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2024年01月09日

ミミック1号

 宝箱の形をした人食い生物のことを「ミミック」と言うのだそうです。中世の伝説やおとぎ話などに古くから登場していた怪物のような感じもしますが、実際には、そのような昔の伝承は存在せず、近年のRPGゲームやファンタジー物語の中で、はじめて使われだしたモンスターなのだとも言われています。

 このミミックは、宝箱に擬態していて、本物の宝箱と勘違いして、蓋を開けた犠牲者をパクッと食べちゃう訳なのですが、本当に、これはごく最近に生まれたアイディアだったのでしょうか。カバンのたぐいが主人を食べちゃうようなストーリーは、けっこう過去の小説やマンガなどでもあったような気もします。

 で、最近、私のこのブログでも度々登場しているコナン・ドイル氏の作品を読み漁っていますと、「縞のある衣類箱」(1897年)なんて短編を見つけました。ネタバレしていますので、詳しい内容までは紹介しませんが、この作品に出てくる”箱”なんて、実質上、ミミックと呼んでもいいようなアイテムなのであります。

 どうしても、シャーロック・ホームズや「失われた世界」ばかりが取り上げられがちなコナン・ドイル氏なのですが、彼の書いた他の作品もいろいろと読んでみますと、けっこう、意外な発見が多いのです。

posted by anu at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年12月19日

ドイルの秘境三部作

 名探偵シャーロック・ホームズの作者コナン・ドイルの小説「失われた世界」(1912年)は、恐竜も生き残っている陸の孤島(秘境)を描いた作品として、たいへん有名です。

 そのドイルが、「マラコット海淵」(1929年)という小説では、深海の秘境も描いていた事は、私も、以前、このブログの中で紹介しました。

 さて、陸、海ときますと、次はときそうなものですが、ドイルは、もちろん、空の秘境の物語も書いていたのでした。

 それが、1913年の短編「大空の恐怖」です。
 この作品では、なんと、地上4万フィート(約12キロ)の上空には、場所によっては、奇妙な生物がぞろぞろ住んでいる、という内容なのであります。まさしく、空の秘境の物語です。

 こんな「高空に生物が住んでいる」なんてアイディアは、科学的には早い段階で否定されてしまっており、同系列の作品は、その後、誰も手をつけなかったようにも思われがちですが、

 実際には、このドイルの「大空の恐怖」のイマジネーションは、東宝の怪獣映画「宇宙大怪獣ドゴラ」(1964年)や「ウルトラマンティガ」(1996年)のクリッターなどの、主に怪獣ものに引き継がれていたようなのでした。

posted by anu at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年11月05日

「マラコット深淵」

マラコット.jpg
 最近、温故知新と言うか、昔の怪奇小説やSF小説ばかりを読んでいます。

 こないだ読んだのが、コナン・ドイル「マラコット海淵」(1929年・別の邦題「マラコット深海」)。

 この本は、実は、小学生の時も読んだ事があり、シャーロック・ホームズや「ロストワールド」の印象しかなかったドイルが、こんなSFも書いていた事にひどく感心した記憶があります。

 まあ、SFのアイディアとしては、ウェルズの短編「深海潜航」(1896年)の方が、発表した年も奇想天外さも上のような感じもするのですが、代わりに、「マラコット海淵」では、「沈没大陸の古代文明人が、海底でいまだに生き続けている」と言う着想が採用されています。もしかすると、同種のネタとしては、「マラコット海淵」こそが元祖だったのではないのでしょうか。

 だとすれば、「マラコット海淵」が無ければ、「海のトリトン」も「海底人8823」も生まれていなかった事になります!

