ。

 ちなみに、この平成ウルトラマン・シリーズにおける超巨大怪獣たちの中でも一番印象深かったものを選ぶとすると、「ウルトラマンガイア」の中盤の見せ場に登場した巨獣ゾーリム(第26話「決着の日」)を真っ先にあげたいと思う。このゾーリムは、正統派の動物型怪獣でありながらも、あまりに図体がデカすぎて、巨大なワームホールからも頭だけしか出てこなかったと言う、実にユニークな演出で、その巨体っぷりをアピールしていたのだ。

 こうして、その後の円谷プロが制作するウルトラマン関連のテレビドラマや映画などでは、ラスボスには超巨大怪獣が採用されるのが恒例となっていったようである。その全ての名称はここでは並べないが、とりあえず、2009年の映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」に登場した百体怪獣ベリュドラ(身長4キロメートル)こそは、超巨大怪獣のまさに決定版だったのではないかとも思われる。

 このベリュドラは、単に超巨大であっただけではなく、直立した人間タイプの怪獣だったし、過去の無数の怪獣の合体キャラであった事や、最後の切り札のラスボス怪獣だった点など、実に、超巨大怪獣ならではの要素を全て兼ね備えたキャラクターだったのだ。

 この究極の大怪獣ベリュドラ登場以降も、超巨大怪獣がヒーローものに出演しなくなった訳ではない。超巨大怪獣は、ラスボスだとか見せ場の大怪獣などとして、今なお、多くのヒーローもので重宝され続けているのである。

posted by anu at 14:11| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組

2023年06月10日

私のバカせまい史

 フジテレビで木曜9時から放送されている「私のバカせまい史」が、なかなか楽しいです。

 私の編纂した「平成・令和生まれに捧げる特撮学」も、考えようによっては、特撮ヒーローものの「バカせまい史」の寄せ集めみたいなものだから。

 もし、「私のバカせまい史」で、特撮好きのタレントさんが、特撮関係のバカせまい史を発表するようでしたら、私の書いた「平成・令和生まれに捧げる特撮学」の内容を、喜んで、ご提供いたします。


posted by anu at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組

2023年04月15日

「ウルトラマン」をよく知らない人にとっては

 私が、オシャレやブランド品の話をされても、有名ブランドの名前ぐらいしかピンとこないのと同じで、

「ウルトラマン」の実際の放送を観た事もないようなギャルとか勉強一筋のガリ勉、アスリートなどにとっては、

「ウルトラマン」には、毎週、一貫した敵キャラとして、バルタン星人が登場していて、
バルタン.jpeg

レッドキングとかジャミラとかも、バルタン星人が操る子分怪獣の一匹
レッドキング.jpg
と言う風に思われているのかもしれない。

posted by anu at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組

2023年03月04日

脳みそ大首領

「平成・令和生まれに捧げる特撮学」追加データ)

 悪の組織の大ボス(大首領)と言うのは、最初、その正体を隠している場合が多い。そして、実体が不明の段階では、(あるいは、単眼を強調した形態)だけを部下に見せている大ボス、と言うのも少なくないのだった。

 アクマ族の大魔王ガルバー(1976年「超神ビビューン」)、恐竜軍団の恐竜魔王ゴッテス(1977年「恐竜大戦争アイゼンボーグ」)、ガイゾックの真の支配者(1977年「無敵超人ザンボット3」)、ネオショッカーの大首領(1979年「仮面ライダー」)、デスダークの総統タブー(1982年「大戦隊ゴーグルファイブ」)、ネジレジアの邪電王ジャビウスI世(1997年「電磁戦隊メガレンジャー」)、インフェルシアの冥獣帝ン・マ(2005年「魔法戦隊マジレンジャー」)など。ゲゲゲの鬼太郎の宿敵であるバックベアードも、巨大な目玉の西洋妖怪王だった。

 ほとんどの場合は、この眼とは、大ボス自身の本物の眼である。(つまり、大ボスそのものが巨大なのだ)なぜ、自分の目玉だけを外に晒しているのかと言うと、そこには、文字どおり、「睨みを利かす」と言う目的もあったのかもしれない。また、眼には「眼力」「目ぢから」「邪眼」などの意味合いも見いだす事ができて、まさに、眼こそは表に出すのには、もってこいの部位だったのだ。

 ちなみに、ゴースン党の大魔王ゴースン(1972年「快傑ライオン丸」)は、口だけを部下の前でも見せていると言う異例パターンだったが、眼の場合と比べると、やはり、どこかユーモラスな感じがしたのは否めなかった。

