大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

ベトナム北部には何種類もいるミヤマクワガタですが、
中部〜南部からも数種得られています。

L.pesariniiなどに近縁なヒメミヤマのグループは得られていないので、
これからも新しい発見があるのかもしれません。

左：L.ngheanus　Holotype　Okuda,2009より
中：L.n.phuongi　Holotype Okuda,2012より
右：L.n.phuongi

Lucanus ngheanus Okuda,2009:50-52,figs.1-2,6
[Type Locality] Nghe An Province,Vietnam

アンナン山脈にそって分布する比較的小型の種類です。
記載される2年前には小型の♂と♀を検品したのですが、
その時は小さなアングスティコルニスと思いよく確認しませんでした(>_<)

台湾のフォルモサヌスに似るが、頭楯がとがらず、顎は直線的で耳状突起はあまり発達せず、寸詰まりの体型。
アングスティコルニスとの違いは、顎は太短く、先端部は強く曲がり、端歯も太い。頭楯は台形で、耳状突起の張り出しも弱い。


Lucanus ngheanus phuongi Okuda,2012:20-22,figs.1-2,5,7
[Type Locality] Kon Tum Province,Vietnam

コンツム亜種はやや小型で、頭楯の先端が丸い、頭部の突起の発達が弱い、上翅の光沢が強いなどで区別できる。

また中部ラオスからも本種が得られており、大顎は細長く、複眼上の角張は大きく、胴体が幅広といった特徴が見られました。
画像の掲載は問題があるので控えます。



Paratype Maeda,2009より

Lucanus dongi Maeda,2009:35-36,38-39,figs.1-4,7,20
[Type Locality] Contum Province,Vietnam

大型個体では顎先端部の内歯がヘラ状になることが特徴的です。
耳状突起の形状も特殊で、先端部外側がかぎ状になります。
基準産地のコンツムより北のダナンからも得られていて、
1♂しか見たことはありませんが　その個体で比較すると、
耳状突起は大きくて外側に張り出し、頭頂部の突起も大きいようです。



Paratype　Maeda,2010より

Lucanus luci Maeda,2010:36-38,figs.1-4,11a,12ab
[Type Locality] Kon Tum Province,Vietnam

比較的まとまった形状のミヤマで、クラーツとツカモトを混ぜたような印象です。
どっちかというとクラーツの北ベトナム亜種に似ていますが、
顎中央の長い内歯の下の細かい内歯はまばらで、
耳状突起は大きくて外側に張り出さない、など違いが見られます。



Holotype Schenk,2013より

Lucanus bidentis Schenk,2013:4-5,fig.2
[Type Locality] Vietnam, Lam Dong Province, Bhu San

ルディビナに似るが、細見で、内歯は少なく、頭たては突出し、ケイ節は黄色。
これを見たときは驚きました。なんでこの系統のミヤマが南ベトナムにいるのかと。
どうみてもルディビナに近縁に見えます。



Holotype Araya,2001より

Lucanus ludivinae Boucher,1998:178-180, figs. 1, 3
[Type Locality] Chine,NW Yunnan,Nu Shan(E Gaoligong Shan),District de Baoshan

ベトナムとは関係ないですが、L.bidentisとの比較用に載せてみました。
雲南・四川・ミャンマー北部に分布する小型種で、
細い大顎に細かい内歯が並ぶのが特徴的な種類です。