 それどころか、外国のB級怪獣映画としてチト有名な「アトランティス7つの海底都市」(1978年)なんて、細かい物語の作りまで「マラコット海淵」に似ていて、精神内を映像にして投影する装置まで出てきます。

 もっとビックリしたのが、東宝の特撮映画「海底軍艦」(1963年)でして、「海底軍艦」の敵キャラ・ムウ帝国の描写は、かなりの部分が「マラコット海淵」と一致しています。海底国の守護者の名前がマンダと言う点も同じなのであります。

 そもそも、映画の「海底軍艦」は、押川春浪氏の原作小説(1900年「海島冐險奇譚 海底軍艦」)のストーリー面はほぼ無視した内容でしたし、むしろ、「海底軍艦 対 マラコット海淵」と呼んだ方が良い作品だったのかも知れません。

posted by anu at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年09月21日

「地球国家2106年」=「世界はこうなる」

 ウェルズの「空中戦争」「今より三百年後の社会」が手に入るという事で、私個人としては、再びウェルズのマイブームが到来しており、ウェルズの作品をもっと読みたくなったので、まだ未入手だった作品を新たに購入しました。

 それが、この「地球国家2106年」(読売新聞社・1973年)です。
地球国家2106年.jpg
 この作品は、それなりに邦訳本は出ていたのですが、SF小説というよりも、架空未来史っぽい内容だと聞いていたので、今まではちょっと手が伸びずにいました。今回、やっと購入に踏み切った次第です。

 実は、吉岡義二さんが訳した「地球国家2106年」は、題名を変えて、何度も再発売されていました。最新のバージョンは、1995年に明徳出版社から発行された「世界はこうなる」上下巻で、それも各巻300ページ越えという大作だったので、250ページしかない「地球国家2106年」は「もしや、完全版ではないのでは?」と一抹の不安も感じたのですが、実際に「地球国家2106年」の現物を拝見しますと、本編の全てが2段組で、細かい字でビッシリ埋め尽くされておりました。これはこれで、気合を入れて読まなくてはいけなさそうです。

 ちなみに、私は、「モロー博士の島 完全版」(創元SF文庫)の巻末付録「ウェルズSF作品邦訳書誌」を手引きにして、ウェルズのSF小説ばかりを集めていたのですが、実際には、ウェルズはSF以外の普通の小説もいっぱい執筆しています。

 いずれ、私は、それらの普通の小説にも手を出すようになるかもしれません。調べたところ、現時点では、ウェルズの普通の小説は、以下のようなラインナップが邦訳されています。

「トーノ・バンゲイ(上・下)」(岩波文庫・1953年〜1960年)
「アン・ヴェロニカの冒険」(国書刊行会・1989年)
「キップス 素朴な魂の物語」(Independently published・2019年)
「ポリー氏の人生」(白水社・2020年)
「ホイールズ・オブ・チャンス」(Kindle・2023年)
「パーフェクト・ジェントルマン」(Kindle・2023年)

posted by anu at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年09月17日

電子書籍の最新事情

 電子書籍は、長らく、漫画ばかりを読んでいたのですが、最近、小説の方も販売状況も再確認してみたところ、なんだか、とんでもない事になっておりました。

 まずは、私が愛読しているH・G・ウェルズの長編小説が、二つほど、電子書籍版で新たに発売。一つが「上地王植琉の私訳古典シリーズ7 空中戦争」(電書バト)。もう一つが「今より三百年後の社会 眠れる人の目覚めるとき」(扶桑社・オンデマンド可)です。

 いずれも、大昔(明治時代!)に邦訳されていた作品でして、原書の入手は諦めていたのですが、まさか、今ごろ、電子書籍で購読可能になるとは!「今より三百年後の社会」なんて、これまでは、児童向けの「冬眠200年」(偕成社)を手元に置いて、ムリに納得していたのに。

 まあ、たとえ電子書籍だろうと、こうして発売されるのは目出度い話であり、この調子で、サンリオから出版され損ねた「彗星のとき」だとか、雑誌掲載のみの「生物学的幻想曲 星の児」なんかも、ぜひ新しく出版決定してほしいものです。

 そして、もう一冊、いつの間にか発売されていたのが「新日本文学電子大系 江戸川乱歩全集(芙蓉文庫)。これが、591円という安価ながら、電子書籍の強みを生かして、本当に、江戸川乱歩氏の小説が一通り収録されていると言う衝撃本です。今まで紙の本や電子書籍で、コツコツ、江戸川乱歩氏の作品を買い集めていた私の努力と出費は何だったのだ?と思わせてしまう一品です。

 ただまあ、この本のおかげで、私も、我が「アケチ大戦争」の資料にする為に、これ以上、乱歩作品を個別に揃える必要も無くなりましたし、当分は、この本をじっくり読んで、いろいろと研究していこうかと考えております。

posted by anu at 14:17| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年08月28日

またまた、謎の映画発見!