 さて、このような正体不明の大ボスたちでも、実際の姿が暴かれてしまうと、その本体と言うのは、脳みその形をしているケースを、よく見かけるのだった。
 なぜ、大ボスが脳みそなのかと言うと、そもそも、脳とは肉体の司令塔だからであろう。その為、一番偉い(頭のいい)大ボスとは、イコール脳みそのイメージが当てはまりやすかったのかもしれない。実に単純な連想なのだ。

 最初に、脳みそを悪の大ボス役に当てはめた作品が何だったのかは、正確には分からない。例えば、SF小説ならば、1943年の「ドノヴァンの脳髄」(作・シオドマク)あたりが、人を支配する脳みそキャラのハシリだったのであろう。海外の古い映画だと、「The Space Children(宇宙の子供)」(1958年)や「SF第7惑星の謎」(1962年)などに、脳みその形をした宇宙人と言うのが登場していた。ただし、「The Space Children」に出てくる脳みそ宇宙人は悪者ではない。

 日本の作品では、まず、SF小説にて、脳みそだけの状態の悪のボスと言うのを見つける事ができる。1966年の「少年画報」掲載の「新世界遊撃隊」(作・矢野徹)に登場したファンタズマがそれだ。

 続いて、マンガの分野では、「サイボーグ009」(作・石森章太郎)に出てきたブラックゴースト団の総統(1967年「地下帝国ヨミ編」)が、脳みそ状態の大ボスだった。もっとも、「サイボーグ009」では、0012と言う脳みそキャラが、すでに出演済みだったので、ブラックゴースト総統の方は、三人組の脳みそと言うスタイルをとっていた。

 しかし、脳みそと言うモチーフがグロかったからなのか、映像作品では、なかなか、脳みそボスが採用される事はなかったようだった。「サイボーグ009」の劇場アニメ(1967年)でも、肝心のブラックゴーストのボスは、普通のコンピューターにと置き換えられていた。

 ウルトラ怪獣のチブル星人なんて、実質上、宇宙人の脳みその怪物だったのであるが、形が前衛すぎて、脳みそのイメージは皆無だった。このチブル星人も、「ウルトラセブン」(1967年)で初登場した時は一侵略者に過ぎなかったものの、のちに、「ウルトラマンギンガS」(2014年)や「ウルトラマンタイガ」(2019年)に再出演した時は、立派なボスキャラとして、他の怪獣や宇宙人たちの上に君臨する事となる。

 第二次怪獣ブームの頃から、ズノウ星人(1971年「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」)やノウゲルゲ(1972年「超人バロム・1」)といった脳みそ型の怪人も、じょじょにテレビのスクリーンにも登場しだしたのだが、これらは大ボスではない。

 その後、昭和の仮面ライダー全ての共通の敵である岩石大首領と言うのが現われたのだが、これを内部で操っていたのが、恐らくは、宇宙人の脳みそ(目玉付き)であった。(1975年「仮面ライダーストロンガー」

「鉄人タイガーセブン」(1973年)に登場するムー一族の大ボス・ムー大帝も、古代ムーの時代から、脳みそだけの姿になって、生き永らえてきた存在である。

「宇宙鉄人キョーダイン」(1977年)のダダ兵団を率いていたのは巨大ロボットの闇将軍ガブリンだったのだが、ガブリンに命令を下したダダ星のアルファタ・ダダーリン王は、すでに脳みそだけの状態になっていた。

 ハワード・ロックウッド財団の主人であるマモーも、その正体は巨大な脳みそだった。これは、第130代マモーの脳みそである。(1978年「劇場版 ルパン三世」

「無敵超人ザンボット3」(1977年)に登場するガイゾックも、その本当の支配者はコンピュータードール第8号と名乗る物体で、その名の通り、正確にはコンピューターだったのだが、外見は思いっきり脳みその形をしていた。やはり、巨大な脳みそである。

「太陽戦隊サンバルカン」(1982年)のブラックマグマでも、最後の最後に、真の黒幕として、全能の神と言うのが出現した。その正体は不明だが、少なくても、見た目は人間の脳みそだった。

 また、これは海外アニメであるが、「ミュータントタートルズ」(1987年)に出てくるディメンションXのクランゲ帝王も、実質上、脳みそタイプに分類できる悪の大ボスである。

 とまあ、こんな感じで、かなりの割合で、脳みその形をした大ボスと言うのが存在するのだ。

 やがて、TVゲームが普及しだすと、今度はゲームの世界で、脳みそ型のラスボスが頻繁に登場するようになりだした。「グラディウス」(1985年)や「メトロイド」(1986年)、「魂斗羅スピリッツ」(1992年)などの最終ボスがそうだったし、「グラディウス」の姉妹編である「沙羅曼蛇」(1986年)に至ると、一面のボス(ゴーレム)からして脳みそ怪物なのだ。これらの脳みそボスたちは、同ゲームの新作でも、よく再採用されたものだから、結果として、最新のゲーム上でも、なおも、変わらぬ姿を披露し続けたのであった。

