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2023年07月25日

書評−妻のトリセツ



大反響の黒川伊保子氏の「妻のトリセツ」について、書いてみたいと思います。
私も例外でなく、何十年と妻との戦いを続けて来ましたが、そういう無益な戦い
に終止符を打てるのならと、期待を持って本を手にしました。

読んでみるとなる程、女性の脳の構造はこうなっているのか、それであんな理屈
にもならない事を、さも得意そうに吠えられるんだなという事が、よおおおおく
判りました。

今まで特に理解できなかった事に、いきなり結婚当初の事を持ち出して、その時
あなたはああ言ったこう言ったと、もうあれから40年も経っているのに。しか
し自分の事は忘れるくせに、人の事になるとよく覚えているなあとしみじみ感じ
た事が、この本を読んで理解できました。

又ある時は、子供に都合の悪い事が起きると、すぐに私の性格のせいにして、私の
家系の悪い血のせいで、子供がダメになるみたいな事を言い出すに至っては、余り
の馬鹿馬鹿しさに、蹴りを入れてやりたくなる事が多々ございました。著者からす
るとこれも女性の性で、うまくかわさないといけないらしい。そしてこれでもかと
言うくらい、妻への夫としての対処方法が書いてあります。

正直ここまで読んで、ちょっと待てよと。よくよく考えてみれば、この著者の言っ
ている事は、女性脳を理解して、妻の機嫌のよくなる対応を学びなさいという事?
なに、妻の奴隷になれという事? と思い、猛烈に腹が立ちました。夫が女性脳を
理解する努力をするなら、妻も男性脳の勉強をして、お互いに思いやりのある結婚
生活を構築するというのが、筋じゃないのかなあと感じました。

確かに女性は特に主婦は、家事に育児にとストレスの多い時期がある事も確かです。
しかしそれを言うなら、夫だって会社や仕事でパワハラや難易度の高い仕事などを
押し付けられて、1度や2度は自殺しないながらも、重度のうつになった人は沢山
います。事実年間の自殺者数は、仕事の悩みや経済的理由で、自殺する男性の数が
圧倒的に多いのも事実です。

夫だってもっと過酷なストレスに毎日対峙してるんだバカヤロー。という反論感情
がむくむくと湧いてきましたが、そうするとそういう男性脳が妻の感情を逆なでし
てるのよと著者の格好の餌食になりそうなので、タイトルが「妻のトリセツ」なん
だから仕方ないかと怒りの矛を収めました。

ところが読み進むうちに、最後の最後、「それでも別れないほうがいい理由」という
章で察する事が愛だと思う女性脳。褒めて認めてもらいたい女性脳。云々かんぬんと
あって、男性からすると難儀な脳だが、女性脳が拗ねたり、怒ったり、口うるさかっ
たりするうちは、未だ夫に惚れている証拠。妻の為と思わずに、自分のリスクヘッジ
の為に、妻の女性脳を慰撫しようというくだりで、何かほっとする気がした。
それでは又。

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2023年06月24日

書評−旧友再会



今回は重松清著の「旧友再会」を取り上げてみた。重松氏と云えば「ビタミンF」
「流星ワゴン」「疾走」「ナイフ」「その日の前に」など、数々の名作を送り出し
ていますが、今回の「旧友再会」も特に「団塊の世代」と言われる人たちには、大
いに共感を持っていただけると思います。かく言う私もその一人ですが。

この短中編集は5つの物語で構成されています。
  @ あの年の秋
  A 旧友再会
  B ホームにて
  C どしゃぶり
  D ある帰郷
この内、どしやぶりが中編で、ある帰郷が超短編。
全編に共通するテーマは、ふるさと、親の介護、家族、旧友再会、仕事とは、そし
て生きるとはなど。結構重いテーマもありますが、物語は余り重さを感じさせず、
淡々と進んでいきます。

私が一番胸を打たれた物語は、「あの年の秋」でした。
博史君の家族はお父さんの三郎さん、お母さんの智恵子さん、お姉ちゃんの優子さ
んの4人家族。ある日お父さんから、おばあちゃんを3月まで預かる事になったと
の話。おばあちゃんはちょっと恍惚の人になってるみたいで心配。そしてそのおば
あちゃん君江さんは戦争で大変な苦労をし、悲しい思いをした人でした。

君江さんは戦争でご主人と長男と四男を失ってしまったのです。その後戦死と思わ
れていた横井庄一さんがフィリピンで生きていたというニュースを聴いて、長男の
隆一郎さんも生きているのではないかという考えが頭から離れず、軽い認知症もあ
って、精神が不安定になる事もあったのです。そんな君江さんを博志君一家は、当
初心配していましたが、認知症もひどくならず、落ち着いた生活が過ぎていきまし
た。

パンダの初来日のニュースが取り上げられ、博史君は早速三郎さんに上野動物園に
見に行く約束を取り付けた頃、またまたフィリピンで小野田さんが発見されたとの
ニュースが届き、君江さんの精神も不安定になるのですが、堪えている姿が痛まし
い程です。