 以前、ホラー小説「リング」の中で紹介されている謎の怪奇映画の話をしましたが、又しても、謎の怪奇映画を紹介している作品を見つけてしまいました。

 それが、西岸良平先生の漫画「鎌倉ものがたり」です。その第117話「時間の罠」に、深夜にテレビ放送された外国のホラー映画特集というのが出てくるのですが、その内容が、よく見るとヘンなのです。

 そのラインナップとは、「吸血鬼ノスフェラトゥ」「ゾンビの墓」「エクソシストII」の三本立て。

「吸血鬼ノスフェラトゥ」は1922年のドイツの無声映画、「エクソシストII」は1977年のワーナー・ブラザースの映画で間違いないとして、問題は「ゾンビの墓」です。
 ホラー通なら、すぐ分かるでしょうが、こんな邦題のホラー映画は無いのであります。

 かろうじて、2008年に「グレーブヤード ゾンビの墓場」なんてドイツのホラー映画が公開されていますが、「鎌倉ものがたり」の「時間の罠」の方が1990年代に書かれた作品なので、これは無関係。

 果たして、どっから「ゾンビの墓」なんてタイトルが出てきたのでしょうか?

 恐らくは、西岸良平先生のうろ覚え勘違いで、ほんとは「ゾンビの墓」ではなく「悪魔の墓場」(1974年)あたりのつもりだったのかも知れませんが、この件については、西岸良平ファンの間でも話題になっていないようで、全くの謎なのであります。

posted by anu at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年08月06日

11人の仮面ライダー

 石森章太郎先生の原作マンガ版「仮面ライダー」には、12人もの偽ライダーが、刺客として、同時に出現します。(PART4「13人の仮面ライダー」)このうちの一人は、のちの2号ライダー、一文字隼人なので除外するとして、それでも、残る11人の悪の仮面ライダーが登場した事になります。

 これらの偽ライダーたちは、全員、同じ姿形をしていますので、誰がどの場面で倒されたのかが、分かりにくいと言えば、分かりにくいです。今回、この原作マンガを久々に読み返しましたので、あらためて、じっくりと11人の偽ライダーの末路を確認してみました。

 なお、テキストには、「石ノ森章太郎デジタル大全」を用いました。以下に記すページの数字は、いずれも、この「デジタル大全」に準じています。


 まず、第2巻(以下、全てが第2巻)P145から、本郷猛が、一人めの偽ライダーと対峙します。この時点で、本郷はまだライダーに変身していませんので、かなり苦戦しますが、サイクロン号の奇襲で、なんとか反撃に成功します。偽ライダーNo.1は、激戦の末、マスクが吹っ飛んで、素顔も露出してしまうハメに。彼は、最後は、サイクロン号に轢かれただけですが、どうやら、これでダウンした模様です。

 P155からは、本郷と偽ライダーたちのバイク戦が始まりますが、偽ライダーのNo.2は、P157で、体当たりに失敗して転倒。さらに、偽ライダーNo.3とNo.4の二人も、P159で、バイクごと、サイクロン号に弾き飛ばされてしまいます。これらのバイク搭乗者(偽ライダー)たちが負傷した描写は見当たらないのですが、この三人は、ここで退場したものと考えられます。

 P161で、本郷は、偽ライダーのバイク部隊に、円状に囲まれてしまいます。P166〜P167の見開きも同じ構図ですが、どちらのコマでも、偽ライダーは6人しか確認できません。単に、コマの外に、一人、はみ出ていただけの話かも知れませんが。テレビ版の偽ライダーが6人だったのは、原作マンガのこのシーンにインスパイアされたからのような感じもします。