 大ボスに限定せず、体の一部だけが印象的な脳みそ状になっていた怪人までピックアップしていくと、ハカイダーサイモン・ライトメタルナミュータント顔のない悪魔ダークブレインモジョ・ジョジョなど、それこそ、様々なジャンルの創作物から、該当者を見つけだす事ができて、もはや、キリがない。つまりは、脳みそと言う器官は、それだけ、クリエイターの想像力を掻き立てる体の部位だったと言う事なのであろう。
posted by anu at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組

2022年12月22日

「モンスターラブ」感想

「水曜日のダウンタウン」の好評企画「MONSTER Love」を最後まで見終えました。
 クロちゃんの恋人ゲットの結末を素直に祝福している皆さんには申し訳ないのですが、私には、これは、バッドエンディングよりもモヤモヤするハッピーエンドにと感じてしまいました。
 だって、最終的にホンモノ彼女だったらしいリチは、クロちゃんに対して「口が臭い」と失言してしまった女性なのです。好きな男に「口が臭い」なんて言えるものなのでしょうか?とうが立った夫婦でもあるまいし。
 一方、リチの対抗馬だったニセモノ彼女のミクは、一貫して、クロちゃんに好き好き攻撃を仕掛けていました。客観的に見たら、どう考えても、ミクの方がホンモノ彼女のように見えてしまうでしょう。
 そんな訳で、リチとクロちゃんが結ばれると言うエンディングは、やっぱり、どこかシックリいかないのであります。ヤラセじゃないかと疑いたくなってくるぐらいです。
 しかし。
「リチ=本物のカノジョ候補」「ミク=偽物の役者」と言う構図で、あらためて、考察し直してみますと、ホンモノのリチが、クロちゃんの口が臭いと言ったのも、まんざらオカシくも思えなくなってきたのであります。
 まず、ミクをはじめとするニセモノ彼女たちですが、彼女らは「クロちゃんから告白された人をアイドルにする」と、裏でハッパをかけられていました。だったら、アイドルになりたい彼女たちも必死なのです。それこそ、体を張ってでも、クロちゃんを騙そうとするでしょう。間違っても、クロちゃんに嫌われるような失言(「口が臭い」)は、口が裂けても言うはずがないのであります。
 こうしたニセモノ彼女たちの中でも、特に手練だったのがミクだった訳です。よく考えたら、ミクの好き好き攻撃の内容は、あまりにもストレートで、テンプレートすぎます。それと言うのも、やはり、それらが演技で、ウソだったからなのでしょう。わざと、クロちゃんが喜びそうな恋愛プランを組み立てていたのです。
 もし、今回の「モンスターラブ」に、ストーカーなみにクロちゃんLoveの女の子が参加していれば、ミクと同じ行動も取っていたのかもしれませんが、でも、クロちゃんには気の毒ながら、実際には、そこまで過激なクロちゃんファンの女性は存在しなかったのでしょう。
 さて、ニセモノがそこまでヤル気だからこそ、実は、逆に、ホンモノ彼女の方が浮いてくるのです。
 いちおう、ホンモノ彼女は、リチ以外に、リサもそうだったらしいのですが、この子は早い段階で脱落してしまいました。で、リサは、脱落の際、クロちゃんのことが好きだと言っていた割には、けっこうアッサリと退場しているのであります。
 つまり、一言で「好き」と言っても、レベルがある訳なのですね。実のところ、リサにせよ、リチにせよ、元々は、もっと軽い気持ちで、この企画に参加していたのではないのでしょうか。「意地でもクロちゃんの恋人になる!」みたいな、強い意気込みではなくて。
 そうなりますと、絶対にアイドルになりたいニセモノ彼女と比べても、だいぶ気合も劣るのです。どこかで「途中で脱落しても仕方ないか」と言う余裕があるから、リチみたいに、うっかり「口が臭い」失言だって、やらかしちゃう訳です。そして、この騙す側としては有りえないほど単純なミスこそが、リチこそがホンモノであった事の証しだったのであります。
 また、クッキー事件の時のリチの反応も、彼女こそホンモノだったと言う前提の元で分析すると、見方が変わってきます。あの時点で、残るホンモノは一人と明示されていたので、つまり、ホンモノのリチには、ミクがニセモノだったと分かっていた事になります。だから、嫉妬と言うよりは、ニセモノの卑怯な戦略を疑ったからこそ、思わず「犯人はミク自身だ」などと口走ってしまった訳です。
 リチは、「クロちゃんが好き」とは言っても、その感情は、熱愛までは、いってなかったのかもしれません。彼女は、「クロちゃんが幸せになれない企画を終わらせたい」とも企画への参加理由を述べていましたが、そこには、男女の恋よりも、母性的なものも感じさせます。いわゆる、ナイチンゲール効果と呼ばれるヤツです。リチのクロちゃんへの愛は、そもそもが、同情とか憐れみなどの要素が強かったのかもしれません。そんな風に感じたせいか、カップル成立後に、リチにひたすらキスしたがったクロちゃんの姿は、なんだか、新しい飼い主にじゃらけて、やたらと顔を舐めたがる保護犬みたいにも見えてしまったのでした。
 ともあれ、私なりの感想の結論を言いますと、リチにとっては、この「モンスターラブ」は、当初の思惑とは違う形で終わってしまったようにも思われます。それゆえ、彼女は、すっかり、この企画の人身御供になってしまったようにも、私の目には写ったのでした。もちろん、これは、あくまで、私のヒネくれた見解ではあるのですが。