ある日博史君がおばあちゃんの部屋で、パンダが来たら上野動物園に見に行く約束
をお父さんとした事を話したら、突然おばあちゃんの様子がおかしくなってしまっ
た。そしてキリンの赤ちゃんを見に行こうねと呟いた。そしてそれはまだ君江さん
の長男や四男が生きていた頃、家族全員で上野動物園にキリンの赤ちゃんを見に行
った時の思い出がよみがえったのだった。

それを聞いたお父さんの三郎さんが当時を思い出し、お兄さん家族も誘って、みん
なでおばあちゃんの為に、上野動物園にキリンを見に行くことを提案。当日、三郎
さんが途中から君江さんをおんぶして、それをみんなが励ましあって、思いやりの
ある楽しい行楽となった。

人は誰でもいつかは老いさらばえ、誰かの世話になってこの世を閉じる。それでは又。

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2023年05月25日

書評−黒医



今回は久坂部羊氏の「黒医」について書いてみます。久坂部氏と云えば
医師で作家という事で、デビュー作の「廃用身」をはじめとして医療関
連の素材を扱った作品には、圧倒的なリアリティと表現力が魅力です。

私も今までは主に「破裂」とか「虚栄」などの長編を読んできましたが、
今回短編集の「黒医」を読んで、その短編の面白さ、質の高さには正直
驚かされました。短編の名手Oヘンリーを少しダークにして皮肉っぽく
した雰囲気がたまりません。

「黒医」は7つの短編集ですが、どれを取ってもありそうな話で、しかも
最後に強烈などんでん返しが待っているという設定です。その中でも私が
特に気に入ったのは「無脳児はバラ色の夢を見るか」「のぞき穴」「老人
の楽しみ」です。

「無脳児」は妊娠検査で子供が無脳のロート症と診断された夫婦の物語で、
旦那は反対、妻は産みたい。しかしどちらも無脳児を育てられるかという
思いと、それでも子供の命を大事にしたいという心の狭間で揺れ動く夫婦
の葛藤を描いたもので、誰でもこういう場面に遭遇すれば悩みますが、そ
の結果がという物語。

「のぞき穴」は男の子なら誰でも、想像したり、経験したりしたちょっと
なつかしくも恥ずかしいテーマです。私もご多分に漏れず色気づいた年ご
ろから、女体に対する興味が尽きませんでした。昔は女子は小学5-6年生に
なると男生徒とは別に、我々からすると非常に怪しげな興味深い性教育が
行われていたようです。もちろん女性は初潮が始まるのでその為なのでし
ょうが、男性にはそんな教育をして、盛りが付きすぎたらよくないという
事だったのか、全くありませんでした。

この物語もちょっとした偶然がきっかけで異様に女性器に興味をもってしま
い、挙句に産婦人科医になり、多くの女性器に出合い、不妊に悩む夫婦の問
題に取り組むうちに、悪魔に身を売ってしまった医者の物語です。

最後は「老人の愉しみ」ですが、私とほぼ同じ年代の国立医療センターを定
年退職した主人公が、暇を持て余し鬱々した毎日を送っている。ある日贔屓
のバーで飲んでいるとアベックの客が来店。何気に心の中でアベックの悪口
を呟くと相手にも通じるらしく、こちらを睨みつけてそそくさと出て行って
しまう。

これに味を占めて地下鉄の中でも客の悪態をついてみると同じ反応。格好の
老後の楽しみが見つかる。その後も贔屓のバーで悪態を楽しんでいると、自
分と同じように念力を使う少女リルが現れる。誘われるままに怪しげな薬を
飲まされ、リルに殺されそうになる。しかしこの死の体験が自分の生き方を
変える起爆剤となり、・・・・・・・。

全編を通してブラックでダークな内容なのだが、人間の根源的な問題に根差し
ており、とても他人事とは思えない癖になる小説です。
それでは又。

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2023年04月25日

書評ー追想の探偵



本当に久しぶりのブログ投稿です。月村了衛氏の「追想の探偵」。かなり
前に読んでいたのですが、最近読んだことを忘れていて又読み返し、改めて
素晴らしい作品だと感じましたので、投稿する気になりました。

人間は特に若い頃は自分のやっていること・仕事の価値に気づかず、ただ
がむしゃらに目標に向かって進みがちですが、段々と身体も不自由になる70
代頃になると、ふと立ち止まって自分の人生の来し方を振り返るに連れ、け
っこう貴重な体験をしていたのだと気づく事があります。今回のこの作品も
映画の特撮の世界という、特殊な舞台ではありますが、自分が経験したテレ
ビや映画の特撮物の記憶と重なり、特に思い入れの深い作品となっています。

構成は6つの短編から成っていますが、いずれを取りましても、映画の作品
作りに多大な情熱と貢献をして来た人達の、想い出のもの語りです。
 @ 日常のハードボイルド
 A 封印作品の秘密
 B 帰ってきた死者
 C 真贋鑑定人
 D 長い友情
 E 最後の一人

