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2019年07月01日

書評−恭一郎と七人の叔母



小路幸也氏の本は、勿論昔かずら知っておりましたし、何冊か読んだ記憶もあります。
「東京バンドネオン」やジャズやポピュラーの名曲をタイトルにしたシリーズが有名
ですね。非常にセンスが良く、軽快な作風で、涼やかな風が吹き抜けて行ったような
印象です。

今回の「恭一郎と七人の叔母」はしかし、今までとは大分印象が違いました。まあ、言
ってしまえば、恭一郎の母を含めた八人姉妹とその家族の物語なのですが、なかなか奥
の深い物語です。

舞台は更屋家。更屋家は素封家、昔ながらの土地持ちの豪農であったが、明治の時代に
植木屋、造園業に鞍替えした。そして原史とトワの間に生まれたのが、恭一郎の母さき
子を含めた八人の姉妹であった。この八人姉妹と恭一郎が同じ更屋家の中で暮らしてい
く、さき子はともかく残りの七人の叔母が一癖も二癖もあり、恭一郎を良くも悪しくも
翻弄して行く。物語はその恭一郎と謎の女性の回想で進んで行くのであるが、一話一話
が我々の身近な問題として考えさせられる。

ここでそれぞれの叔母を紹介しようと思う。恭一郎の母長女のさき子、次女の志乃子、
三女の万紗子、四女の美津子、因みに万紗子と美津子は双子の姉妹である。次は五女の
与糸子、六女の加世子、七女の喜美子、最後に八女の末恵子の八人である。私は昭和24
年(1949年)生まれの70歳であるが、私の同級生には7-8人の兄弟姉妹は結構いた記憶が
ある。戦後のベビーブームの最盛期でもあったのだ。

長女のさき子は夫が事故死をした後は、実家で暮らしている。次女の志乃子は歯科医の
妻で息子と娘がいるが、浮気の噂が。双子の万紗子と美津子は、同じ双子の吉田兄弟と
結婚できるのか。更屋家で一番頭が良く手がかからない五女の与糸子は、だらしのない
双子の姉に対して何をしたのか。姉妹の中で一番存在感の無かった六女の加世子が、意
外や意外、あの御曹司に見初められて。そして色っぽく触り魔で、いち早く水商売に入
って行った七女の喜美子には、意外な営業のセンスが。そして最後の八女の末恵子には
大変な絵の才能があったが、担当の絵画教師の絵のヌードモデルとなってしまいとそれ
ぞれの叔母たちに隠された秘密と問題は解決していくのか。

この叔母たちの物語が、それぞれしゃれた短編の一章のようでとても清々しい。綺麗毎
ばかりのテーマではないのに、いやらしさを感じさせないのは、筆者の感性か。自分に
は姉という存在が無かったせいもあるのか、正直恭一郎の境涯がとても羨ましい。

最後に恭一郎と会話していた女性の正体は。それはご自身で本書を読んで確認して下さ
い。それでは又。

恭一郎と七人の叔母 (徳間文庫)




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2019年06月01日

書評−新しい時代のお金の教科書



山口揚平氏の本はタイトルは忘れましたが、やはりお金に纏わる本で、
こんな考え方をする人もいるのだと、印象に残った事を覚えています。
今回の本は前回の「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか
?」の続編にあたります。前回はなぜピカソがお金持ちになったのかに
ついて、ピカソの多方面の特徴について解説し、私も成程と妙に感心
してしまった次第です。興味のある方はそちらもご覧下さい。

さて、本編は一口で言いますと、お金の起源そして過去・現在・未来
について考察したものです。一般的にお金は物々交換から生まれたと
言われていますが、実際はミクロネシアのヤップ島のフェイという大石
に刻まれた貸借の記録つまり記帳が原点だそうです。「お金=譲渡可能
な信用」

そして次はお金の構成についてです。お金は「信用」と「汎用」とから
構成されていると言います。信用だけではお金の仕える範囲が広がりま
せん。多くの場面で使えるようになる為には、汎用性が必要になります。
具体的には、貢献を通じて価値を創造し、ネットワークを横断してつな
がりを作って行くと言う事です。

次はお金に影響を与えている四つの大きな変化についてです。四つの変
化とは即ち、
  @ 信用の母体が国家から個人に変化
  A 技術的にはブロックチェーンの台頭
  B 経済的には人々の欲求が生存欲求から社会的欲求に変化
  C 社会はタテ社会からヨコ社会に変化
21世紀は人々の欲求がモノではなく承認(社会的信用)に移ってしまい、
承認はお金では直接買えないと言う事であり、そしてその承認はすぐに
お金に換えられると言う事です。