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2022年12月21日

悪の組織の途中参戦・途中退場

「平成・令和生まれに捧げる特撮学」追加データ)

 特撮やアニメのヒーローものは、同じ敵(多くの場合は、悪の組織)と全編を通して戦う作品と、1話完結方式で毎回違う敵と戦う作品の、大きく2タイプに分類する事ができる。前者の代表が「仮面ライダー」であり、後者の代表が「ウルトラマン」だ。1シリーズごとに、敵の組織が交代するような作品も、「仮面ライダー」パターンだと考えてもいいだろう。
 しかし、数多い特撮・アニメ作品の中には、この2パターンが混合しているような作品も見受けられる。すなわち、最初は悪の組織と戦っていたのに、途中でその悪の組織が滅びてしまい、あとは特定の敵とは戦わない1話完結スタイルに変わってしまう作品とか、それとは反対に、最初は1話完結スタイルだったのに、中盤から常連の悪の組織が登場するようになる作品だ。
 これらの変則パターンに当てはまる悪の組織を、昭和の作品に限定して、気付く限り、書き出してみよう。

 <途中退場した悪の組織>
パルタ星人(1966年「レインボー戦隊ロビン」
バンデル星人(1967年「キャプテンウルトラ」
ギロン星人(1967年「光速エスパー」
ヤプール(1972年「ウルトラマンA」
ゴドメス軍団(1978年「恐竜戦隊コセイドン」

 <途中参戦した悪の組織>
国際ギャング連合(1964年「エイトマン」
X帝国連合軍(1968年「リボンの騎士」
吸血魔人クモンデス(1972年「好き!すき!!魔女先生」
サタン帝国(1976年「ザ・カゲスター」
大魔王ガルバー(1976年「超神ビビューン」
ヘラー軍団(1979年「ザ☆ウルトラマン」
宇宙魔王(1981年「太陽の使者 鉄人28号」
海槌一族(1985年「スケバン刑事」

 もちろん、これで全てなのではなく、平成以降も、「ウルトラマンG」(1990年)のゴーデスや、「美少女仮面ポワトリン」(1990年)のディアブル「妖怪人間ベム」(2006年)のダーナ・オシーなど、敵キャラが途中参戦したり、途中退場するような展開は、あちこちの特撮やアニメで見かける事となる。
 近年の作品の場合は、これらの敵キャラの途中参戦・退場すらも、作品の原案が練られた段階から決められているケースの方が主流なのであるが、昭和の古い作品だと、作品のテコ入れ、いわゆる、番組の強化策として、唐突に、敵キャラの途中参戦や退場が採用される場合も少なくなかった。
 その典型例が、「キャプテンウルトラ」バンデル星人である。実は、「キャプテンウルトラ」は、バンデル星人編の終了後は、第2の常連の敵宇宙人(コミカライズではバルガン星人)が登場する予定だったのが、バンデル星人編の視聴率が振るわなかったものだから、それで、一貫した敵が出てこない「怪獣ぞくぞくシリーズ」へと変更されたと言う経緯があるのだ。
 このように、特撮やアニメでは、敵キャラの登場形態ひとつに注目してみても、その背景にある思惑とかが垣間見える事もあって、なかなか面白いのである。


posted by anu at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組

2022年11月04日

巨大怪人の倒し方

「平成・令和生まれに捧げる特撮学」追加データ)