どれを取っても、それぞれに思い入れのある作品で、特撮映画創生期の俳優や
スタッフの記憶を足跡を訪ね回るという物語です。

この作品は勿論創作ですが、その時代を知っている私としても、勿論こんな事も
あったんだろうなと思わず頷かずにはいられない秀逸な内容で、本当に読者の心
を鷲掴みにし、遠い自分の素晴らしかった過去の記憶を、呼び戻してくれるもの
です。

本文は特撮旬報という本を出している黎砦社の編集者・神部実花が特集のネタ探
しに、撮影当時の俳優を始めとする関係者を捜しまくり、当時は明らかにされて
いなかった事実や人物像を解き明かしていくという、一貫したストーリーです。
特に奇想天外な筋立てがある訳ではないのですか、本当に仕事に情熱を燃やした
当時の人達の熱感や思い入れ、親の子に対する愛情、愛する人が数十年を経て蘇
る事への葛藤と感動、長い本当の友情、あの時君は若かったという歌を思い出し
ました。

過去は戻らないけれど、誰の中にも、美しい、甘づっばい、泣きたくなるような
想い出はあるものです。

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2023年03月26日

書評−黄金の稲とヘッジファンド



久々の書評です。今回は以前にも紹介した事のある波多野聖氏の「黄金の稲とヘッジファンド」です。
波多野氏はもう皆さんご存じのように、バリバリのファンドマネージャー経験者で、「メガバンク」
や「銭の戦争」シリーズでお馴染みの方も多いと思いますが、私も「銭の戦争」でのめりこまされた
一人です。

本編は第一次産業中央金庫が舞台で、農協、連合会を巻き込み、バブルという時代を含め、国家的経
済危機を乗り切った男の物語です。

主人公の城山良太。一橋大学法学部に入れたものの、入学動機は法学部ってかっこよい程度の認識で
学生生活を大いに満喫し、就職は仕事が楽で給与が良い会社にしたいというお調子者。友達に給与は
銀行が良いとアドバイスされ、長銀、興銀を目指すがどちらもダメで、滑り止めの第一次産業中央金
庫に就職。大阪支店に配属されるが2週間の農協研修でやる気を無くし、この研修が済んだら辞表を出
そうという体たらく。

そんな良太だが大阪支店でM社との取引に大成功し、東京本店資金証券部に移動。ここで伝説のファ
ンドマネージャー神宮薫に出会い、産中がヘッジファンドであることや、株・債権の基礎を徹底的に
仕込まれる。そしてプラザ合意後の日銀の為替誘導も何とか乗り切り、部内移動で証券二班に、相場
と博打の世界に入り込むこととなる。トレーダーとして失敗・成功・ブラックマンデーなども経験し、
そこそこ経験を積んだところで、ニューヨーク研修へ。ここで新たにファンダメンタル手法とシステム
化されたアメリカ流取引手法に感化される。

国内に復帰して後、神宮の勧めで見合い結婚をするが、それも神宮に言わせれば、社内での仕事を妥協
無くやっていく為の保険だそうで、最初は受け身だった良太の心も、妻となる雪村紀子の人柄に魅せら
れる。

一方、神宮の予言どうり、日本経済はバブル崩壊への道を突き進み、戦後長く君臨したメインバンク制
度も終焉に近づいていた。産中もバブル崩壊で多大な打撃を受けたが、良太の株価指数取引により最悪
の状態を防ぐことは出来た。そんな中、理事長が交代し、農水省から堂田喜一郎が赴任する。

早速堂田は神宮を呼び出し、産中の現状とこれからの方向性を会話する中で、神宮より、これから国内
銀行が破綻して行くことと、産中が押しも押されもしない金融機関になる為の増資を提案される。そし
て産中の増資を成功させるためには、受け入れ先の連合会対策として、次長の菅拓郎の力が何としても
必要と説得する。増資を貫徹した神宮は、次にドル建て資産運用の責任者として、良太をニューヨーク
へ送る。

平成元年末で天井を打った日本株価はその後急落し、不動産下落等も引き起こしてバブル崩壊が色々な
現象となって現れ、その後三洋証券、山一証券、拓銀、その上長銀までが経営破綻して潰れた。ニュー
ヨークでその情報を聞いた良太だが、ドル運用による利益確保が、本当の産中の取るべき姿勢なのか疑
問を感じ、神宮からのオーダーを一部無視し、神宮の逆鱗に触れてしまう。

その後は読んでのお楽しみというところです。一組織人が、強大な組織の中で自分を見失わずに、組織
にかかわる人々や組織のあるべき姿を模索しながら進んでいくという事は、本当にしんどい事ですし、
ともすればきれい事を言うなの反発に会いますが、こんな時代だからこそ、そういう青臭さをいつまで
も忘れないでいたいと思います。それでは又。

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norch
43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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