 P168では、偽ライダーたちは、急に、謎の銃に撃たれてしまいます。「げっ!?」「ゲッ?」「うわ〜〜っ!!」とそれぞれに悲鳴をあげていて、ここで3人(No.5、No.6、No.7)が戦闘不能になった見込みです。P169には、明確に倒された偽ライダー二人の姿も描かれています。

 銃を撃ったのは、本郷側に寝返った一文字隼人、2号ライダーでした。

 P171では、さらに、一文字に撃たれた偽ライダーたちが、「ぎゃっ」「くっ」と悲鳴をあげていますが、実際に撃たれたのは、「ぎゃっ」と叫んだNo.8だけだったようです。

 残った3人の偽ライダーは、自分たちもバイクに搭乗して、一文字への逆襲を図りますが、P173で、早くも、No.9とNo.10の二人が狙撃されてしまいます。最後のNo.11も、P174で、一文字のサイクロン号の特攻を受けて、ガッ、グギという激しい破壊音とともに、倒されてしまいます。

 P175の最後のコマは、偽ライダー部隊の壊滅の図です。かくて、11人の偽ライダーは、確かに、一人残らず、始末された事となるのでした。


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2023年07月13日

懐かしのサンデーコミックス

 ほんの少し前まで、サンデーコミックスという漫画コミックスのレーベルが現役で活躍していました。

 と言っても、これは「少年サンデー」(小学館)に掲載されたマンガを収録したコミックスではありません。発行元は秋田書店であり、しかし、秋田書店の雑誌以外で発表された有名マンガなども、このレーベルからは、大量に発行されていたのです。

 日本のマンガ文化は、はじめっから、完全な形で確立していた訳ではなく、マンガ黎明期の頃に雑誌で発表されたマンガに関しては、単行本化されないものも少なくありませんでした。そうした古い名作マンガを救い出して、新しい漫画ファンでも読めるようにコミックス化してくれた草分けがサンデーコミックスだったのです。

 だから、サンデーコミックスからは、今でも沢山の人たちに読まれている有名マンガがいっぱい発売されていました。特に私ぐらいの世代(50代)の人間は、それらのマンガの雑誌掲載時は立ち会っていませんので、サンデーコミックスこそが、そのマンガとの初めての出会いだった事も多かったのです。

 よって、私の世代は、サンデーコミックス版こそが、そのマンガの原初イメージだったりするのですが、実は、このサンデーコミックスって、けっこう内容の改編も多くて、曲者なのでした。

 当時は、一冊のコミックスのページ数が約200ページというのが定着し始めた頃でしたので、この縛りの方が厳守されて、無理やり200ページに収まるように、元のマンガ原稿の方が手を加えられてしまったようなのです。オリジナルが大事にされる今の時代では考えられない話ですけどね。

 そんな訳で、本来の連載版とは内容を大きく変えられてしまったサンデーコミックスのマンガと言うのを、いくつか、例として、ご紹介いたします。

鉄人.jpg
 まずは、「鉄人28号」(雑誌発表1956年)。

 言わずと知れた横山光輝先生の有名すぎるロボット漫画です。これほどの名作ですら、当時は、誰でも手軽に読める状態ではありませんでした。いえ、さすがに、これほどの有名作品でしたら、過去にも何度か単行本化はされていたのですが、それらの単行本は、いずれも早々に絶版となっていたのです。

 で、持続的に発売され続ける「鉄人」コミックスとして、このサンデーコミックス(1965年)が生き残った訳です。ところが、このサンデーコミックス版というのが、いろいろと問題のある内容なのでした。

 まず、雑誌連載の最初の方のエピソードがごっそりと欠けています。いきなり、不乱拳博士が登場するエピソードから始まるのです。ゆえに、鉄人28号の誕生秘話も、雑誌とは大きく異なるエピソードが語られます。それどころか、この不乱拳博士のエピソードからして、雑誌版とは展開がかなり変更されているのです。そんな感じで、サンデーコミックスの「鉄人28号」は、雑誌版とはあちこちが違っているのでした。