 第二次怪獣ブーム(1971〜1974年)の頃の変身ヒーロー(等身大ヒーロー)ものには、必ずと言っていいほど、巨人タイプの敵キャラが登場した。それは、時には、悪の組織の首領であったり、大幹部であったり、あるいは、イベント回の目玉の敵役だったりもした。
 やはり、等身大のヒーローものの場合は、巨大な敵キャラと言うのは、それだけでインパクトがあるし、見た目だけで十分に手強そうにも感じられるからなのであろう。仮面ライダー・シリーズでも、「仮面ライダーX」(1974年)では大幹部のキングダーク(身長26メートル)、「仮面ライダーストロンガー」(1975年)でも最後の敵として岩石大首領(身長不明)と、二度も巨大ラスボスが登場している。
 この巨大怪人と言うシチュエーションであるが、その歴史はなかなか古く、元祖ヒーローである「月光仮面」(1958年)の時点で、早くもマンモスコング(身長15メートル)と言う巨大怪獣が出てきた。言うまでもなく、これはキングコングのパクリだったのだが、本来が「悪い人間」と戦う設定だった月光仮面が、こんな巨大な怪物へと、バイクに乗って立ち向かう姿は、いささかシュールなのでもあった。
 その後も、「ナショナルキッド」(1961年)には怪獣ギャプラ(身長不明)が、「ジャングルプリンス」(1970年/制作は1965年ごろ)にはアリの魔神(身長不明)と言った巨大キャラが登場して、等身大のヒーローと対峙するのだが、これが、やがて、「ウルトラQ」(1966年)を経由して、「ウルトラマン」(1966年)を筆頭とする巨大ヒーローものへと、バトルの構図そのものが変わってゆく訳である。
 さて、第二次怪獣ブームの頃の巨大怪人の倒し方には、なんとなくパターンがあった。それが、一言で紹介すると、「等身大ヒーローは、巨大怪人の体内へと潜り込んで、これを撃退する」と言うものなのである。
 およその巨大怪人の正体は、大型ロボットであった。だから、そのような戦い方が可能だし、巨大ロボットの中に潜む操縦者さえ倒せば、この巨大ロボット自体も撃破できる、と言う理屈なのである。
 前述した「仮面ライダー」の巨大キャラ、キングダーク岩石大首領も、この方法で倒された。「電人ザボーガー」(1974年)のジャンボメカ(身長120メートル)も然りである。「キカイダー01」(1973年)のジャイアントデビル(完全体の身長不明)は頭部だけの状態のうちに破壊されたが、完成していたら、やはり同種の方法で倒されていたのかもしれない。(原作マンガでは、ほぼ内部から壊されたとも言えそうな最期だった)同じ石ノ森章太郎マンガ繋がりだと、マンガ版の「サイボーグ009」ブラックゴースト団の総統(魔神像)も、ヒーロー(サイボーグ009)に体内へ侵入された後で倒されている。
「超人バロム・1」(1972年)の巨大化する敵ボス・ドルゲ(最大身長20メートル)は、生き物(?)なので、さすがに、体内に潜り込まれて退治されるような事はなかったが、しかし、「快傑ライオン丸」(1973年)では、大魔王ゴースン(身長24メートル)は、人間が変身した巨大怪人でありながらも、最後は、体の中に無理やり飛び込んだヒーロー(ライオン丸)によって、心臓を貫かれて、破滅していた。それまでのストーリーでは、さんざん、ゴースンの弱点は象牙であるかのようなフラグが立てられていたにも関わらず!
 実は、この「巨大怪人の体内に入って倒す」と言うパターンは、第二次怪獣ブームから始まったものでもなかった。特撮ヒーローもので、最初に、この手法が用いられたのは、恐らく、「悪魔くん」(1966年)のペロリゴン(身長50メートル、もしくは80メートル)であろう。ペロリゴンも怪獣型妖怪だったのだが、食いしん坊で、ヒーロー(悪魔メフィスト)まで食べてしまったばかりに、最後は、内側から体に穴を開けられて、滅びてしまうのだ。同じ東映作品である「仮面の忍者 赤影」(1967年)でも、甲賀幻妖斎の動かす巨大ロボット・金目像(身長45メートル)は、ヒーロー(赤影)の内部浸入を許したばかりに破壊されていた。「キャプテンウルトラ」(1967年)の、星獣バンデラー(身長40メートル)やバンデル巨人(身長30メートル)の退治法も、実質上、この「内部からの攻撃」の変形であった。
 そして、東映作品では、この「巨大な敵を内部から倒す」と言う戦略がエスカレートするあまり、アニメ映画「グレートマジンガー対ゲッターロボ」(1975年)では、ついに巨大ロボット(グレートマジンガーゲッターロボ)までもが超巨大怪獣ギルギルガン(身長70メートル)の体内に飛び込んで、その巨体をぶっ潰す事となるのだ。
 これら東映作品に対して、円谷プロの特撮ものでは、「快獣ブースカ」(1967年)の怪獣イモラ(身長30メートル)にせよ、「緊急指令10-4・10-10」(1972年)の地底怪獣アルフォン(体長70メートル)にせよ、さすがに、動物である怪獣の体内に潜って、やっつけるような手荒なマネはしていなかった。ただし、「戦え!マイティジャック」(1968年)のビッグQ(身長55メートル)の場合はロボットだったから、やはり、しっかりと内部から爆破しているのだ。
 なぜ、巨大な敵の倒し方は、このように、いつも、内側に入って攻撃する形になってしまうのであろうか。
 思えば、我々日本人は、幼き頃、童話を聞かされていた時期から、「大きな敵は、中から倒せ」と言う戦法を知っていた。すなわち、「一寸法師」だ。豆粒のような一寸法師は、鬼(等身大)に飲み込まれ、その中に入って、これを撃退した。実は、この「敵を内側からやっつける」と言うアイディアは、私たちにとっては、ずっと古くから心に染み付いていたものなのであった。そう言えば、日本人の大好きな中国の物語「西遊記」でも、孫悟空は、よく、悪い妖怪の体の中に入って暴れて、その妖怪を降参させる、と言う戦術を用いていた。
 この特撮ヒーローもので頻繁に目にした「巨大な敵の倒し方」は、そもそもが、もっと、いにしえの時代から引き継がれていた伝統だった訳だ。
 第二次怪獣ブームは終焉したが、その後も多くの等身大ヒーローものは作られ続けた。それらの新しい作品の中でも、たびたび、巨大な敵は登場したのだが、さすがに、「敵の内側に入って倒す」のはマンネリと考えられるようになったみたいである。近年では、このような巨大怪人の倒し方は、まるで見かけなくなったのでもあった。

