2012年09月19日
中部空港ハード・ソフトの力
中部空港ハード・ソフトの力
朝日新聞 2012.09.13 朝刊より抜粋
今年発表された空港のサービスに関する国際ランキングで、中部空港(愛知県常滑市)が2冠を獲得するなど、高い評価を受けた。
中規模空港の強みを生かしたきめ細かいサービスと、職員がつくり出す温かい雰囲気などハード・ソフトの両面が評価された。
使いやすさで高評価
ランキング2冠
ランキング2冠
1位になったのは、国際空港評議会(ACI)によるサービス評価の年間旅客数別部門(500万〜1500万人)と、英国の調査会社「SKYTRAX」による空港利用者の満足度ランキングの「ベスト・リージョナル・エアポート・アジア」(アジア地域の中規模空港1位)。
同じ年に二つの主要な調査でともにトップになったのは、2005年の開港以来初めて。
総合評価でもACIで186空港中5位、SKYTRAXで388空港中10位で、いずれも日本の空港では最高位だ。
→ 嬉しいです。
地元の空港が高い評価を受けているのが自慢できます。
評価が高かったのはまず、高速道路・鉄道・船と接続するアクセスの良さや、使い勝手のよいターミナルビルだ。
中部−成田便をよく利用する千葉県成田市の会社員男性(28)は「通路やトイレが広い。スーツケースを持ったままでも移動しやすい」と話す。
名鉄の中部国際空港駅の改札口から空港の搭乗□まで段差なしで行き来できるユニバーサルデザインも評価された。
ターミナルビルのほとんどの場所で無料無線LANがつながり、案内所にある「iPad」の映像通信機能で5カ国語の通訳を利用できるなど、日本のほかの空港にはない工夫もある。
職員の連携好循環生む
ハード面だけでなく、空港スタッフの接客姿勢など、ソフト面でのサービスの良さも好評だ。
今年は「ありがとうカード」というシステムを導入した。
→ 東京ディズニーランドの経営方針に似ています。
笑顔と感謝の気持ちを伝える職員達の努力の賜です。
「お客様への対応をフォ口ーしてくれてありがとう」
「荷物を持っている時に、扉を開けてくれてありがとう」
そんなカードを、職員同士が渡し感謝を伝え合う。
月に100枚以上がやりとりされる。
空港内には、航空会社だけでなく、税関や入国管理局などの国の出先機関、飲食店、警備会社、清掃会社の職員がおり、中部空港では約8千人が働く。
「ありがとうカード」は組織の壁を越え、やりとりされる。
元々、中部空港では巨大な寄り合い所帯に珍しく、組織が違う人同士も「お疲れ様です」とあいさつする文化があった。
開港当初から、国の機関や空港テナント、空港会社で「CS(顧客満足度)空港連絡会」をつくり、幹部同士があいさつを実践したのがきっかけだという。
中部国際空港会社の神谷仁・お客様サービスセンター支配人は「職員同士の良い関係は高いモチベーションにつながる」と話す。
こうした積み重ねが、会社や接客マニュアルの枠を越えた顧客サービスにつながったという。