そしてお金の未来は、資本主義経済は今後どのように変化して行くのか。
ここで詳しく解説は出来ませんが、筆者によれば、人々の求めるものが
お金から承認にシフトして行く中で、記帳主義経済、時間主義経済、そ
して最終的には完全な信用主義経済となってお金はなくなっていくのだ
そうです。

「お金の無くなる日」とは、お金を一切使わない、信用をもって信用(価値)
を作るという新しい経済システムだそうです。勘違いしてならないのは、単
にビットコインなどの仮想通貨にとって代わるという事でもありません。仮
想通貨はお金が電子上と溶け込んだ世界に過ぎません。本当にお金の無くな
った世界はお金がないにもかかわらず、価値が生まれてそれが循環している
経済システムの事だそうです。

完全なる信用主義経済、私個人現状では全てを想像する事はできませんが、
何となくそんな世界に変化して行くのかなという感じはします。最も私は
その実現を目にする事はありませんが。それでは又。

新しい時代のお金の教科書 (ちくまプリマー新書)




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2019年03月15日

書評−バー極楽



今回の作者は遠藤彩見さん。実はこの本を読むまでは、全く知りませんでした。
作者プロフィールによると元々は脚本家さんで、テレビドラマでは有名な方だっ
たようです。と言われればなるほど、文章も判り易く、何よりシーンの情景が目
に浮かぶようです。

主人公は松島照月、安穏寺の副住職で過去に寺を出奔し、住職の父に多大な迷惑
をかけ、その後性懲りもなく出戻って、現在に至っている。その照月を中心に、
父の荒行留守中にてんやわんやの大騒動、果たして照月はこの騒動にどう対応し
て行くのか。と書いてしまえばこれだけの事なのだが、ただここに出て来る登場
人物が皆見事に濃いキャラクターで、読む者を飽きさせない。

それと設定がお寺というやや非日常な世界で、日常の仕事や行事や仕来たり等知
らない事ばかりで、けっこう参考になり面白い。そこに先程の濃いキャラクター
達が入り乱れるのだが、何と言っても筆頭は、寺の茶室でバー極楽を営んでいる
フミヨとテイ子の姉妹。何故寺でバーを開業しているのかは、読んでみてのお楽
しみ。次が檀家代表の温井、叔母の明江、家出人の勝尾、檀家の晴山夫妻に娘の
千波、ゴミ屋敷の八重と司、それと高級マンションの上園理事等が各回の物語に
入り混じって登場する。

ここで各回の小タイトルを紹介すると
 第一章  ビネガーと煩悩
 第二章  フルーツと正見
 第三章  スナックと滅諦
 第四章  アイスクリームと普請
 第五章  シチューと波羅蜜
どれも胡散臭くて面白そうでしょう。

しかも毎回主人公の照月がとことん追い込まれながらも、問題児となった人物を
回りの人の力を借りながらも解決に導いていく。まるで仏様のお導きのように。
そして問題人物が煩悩から解放された時の決め台詞「解脱」が、まるであの半沢
直樹の決め台詞「倍返しだ」に聞こえるから不思議です。

この作品は大向こうをうならせるような大作品ではありませんが、それでも毎回
人間の業や欲、そして生きるとはどういう事か等という永遠のテーマを、抹香臭
さをあまり感じさせずに考えさせる秀作だと私は思いました。
それでは又。

バー極楽

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2019年02月15日

書評−定年オヤジ改造計画



またまたまた、株に無関係の書評ですいません。と言いますか、株式投資の
素晴らしい本が、なかなか見つからないのです。けっこう読んでいるのです
が。けれどもマメに読書してますと、そのおまけとして、今日紹介するよう
な素晴らしい本にも出会える訳です。

本日紹介の本は、垣谷美雨さんの「定年オヤジ改造計画」です。タイトル通り
、60才以上のサラリーマン定年オヤジ必読ですよ。正直最初は私もこのタイト
ルを見た時、なめてかかっておりました。単に定年後の時間を持て余したオヤ
ジが、困難辛苦の末、生きるモチベーションを取り戻す程度の本かと思ったか
らです。勿論、そういう部分もあるのですが、実はもっと深刻なテーマだった
のですね。

物語は定年後何年かたった主人公、庄司常雄の日常からスタート。最近とみに
家庭での疎外感とイライラを感じている。娘の百合絵や妻の十志子が、自分と
の会話を避けているように感じる。避けているどころか、自分と同じ空間にい
る事が苦痛のようだ。その上娘は33才になっても、嫁にも行く気が無いし、妻
も資産運用の為に買ったワンルームを自分の部屋のように使い、自分との接触
を避けているように見える。定年後は妻と一緒に毎年海外旅行を楽しもうと目
論んでいたのに、何もかもが思い通りにならない。