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2022年10月20日

戦闘員のいない悪の組織

「平成・令和生まれに捧げる特撮学」追加データ)

 悪の組織の下っぱの構成員たちを「戦闘員」と言う呼称で呼ぶようになったのは、「仮面ライダー」(1971年〜)以降の習わしじゃないかと思われる。
 では、「仮面ライダー」以前には、悪の組織には下っぱ組織員がいなかったのかと言うと、そう言う訳でもなくて、元々は、彼らは「〇〇(悪の組織名)団員」とか、忍者ならば「下忍」という風に呼ばれていた。
 それが、「仮面ライダー」で、なぜ、急に「戦闘員」になったのかと言うと、「仮面ライダー」が多分にアクション要素の強い作品だったからだとも推察される。
 本来、悪の組織の〇〇団員たちは、雑兵であり、戦闘以外にも、作戦遂行や基地警備などの雑役もこなす存在だった。ところが、「仮面ライダー」では、格闘アクションが見せ場となった為、ショッカーの下級団員たちも、親分の怪人が出陣する前の(ライダー相手の)前座の対戦相手、という役回りが強くなったのだ。この「下っぱ団員たちが最初にヒーローと戦う」というスタイルは、その後のヒーローものの定番となり、それゆえに、「仮面ライダー」以降のヒーローものでも、下っぱの団員は「戦闘員」と呼ぶのが定着していったのである。
 それが、特撮ヒーローも増産されていくうちに、いつしか、この「戦闘員」という存在も邪魔になり始めたようだ。ストーリー性やリアルさを重視するほど、「戦闘員って、いらなくない?」って話になっていったみたいなのである。
 その傾向が最初に現れたのは、恐らく、「宇宙刑事」シリーズ(1982年〜)だったのではないかと思う。この「宇宙刑事」シリーズ自体が、実は、新しい変身ヒーロー像を作ろうとした、野心的な作品だったのだ。
 これまでの変身ヒーローの戦い方が肉弾戦メインだったのに対して、宇宙刑事は、あくまで未来志向であり、科学性を前面に押し出して、銃撃戦とか、大型メカによる戦いなどがふんだんに盛り込まれていた。各話クライマックスの怪人との決戦シーンだって、亜空間に移動して、そこで戦っちゃうのである。これでは、怪人との決戦前の前座の戦闘員バトルだって、あまり必要なくなってしまったのだった。
 そのせいか、「宇宙刑事」シリーズの敵組織(マクー、マドー、フーマ)にも下級戦闘員は存在したのだが、いまいち印象が薄い。「宇宙刑事ギャバン」(1982年)なんて、メイン怪人以外に、ダブルマンなんて準怪人キャラまで出てきたので、戦闘員のクラッシャーは、ますます目立たなかったのだ。
 このように、一方で「宇宙刑事」シリーズが放送されていた頃に、実は、別の時間帯で、ついに、戦闘員が全く居ない悪の組織が登場する事になる。それが、「星雲仮面マシンマン」(1984年)のテンタクルなのだ。
 テンタクルは、下っぱ戦闘員が居ないだけではなく、怪人(アンドロイド兵士)たちも全員がほぼ同じ形をした、驚異の手抜き組織だった。だが、それもそのはずだ。テンタクルとは、世界征服とかを目論む悪の組織などではなく、単に、ボスの天才科学者プロフェッサーK(演じるは、故・天本英世さん)のわがままを叶える事だけが目的の超私的な悪者一味だったのである。
 そんな訳で、テンタクルは「戦闘員がいない悪の組織」をはじめて形にしてみせたのだった。もっとも、話の流れ上、何度か、下っぱの子分集団みたいなものが出てくる事もあった。彼らについては、あくまで「戦闘員」ではなく、ただの黒服の警備員たち(テンタクルに雇われた人間?)みたいな感じで、処理されていたのだった。
 なお、「マシンマン」では、テンタクルのあと、オクトパスと言う、新たな悪の組織も登場するのだが、こちらも、基本的には、専属の戦闘員が居ない組織であった。ただし、オクトパスは「世界中の犯罪者の結託チーム」と言う設定だったので、回によっては、やはり、戦闘員がわりにギャング集団が出てくるような事もあった。
 さて、「宇宙刑事」シリーズがひとまず三部作で完結すると、次は「巨獣特捜ジャスピオン」(1985年)と言う作品が始まる事となった。この作品の悪の組織の戦闘員が、又しても、画期的なアイディアを採用している。