 でも、雑誌版を知らない私ぐらいの世代は、このサンデーコミックス版こそが「鉄人28号」の正しいストーリーなのだと思い込んでいたのでした。

 ちなみに、このサンデーコミックスの「鉄人」が、ここまで雑誌版と違っていた理由は、先行して発売されていたカッパ・コミクス版の「鉄人28号」(1964年)をベースに使っていたせいでもありました。カッパ・コミクス版の「鉄人」は、1冊100ページとさらにページ制限が厳しくて、元の原稿をそうとう書き換えまくっていたのです。

 ややこやしい事に、テレビで放送された「鉄人28号」は、実写版(1960年)にせよ、モノクロアニメ版(1963年)にせよ、雑誌掲載版のストーリーが採用されています。その為、私ぐらいの世代は、あとから実写版やモノクロアニメを観たのですが、サンデーコミックスの「鉄人」とまるで内容が違ったものだから、大いに戸惑ったものなのでした。

 皮肉なことに、モノクロアニメ版は、雑誌掲載の「鉄人28号」を頭の方から順に忠実にアニメ化していましたので、これらのアニメの原作ストーリーをサンデーコミックスでは全く読む事ができなかったのでありました。

 近年、「鉄人28号」は、原作完全版のコミックス(2005年)が発売され、その本来の内容が復活する事となりました。しかし、私ぐらいの世代は、むしろ、サンデーコミックス版の「鉄人」のストーリーの方が馴染み深かったりもするのでした。

トリトン.jpg
 「海のトリトン」(新聞発表1969年)。

 こちらも、手塚治虫先生の名作マンガの一つです。1972年にアニメ化され、その勢いで、同年末に、サンデーコミックスで初単行本化されました。

 このマンガは、初公開時は、実は、新聞掲載の1話1ページ漫画でした。だから、1ページの中にけっこうなコマ数が詰め込まれていた訳です。しかし、サンデーコミックスでの単行本化にあたり、それでは子供は読みづらかろうと考えたのか、書き直し大好きの手塚先生は、ごっそりと加筆してしまったのでした。

 結果的に、サンデーコミックスに収録された「トリトン」は、大きなコマどころか、見開きページまで有る、ごくごく普通の少年マンガにと生まれ変わりました。その際、いくつもの小さなエピソードを削ったり、話の流れが作り直されたりもしたのでした。

 最大の修正点としては、宿敵ポセイドンの退治方法があります。不死身のポセイドンは、新聞版では、宇宙に追放する形でケリがつきましたが、サンデーコミックス版は、そのへんを丸ごとカットしてしまいましたので、要塞を爆発させただけで、不死身ポセイドンも十分に滅ぼせたような感じになっています。

 また、トリトンの師匠・丹下全膳の死も、話が湿っぽくなると思ったのか、サンデーコミックスでは、そっくり省かれていました。

 序盤の和也のエピソードも、サンデーコミックスでは少し短くなっているのですが、これについては、短くした方が、綺麗に話がまとまったような印象も受けます。

 この「海のトリトン」も、講談社の手塚治虫漫画全集に収録される(1979年)にあたって、オリジナル重視で、新聞掲載のバージョンが採用される事となりました。つまり、サンデーコミックス版とは要所が異なる「トリトン」が収録された訳です。当時、この全集版とサンデーコミックス版の「トリトン」を読み比べた読者は、絶妙な内容の違いにビックリしたかもしれません。

 なお、以後、新たに発行された「トリトン」コミックスは、ほぼ全集版の方で統一されています。


 このように、サンデーコミックスは、現在、普遍的に読まれている、そのマンガのコミックスとは、微妙に内容が異なっているのであります。そして、私ぐらいの世代のマンガ好きの場合は、サンデーコミックスの構成の方が、頭に焼き付いていたりもするのです。

