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2017年06月20日

書評−向田理髪店



このような比較的地味なテーマの小説がひっぱりだこなのは、一体どういう
環境の変化なのだろうかと思うくらい、当初は不思議に感じました。

今回の書評は奥田英朗氏の「向田理髪店」である。一言で言ってしまえば、
北海道の過疎の町の日常を綴った物語で、下手な書き手だったら「そうなんだ」
で終わってしまうくらいのテーマである。

物語は北海道の過疎の町、苫沢町が舞台で、向田理髪店の主人向田康彦を軸に、
理髪店に集まる集落の人々の四季折々の出来事や康彦の家族、幼馴染、友人、
近燐の人達との人間関係やちょっとした事件について語られている。

康彦自身も親が始めた理髪店を親が動けなくなってしまった為、札幌でのサラ
リーマン生活を捨てて地元に帰って来た出戻り組である。本人は苫沢町のような
過疎地での理髪業には限界があるので、息子の和昌には跡継ぎを期待せず、就職
した札幌の会社で頑張ってほしいと思っていたが、ひょんな事から和昌も苫沢に
戻って後を継ぎたいとの話になり、ここからいろいろな事件が展開していく事に
なる。

事業継承、親の介護、嫁取り、町おこし、住民の犯罪、これらのテーマは過疎地
に限らずどこの町でも深刻な問題だが、特に過疎地においては冗談でなく、その町
が消滅し兼ねないくらいの重い課題である。苫沢町でも御多分に漏れず、これらの
事件が次々と起こって来る。詳しくは本を読んでもらってのお愉しみだが、読み進
む内にとても他人事とは思えなくなり、身につまされ、自分だったらどうするだろ
うと考えてしまう辺りが、この本の人気に繋がっているのだろうか。

普通は過疎地というと近隣の人間関係が強く、よく言えば助け合いの関係だが、悪
く言えば個人のプライバシーがほとんど無いイメージで、どっちかというと私も正
直住みにくい感覚が強かった。しかしこの苫沢町はお互いを家族のように思い、多
少出しゃばりなところはあっても、何とか町全体で問題を解決していこうという気
概があり、人間関係の密度の濃さが嫌らしくなく、寧ろ清々しい。

最近の日本人には自己中心的な人が多く、相手を思いやる余裕もなく、弱い者を徹
底して追い込むような風潮が見受けられるが、嘆かわしい事だと思う。この小説に
出て来る苫沢町の人達のように、例え都会で犯罪を犯した地元出身者であっても、
罪を悔い改め、刑期をまじめに勤め上げた人間に対しては、暖かい気持ちを持って
向かい入れてあげられるそういう風土が本当は大切だと思う。

向田理髪店

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43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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