「ジャスピオン」の敵組織は、宇宙人の混成部隊(マッドギャラン軍団)なのだが、さまざまな宇宙人の寄せ集めという設定であり、戦闘員に当たる下級隊員たちも、皆、出身星が違うらしくて、別々の姿をしているのだ。つまり、従来の戦闘員とは違って、全員が統一した容姿・コスチュームではなかったのである。本当に、色んな星の宇宙人で構成されていると言うリアルさを、きちんと表現していたのだった。ただし、その為、せっかくの独自の外観を持っていた宇宙人隊員たちが、ザコとして、あっさりと次々に倒されていくと言う、実に勿体無いようなシーンも多々、見受けられたのであった。
 同じ時間帯の後続番組である「超人機メタルダー」(1987年)では、第1話が始まった時点で、敵組織(ネロス帝国)のほとんどの怪人がすでに揃っていると言う、さらに斬新な演出が採用されていた。こうやって、怪人たちが最初っから一杯いたら、彼らが戦闘員や雑兵役も担える訳であり、下っぱ戦闘員は要らなくなると言う寸法なのだ。
 と、そのように思われたが、やはり、そこまで徹底するには無理があったらしく、やがて、「メタルダー」でも、戦闘員に当たる「軽闘士」と言うキャラが、ボツボツと台頭するようになったのだった。
「メタルダー」の次に始まった「世界忍者戦ジライヤ」(1988年)では、敵も味方も(世界中から集まった)忍者であり、メインの悪の組織である妖魔一族も、唯一の敵という扱いではなかった。妖魔一族の戦闘員に相当する「カラス天狗」は、常に3人1組の布陣を敷いていて、毎回3人しか登場しないと言う、これまた特殊なスタイルの戦闘員であった。
 このように、戦闘員の在り方について、いろいろと試行錯誤した作品が続いている中、「仮面ライダー」のシリーズでも、ついに、戦闘員の居ない悪の組織が誕生する事になる。それが、「仮面ライダーBLACK」(1987年)の暗黒結社ゴルゴムだ。
 ゴルゴムは、そもそもが、これから地球を征服しようとする悪の組織などではなくて、すでに人間社会を影から牛耳っていた秘密結社だったので、下級戦闘員なんて存在も要らなかった訳である。ゴルゴム怪人にしても、元より戦闘用の兵士などではなくて、人間を怪人へと進化させる事自体がゴルゴムの指針だったのだ。
 とは言え、ゴルゴムにしても、やはり、全く戦闘員キャラを出さないようにするのは限界があったようで、結局は、数回ほど、普通の人間らしき雑兵や、さらには、人型ロボット(24話・25話)、ゴルゴム親衛隊(49話)なんてものまで無理くり登場させて、時々、お茶を濁していたようなのだった。
 そのあと、「仮面ライダーBLACK」の続編「仮面ライダーBLACK RX」(1988年)に出てきた敵組織・クライシス帝国では、再び戦闘員が配置される事となったのだが、前作の流れの影響もあったのか、従来の戦闘員のような活躍はあまり見せはしなかった。
 それから、さらに時が経つ事となる。「超光戦士シャンゼリオン」(1996年)や「仮面天使ロゼッタ」(1998年)など、特定の戦闘員が出てこないように見える作品がいくつか散見されたあと、平成の新ライダー「仮面ライダークウガ」(2000年)が始まると、そこでは、とうとう、戦闘員と言う存在そのものがいっさい排除される事となったのだった。
 だが、それも当然だ。クウガの敵は、悪の巨大組織ではないのである。古代人の殺人鬼集団グロンギ族なのだ。ここに来て、ようやく、戦闘員が居ない敵組織と言うのが、基本設定レベルで確立されたみたいなのであった。
 そんな訳で、「仮面ライダークウガ」では、完璧なまでに、グロンギの戦闘員なんてものは出てこない。そもそもが、「仮面ライダークウガ」が、のちの平成仮面ライダーシリーズの基礎となるシリアス路線のドラマだったのであり、そんな作風には、リアリズムに欠けた「戦闘員」なんてキャラは似合わないのだ。
 その後の平成仮面ライダーシリーズは、この伝統をずっと受け継いでいる。だから、平成仮面ライダーシリーズのほとんどの作品では、敵が大掛かりな悪の組織であっても、戦闘員っぽいキャラは、あまり登場しなくなったのだった。少なくとも、今日の仮面ライダーシリーズに関して言えば、戦闘員のいない悪の組織の方がすっかり主流となっている訳である。
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2022年10月18日