 もし、そのマンガの大ファンだと言うのでしたら、一応、サンデーコミックス版も揃えておいた方が、より、そのマンガの世界観を楽しめるかも知れません。

posted by anu at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年04月18日

ダーク破壊部隊は13体

 「人造人間キカイダー」に出てきた悪の組織ダークに所属する怪人・ダークロボット(ダーク破壊部隊)は、当初、光明寺博士が作った13体のみでした。

 これは、テレビ特撮版(1972年)の第1話でも、全メンバーがシルエットでお披露目されます。
 ところが、実際に、テレビ放送が進みますと、最初の13話だけでは、このシルエットの全13体は登場しませんでした。何体かの未登場のロボットを残して、第14話からは、ダーク新破壊部隊へと移行するのです。

 では、このへん、石森章太郎先生が描いた原作マンガ(1972年)では、どうなっていたのでしょうか。
 実は、原作マンガでも、光明寺博士の作った自然警備隊員ロボット(ダーク破壊部隊の前身)は13体という事になっていました。

 マンガ版での、その顔ぶれと人数を確認してみましょう。

カメ型ロボット(ジローが最初に対峙した敵。テレビ版のギンガメの原型?)
グレイサイボーグ(テレビ版のグレイサイキングと同じ)
グリーンマンティス(テレビ版にも登場)
オレンジアント(テレビ版にも登場)
ゴールデンバット(テレビ版シルエットでも登場。テレビ版ではキンイロコウモリも登場)
サンダードグ(ギル教授のボディガード犬。テレビ版シルエットのスカーレットドックに相当?)
ア・イ・ヌ(双子の少年と子熊の三人組。合体して、クマ型ロボットに変身する)
カニ型ロボット(大型で、非人間スタイル。同じタイプが3体いる)
昆虫型ロボット(モチーフは不明。光明寺邸を見張っていた)
円盤ロボット(テレビ版のクロガラスと同一か?)
ヒトデロイド(テレビ版のヒトデムラサキとは、同じヒトデ型だが、まるで別物)

 ア・イ・ヌを、それぞれ1体ずつで計算すると、確かに、13体となります。しかし、ア・イ・ヌは合体ロボットなので、合体後のクマ型ロボットの方が1体に相当する、という見方もできるでしょう。

 でも、その場合であっても、大丈夫。カニ型ロボットは3体いるのでした。こちらを3体で計算すれば、ア・イ・ヌが1体だったとしても、やはり、13体になるのであります。

 偶然そうなったのか、描きながら数を調整していたのかは分かりませんが、とにかく、石ノ森先生の巧みな演出には、あらためて感心させられるのです。

posted by anu at 14:52| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本

2023年03月20日

マッドマシンだよ

 昭和のマンガ家は、「マッドマシン」と言うネーミングをえらく好んでいたようです。

 初めて、マッドマシンという装置を登場させたのは、手塚治虫先生の「鉄腕アトム」じゃないかと思われます。(1958年「マッド・マシーンの巻」)この時、出てきたマッド・マシーンは、あらゆる機械を狂わせてしまう装置でした。

 続いて、石森章太郎先生も、「サイボーグ009」の中にマッドマシンを登場させます。(1965年「オーロラ作戦」)こちらに出てきたマッドマシンも、やはり、機械を狂わせる超音波を出す戦車です。

 石森先生は、マッドマシンと言うネーミングが気に入っていたのか、「Sπ(エスパイ)」(1967年)の中にも、マッドマシンを登場させていました。ただし、今度のマッドマシンはメカの名前ではなく、ロボットだけのスパイ団の組織名でした。

 桑田次郎先生の「エイトマン」(原作・平井和正先生)の中にも、マッドマシンは出てきます。(1965年「マッド・マシン」)こちらのマッド・マシンとは、他の機械を狂わせるのではなく、狂ったみたいに、自身が無限増殖するからマッド・マシンと呼ばれたのでありました。

 そして、最後に、アニメになるはずだった「マッドマシン」(1983年・葦プロ)。こちらは、結局、お蔵入りしてしまいましたが、主人公たちの乗るスーパーカーの総称がマッドマシンだったようです。

posted by anu at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本