そんな状況の中、息子和弘が嫁の真衣が仕事を再開する事になったので、孫二人
の保育園の送り迎えを頼みに来る。この息子夫婦の子育てのスタンスが常雄には
到底理解できないし、つい自分の子育てと比較してイラつくが、妻の十志子が病
気がちな事もあって引き受けてしまう。

さあそれからが、孫との戦い、保育園園長との確執、到底理解できないママ友との
会話、真衣、百合絵、そして妻との軋轢。自分は家族の為にどれだけ苦しい思いを
して仕事に耐え、家族に尽くしてきたのか理解してもらえない理不尽さに悩む。

そんな中、孫の世話をする事で、徐々に女性の家庭での仕事の大変さに気付いてく
る。妻は子供の面倒を見るのが当たり前と思ってきたが、想像以上のハードワーク
で、自分はその事を当然と思い、理解してあげる事が出来ていなかった。何十年も
の間、妻に押し付けて来た傲慢さを、今更ながら悔いる気持ちになった。孫の面倒
を見る事で、やっと女性の立場から物を考えられるようになった。さあここから庄司
常雄の運命はどうなって行くのでしょう。

この本を読んでほとんどの60代以上の男性は、自分の妻との関係に反省の気持ちを
持つのではないでしょうか。私も自分の母親の時代と比べれば、今の家事なんて楽
なものだと本当に思っていましたから。現役時代は自分にも仕事のストレスが掛って
いるので、なかなか相手を思ってあげられないのでしょうか。

いずれにしてもこの本を読んで良かった事は、奥さんとの関係を良くする秘訣を具
体的に教わった事です。それでは又。

定年オヤジ改造計画

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2019年02月01日

書評−おもかげ



またまた、株に関係のない書評でごめんなさい。でもでも、書かずにいられません。
大の男が、もうすぐ70歳になろうという男が、結構泣きました。本当に心に滲みま
した、痛いほど。さすがに70歳近くになると、死というものを身近に感じないでは
いられません。50代くらいまでは死というものをまだ他人事、自分の事として心底は
感じられていませんでした。芸能人の死を見ていて、大先輩(年齢的にですよ)まだま
だ大丈夫。やや先輩、いよいよ死が自分に近づいてきたのかな。同期や後輩、もう他.
人事ではありません。そうだよね、西城秀樹君。

こういう心細さが垣間見える年齢の私に、ぴったりの本が出て来てしまいました。
その名も「おもかげ」浅田二郎氏の本です。もうタイトルからして、何かありそう
で、うるっと来そうじゃありませんか。読む前は正直、浅田氏得意の悲恋ものみたいな
イメージでしたが、最後はすっかりやられましたね。けっこう長い小説なので、ここで
全てを解説する訳にはいきませんが、とっかかりだけでも書いてみたいと思います。
少々荒っぽい解説ですが、ご了承下さい。

話は主人公の竹脇正一が、定年退職時の自分の送別会の後、帰りの地下鉄の中で倒れて
しまうところから始まる。病院に緊急搬送され生きるか死ぬかの瀬戸際。医者も身内に
希望を持たせるようなことを言えない状況下で、正一にゆかりのある人達が見舞いに来
る。会社の同期、養護施設の親友、義理の息子そして看護には自分が良く知っている
児島さん。いろいろな人がそれぞれの立場で、自分を心配していてくれる。体は動かな
いし意識朦朧だが、耳は聞こえる。

そんな朦朧状態の中でもやや意識が回復した時だけ、おもかげの人達が現れる。マダム
・ネージュ、入江静、榊原勝男、峰子、古賀文月、そして女房の節子。一人一人が正一
の想い出に蘇る。実は竹脇正一は子供の頃、両親に捨てられた悲惨な過去を持っており、
又自分の息子春哉を、4歳の時に交通事故で亡くしている。

そういうしがらみが、朦朧とした意識の中で浮かんでは消え、浮かんでは消えして、し
かしはっきりと蘇ってくる。マダム・ネージュ、入江静、峰子は本当は誰なのか。自分
の母親は本当に自分が憎くて捨てたのか。春哉は自分を恨んでいるのか。そして自分は
このまま意識が戻らず、死んでしまうのだろうか。

本当に死というものが身近になった年代になって、自分のこれからの生きざま、家族、
友人、そしてこれまでお世話になって来た人達の事を思い起こさずにはいられない、
心の1冊になりました。それでは又。

おもかげ

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norch
43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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