破壊音波の時代

ギャオス.jpg
 確かに超音波メスとか共鳴作用とかは実際にあるのですが、それを拡大解釈して、超音波が破壊用の武器になると言う発想は、一時期の特撮やアニメでは、よく見かけたものでした。

 大映映画「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(1967年)では、怪獣ギャオス300万サイクルの超音波メスを口から吐いて、何でも切断します。

 劇場アニメ「サイボーグ009 怪獣戦争」(1967年)でも、ブラック・ゴーストが操る恐竜型ロボットは、破壊音波を出して、暴れ回りました。

 特撮版「マグマ大使」(1966年)に出てきた怪獣フレニックスも、音波怪獣の別名を持つだけに、高周波数音波を攻撃用に吐き出します。

 一方、同じピープロ特撮である「怪獣王子」(1967年)では、音波砲地球人の防衛部隊の側の最強の武器として登場しました。

 さらに、ピープロの巨大ヒーローもの「スペクトルマン」(1971年)に出てきたバロンザウルスも、破壊音波が武器の怪獣です。

 特撮ドラマ「光速エスパー」(1967年)でも、超音波ガリン星人の侵略武器として使われていました。(第20話「ラスター号出撃」

 アニメ版の「8マン」(1964年)にも、超音波銃を持った殺し屋が出てくるエピソードがあります。(第17話「超音波ドクター」

 面白い事に、破壊超音波は、主に1967年前後の特撮やアニメによく登場していたようなのでした。

 あるいは、「超音波でモノを破壊する」と言うイメージが、いかにも科学的っぽく感じられたので、当時の制作者たちは好んで採用していたのかもしれません。

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2022年10月11日

ミスターXの謎

ミスターX.jpg
 ミスターXと言うのは、アニメの「ルパン三世」第1期の第1話(1971年「ルパンは燃えているか・・・?!」)に登場した敵キャラクターです。(同じ名前のキャラが、いろんな漫画に出ておりますので、ちょっと紛らわしいのですが)

 ルパン三世と敵対する犯罪組織のボスという役回りでした。シリーズ通しての敵という訳でもなく、この1話でルパンに倒されてしまい、いわば、第1話にて、ルパン三世の強さを知らしめる為の引き立て役となっています。なお、原作マンガには登場せず、アニメだけのオリジナルキャラクターです。

 このミスターXが、アニメ第2期の「ルパン三世 PART II」にも登場しました。やはり、第1話の「ルパン三世颯爽登場」(1977年)にです。今回も、再集結したルパンファミリーの設定を視聴者にも分かりやすく紹介する目的のような役回りでした。

 このまま、ミスターXは、「ルパン三世」アニメの第1話の象徴のようなキャラになってもいいんじゃないかとも思われたのですが、残念ながら、1984年の「ルパン三世 PART III」以降の第1話には登場しませんでした。

 ところが、ミスターXは、それっきりのキャラではなく、実は、「ルパン三世 PART II」の時点で、すでに三度めの登場を果たしておりました。それが、第65話の「ルパンの敵はルパン」です。

 第1話専門キャラが、なぜ、こんな中途半端な回に再登場を?と、以前は、ずっと不思議に思っていたものでしたが、最近、放送リストを見返していて、気が付いた事がありました。

 この第65話と言うのは、1979年の1月8日に放送されたものだったのです。いわば、1979年の第1回めの放送です。同時に、第6クールめの第1話でもあったのであります。

 つまり、この第65話でのミスターXの再登場は、決して、何も考えていない人選などではなく、アニメの「PART II」での仕切り直し回、さらには、1979年度の放送の始まりという意味合いが込められていたのかもしれません。

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