大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

オセアニアの1部の地域と南アメリカに分布するグループで、
長い筒状の体と小さな頭部、大きな複眼が特徴的な種類です。

研究者によってはオセアニアに分布するグループをSyndesus属、
南アメリカに分布するグループをPsilodon属に分けたりもします。
当方は属を分けるほどには感じないのでPsilodon属は
Syndesus属の亜属程度に考えています。

左上：S.cancellatus　Fujita,2010より
左下：S.cornutus　Fujita,2010より
中：S.macleayi　記載文　Boileau,1905より
右：S.punctatus　記載文　Boileau,1905より

Syndesus cancellatus (Montrouzier,1860):283-286 [Rhyssonotus cancellatus]
[Type Locality] Lifu

ロイヤルティ諸島とニューカレドニア島に分布する。
本属の種としては複眼は小さ目。
大顎先端は尖らない。
前胸は八角形状で胴体は幅広、光沢はやや強い。
♀は前胸後方がやや切れ込み、幅広な体形で光沢は強い。

Syndesus cornutus (Fabricius,1801):377 [Sinodendron cornutus]
[Type Locality] Terra Diemenii
[sny] Lucanus parvus Donovan,1805 [New Holland].

オーストラリア・タスマニア・ニュージーランド北島から得られる。
ニュージーランド産は移入っぽいです。
S.cancellatusと比較すると、
顎先端はとがり、前胸上縁は丸まり、前胸中央の凹みは浅く、
体型は細身で、光沢は弱い。
♀は細身で、前胸は台形状、前胸中央の凹みは浅い。


Syndesus macleayi Boileau,1905:61
[Type Locality] Australie,Victoria

オーストラリアのビクトリア州に分布。
S.cornutusに似るが、顎は幅広でやや短く直線的、タテヅノは小さい。
前胸上縁は若干切れ込む、上翅前角は尖らない、体形はやや幅広で、ケイ節は太い。
♀は未見。
ちなみに記載文は訳しておらず、それっぽい個体からの考察です。
画像は分けありで載せられません。


Syndesus punctatus Boileau,1905:61
[Type Locality] Neuvelles-Hébrides

ニューヘブリテス諸島に分布。
S.cancellatusに似るが、前胸上縁は大きく切れ込む。
♀は前胸が幅広で、上縁部はイカリ肩状。
亜種程度？
ちなみに記載文は訳しておらず、それっぽい個体からの考察です。
画像は分けありで載せられません。



上左：S.aequinoctiale　Websaiteより
上中：S.gilberti　Paratypes　Fujita,2010より
上右：S.paschoali　Holotype　Locarno&Málaver, 2011
下左・中：S.schuberti　記載文　Perty,1830より
下右：S.schuberti　Mizunuma&Nagai,1994より（Lacroix氏同定）

Syndesus aequinoctiale (Buquet,1840):375-377 [Hexaphyllum aequinoctiale]
[Type Locality] Colombia
[sny] Hexaphyllum westwoodii Hope,1840:11 [New Granada].

コロンビアに分布する。
赤みが強く、体形は寸詰まり。
前胸は丸みを帯びる。
顎はくの字状で、タテヅノは外向き。
♀はS.gilbertiに似るが、寸詰まりの体形で、顎は短く、前ケイ節はやや太い。


Syndesus gilberti (Boucher, 1993):422 [Psilodon gilberti]
[Type Locality] Bolivien,Nor Yungas,Incahuara,route Caranavi

ボリビアに分布する。
前胸は八角形状で、顎はくの字状、タテヅノは内向き。
♀の前胸の幅はやや狭い。


Syndesus(Psilodon) paschoali (Pardo-Locarno et Ríos-Málaver, 2011):246-250,fig.1(A) [Psilodon paschoali]
[Type Locality] COLOMBIA: Serranía de los Yariguíes, cerro La Luchata

コロンビアに分布する。
S.gilbertiによく似るが、前胸の丈は短く、体形は幅広で、ケイ節は太い。


Syndesus schuberti (Perty,1830):54,pl.11-figs.14 [Psilodon schuberti]
[Type Locality] Prov. Piauhiensi
[sny] Hexaphyllum brasilienis Gray in Griffith,1832: 536-537,pl.46-fig.4 [-].

ブラジル・ベネズエラ・アルゼンチンに分布。基準産地はブラジルのピアウイ州？
ピアウイ州のすぐ南のバイア州からS.xerophilicusが記載されていて、
S.schubertiと同定されているものの中には雰囲気の異なるものも混ざっているので、
もしかしたらS.xerophilicusと混同されているのかもしれません。
本種は♀のみで記載されたようで（しかも絵は特徴が解りにくい）、
本種のシノニムとされるH.brasiliensis（♂の絵あり）に特徴が似ているLacroix氏同定の個体を元に考察します。

♂は体形が幅広で、前胸は丸みを帯び点刻は少なく光沢が強い、顎はゆるく湾曲する。
♀は幅広な体形で、前胸は丸みを帯び点刻は少なく光沢が強い。
S.seguyiとは上翅前角が尖ることで区別できる。


上左：S.seguyi　記載文の絵　Didier,1929より
上右：S.seguyi　Fujita,2010より
下左：S.luki　Types　Onore,Baltorozzi&Zilioli,2011より
下右：S.xerophilicus　記載文の絵　Martinez&Reyes-Castillo,1985より

Syndesus seguyi (Didier,1929):109-113,figs.60(1,2,5,6)-63 [Hexaphyllum seguyi]
[Type Locality] Equateur:Loja

エクアドルに分布する。
他のPsilodon亜属と比べるとかなり変わっているので区別は容易。
顎はCの字に湾曲し、先端部に毛が生える。
前胸上縁は丸まり、光沢は強い。
Psilodon亜属では本種とS.lukiのみ上翅前角が尖らない。
♀は胴体に対して前胸がやや小さく、顎は大きくて長い。


Syndesus luki Onore,Baltorozzi et Zilioli,2011:43-48,figs.1-4,6-7
[Type Locality] Tandayapa,Pichincha Province,Ecuador

エクアドルに分布し、S.seguyiに近縁と思われる。
S.seguyiによく似ていて、上翅前角は同様に尖らない。
♂は顎がやや直線的で、タテヅノの上にもう1本小さな内歯が出る。
♂♀共に前胸の点刻は荒い。


Syndesus xerophilicus (Martinez et Reyes-Castillo,1985):26-27,figs.1 [Psilodon xerophilicum]
[Type Locality] Provrnientes de Brasil:R16,Encruciolhada,Estado de Bahia

ブラジルのバイア州から2♀で記載された。
記載文の絵が正確ならば、近隣に分布するS.schubertiと以下の点で区別できる。
前胸は台形状、複眼縁は丸まり、顎外縁は膨らむ、など。



S.ambericus　Woodruff,2009より

Syndesus ambericus Woodruff,2009:1-10,figs.3-4,7-11
[Provenance] Amber fossil, Dominican Republic, probably Cordillera Septentrional

化石種ですが、現生種に近い形状なので載せました。
横からの写真しか見れないので、顎の形状しか特徴が見れません。